本記事は、岡田洋介氏の著書『評価される人になる技術』(ぱる出版)から一部を抜粋・編集しています。

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(画像=Sergey Nivens / stock.adobe.com)

会社員だからこそ獲得できる3つのこと

会社員だからこそ獲得できることとは何でしょうか。多くの方のキャリア相談や独立支援をしていて感じるのは、会社員としてのメリットをきちんと理解できていない人が意外に多いということです。あなたが思う以上に、会社員にはメリットがたくさんあります。特に大きなメリットは、お金・経験・人脈の3つです。これらを日常から意識し、獲得しにいくと、中長期でとても大きな価値を生みます。では、順番に見ていきましょう。

①お金

会社員として働いていると、毎月決まった給料が安定して通帳に振り込まれます。突然、給与が大幅に減額されて生活に支障が出る、といったことは基本的にありません。多少、仕事で失敗をしようが、すぐに減給とはならないでしょう。金銭的に安定した状況で挑戦ができるのは会社員の特権です。個人事業主に比べれば社会保障も手厚く、銀行からも信用を得られやすいので、ローンも組みやすかったりします。会社員にとっては、あたり前すぎて気づきにくいですが、経済面での安心感があると、挑戦がしやすくなります。

②経験

仕事を通して得られる経験も価値の高いものです。人は知識だけで成功することはありません。知識がいくらあっても、経験豊富な人には敵わないからです。だからこそ、自分の求めるキャリアに向けて、社内でできる挑戦の機会に対しては積極的に手を挙げていきましょう。給与が変わらないのに挑戦するのはやり損に感じる人もいるかもしれませんが、私からすれば、お金をもらいながら失敗してもいい挑戦ができるのはとても恵まれています。独立すると、挑戦は無給でやることがほとんどだからです。そして、会社というフィールドがあるからこそできる経験もたくさんあります。

知識と経験をつなぐことができるのも会社の魅力です。例えば、どこかのセミナーやインターネットで知識を得たなら、ぜひ仕事の中で試す機会をつくってみてください。私も会社員時代には、しょっちゅう「試しにやらせてもらえない?」と聞いていました。ほとんどの会社では、やるべき仕事を責任を持って行っていれば、「さらに何かやりたい」と言う社員に対しては周りも応援してくれます。どの会社も挑戦の必要性を知っていますし、それを実践してくれる社員は良いロールモデルになります。

仕事のスキルには、専門スキルとポータブルスキルがあります。ポータブルとは、持ち運びしやすいといった意味があります。例えば、対人関係力や考える力などがあります。どんな職種や仕事でも活用できるのがポータブルスキルです。専門スキルは、限られた職種や仕事でしか活用することができません。どちらが上ということではありません。あなたが築きたいキャリアに向けて、どんな専門性が必要で、どんなポータブルスキルが必要かを整理しておくことが大切です。それを積極的に獲得しにいきましょう。

③人脈

ここで言う人脈は、気軽で、身近なものとして捉えてもらえればと思います。お互いに応援し合いたい関係というイメージです。

会社員であれば、仕事を通して多くの人と知り合うきっかけがあります。同じ会社の仲間や取引先です。会社にブランド力や信用があれば、さらに多くの人とつながりをつくりやすくなります。一個人ではなかなかきっかけがありません。これを活用しないのはもったいないことです。もちろん、全ての人と友だちになる必要はありません。これからも付き合っていきたいと感じる人と友だちになればいいのです。

大人になってから「友だちをつくる」と言うと、身構えてしまう人もいるかもしれません。でも、人脈づくりに必要なのは、仲良くなりたいという気持ちです。プライベートの友人関係と同じ感覚で、出会いや都度のやりとりを大切にすれば大丈夫です。もったいないのは、仕事仲間とは仲良くなれないと考えてしまうことです。もちろん、仕事での関わりがあるので、厳しいやりとりも発生することもあるかもしれません。個人的にはだからこそ、より相手の人間性が見えるし、真に仲良くなれると思っています。ドラマや映画でもよくありますが、本音をぶつけ合った関係の方が、より強い絆になりやすいからです。

その際のポイントは、自ら相手に少しだけ踏み込んでいくことです。2つ3つの気軽な質問をして、休憩を一緒にとってコーヒーを飲んだり、一緒にご飯を食べに行ったりしてみてください。所属部署や何の仕事をしている人かなどは気にせず、気軽につながりをつくっていきましょう。フラットに付き合うことで、ビジネス抜きの親友と呼べる存在になったり、ひょんなことから仕事につながったりします。

私も御年65歳の大経営者の方と親しくさせてもらっています。本来ならば敬うべき相手であり、対等に話すのもおこがましい方ですが、お互いに気軽に冗談を言い合う間柄です。そんな関係だからこそ、何気ない時に本音や悩みを言い合うことができるのです。この時、損得勘定や営利目的で付き合っていると、深いつながりにはなりません。あくまで人と人としての関わりを最初に築いておくことが大事です。

これらの3つ「お金・経験・人脈」は互いに関係し合っています。会社員なら、あってあたり前と感じるものかもしれません。時には面倒や不満のタネにもなります。けれど、会社のブランド力や社会での信用は侮ることができないものです。私自身、会社員時代にこの3つを充分に積み上げたことで、独立後もなんとかやってこられたと感じます。

=評価される人になる技術
岡田洋介(おかだ・ようすけ)
株式会社アクティベーションコンサルティング代表取締役
人事評価コンサルタント、経営人事コンサルタント、組織開発コーチ(日本で約200名のORSCC有資格者)

早稲田大学商学部卒業後、日本ブレーンセンター(現:エン・ジャパン)に入社。約100名の組織が1500名規模の一部上場企業に急成長するまで、様々な軋轢やトラブルを組織内部にて経験しながら、20年に渡りその成長を支える。在籍時は、経営人事のトップコンサルタントとして、管理職教育を含む研修実績は延べ400開催以上、人事評価に関しては延べ100社以上の指導を行う。
2018年に独立。1万枚以上の評価シートを実際に指導する中で、評価されている社員がやっていることを整理。さらに現在は、日本では200名しかいない組織開発コーチングの有資格者(ORSCC)としての活動も行い、「心理的安全性」「共感的な対話」「自分と向き合う勇気」をテーマにした研修やセッションも数多く開催している。

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