1966年 大阪府立大学工学部経営工学科 卒業
卒業後は家業『スケーター万年筆株式会社』に入社し、プラスチック家庭日用品の製造販売業等に携わる。
1974年 『スケーター株式会社』に社名変更。
1984年 『スケーター株式会社』の社長に就任。
1986年 海外生産(台湾)を開始。
2017年 『スケーター株式会社』の代表取締役会長に就任。
創業から現在に至るまでの事業変遷
―それでは、御社の起業から現在に至る事業変遷について教えていただけますでしょうか?
当社は1950年に私の父が創業し、当時はスケーター万年筆株式会社という社名で、主に万年筆の製造と販売を手掛けておりました。その後、私は1960年の大学卒業後に当社に入社し、1974年にスケーター株式会社に社名変更、1984年には社長に就任いたしました。事業については、祖業である万年筆の製造・販売の技術を活かし、プラスチック家庭用品の製造・販売を始めるようになりました。1990年には大阪から奈良へと拠点を移すとともに、ビジネスモデルも製造・販売からアウトソーシング型の企業へと変化していきました。
アウトソーシング型に変化することによって、プラスチック製品にとらわれずに、お客様が生活する中でどのようなものを求めているかを考えた商品開発ができるようになりました。その過程では、生産拠点増加や販路拡大としての海外展開を進め、現在は生産の6割程を中国で行っています。また、販売に関しても、アジアやアメリカ、ヨーロッパなど幅広い地域で当社製品を販売し、160億円超の売上のうち約10%が海外への販売となっております。キャラクターライセンスも多く有しており、また、約25種類以上の商品カテゴリーを保有するまで当社は成長してきました。
事業の強み
―次に、御社事業の強みについて教えていただけますでしょうか?
当社の強みはアウトソーシング型のビジネスモデルにあると考えています。今まではプラスチック製品の製造・販売という業態であったため、一面的な視点に偏りがちでした。そこから、お客様がどのように生活をされているのか、どのようなモノを求めているのかという視点に立ったものづくりをする必要があるという考え方に方向転換をし、アウトソーシング型のビジネスモデルに変化していったのです。
具体的には、企画から設計、プランニングまでを自社で徹底的に行い、製造を中国を始めとする海外や日本の協力工場など外部企業に委託しております。その結果、お客様の視点に立ったものづくりができるようになり、製造方法や素材を選ばず、様々な商品開発が可能になりました。また、キャラクター商品の横展開をするなど、商品カテゴリーの増加や販路拡大にも繋がりました。
さらにお客様視点という観点では、売り場所にもこだわっています。一般的にお弁当箱などの家庭用品は、量販店の家庭用品売り場で販売することが多いですが、当社はお客様の購買行動を考え、ファンシー雑貨店(※可愛らしい装飾を施した小物や雑貨をメインに取り扱う店)をメインにしています。その結果、お弁当箱だけではなく、それと同じシリーズの商品を、お客様が複数の場所に足を運ばずとも、一度に複数の商品を購入することができるのです。
このように、アウトソーシング型にすることで、企画から販売まで、よりお客様の視点に立ったものづくりができる点が当社の強みであると考えています。
過去の困難とスケーター株式会社のブレイクスルー
―次に、過去に直面した壁とそれをどのように乗り越えたかなど、御社にとってのブレイクスルーについて教えていただけますでしょうか。
先述の通り、当社は元々プラスチック製品の製造・販売からスタートしました。当時は、家電製品メーカーの部品を受託製造することも多く、なかなか業績が上がらない時期もありました。そこから、自社製品の開発に業態を転換したことは一つのブレイクスルーであったと考えています。
また、時は流れ、2000年頃にはキャラクター製品を手掛けていた当社にとっては追い風となるサンリオブームが到来し、一気に業績が拡大しました。しかし、そのブームが落ち着くと同時に、業績も傾いてしまった時期がありました。そこから、ファンシー雑貨部門に参入したことをきっかけに販路を拡大、商品カテゴリーも増え、業績も右肩上がりになりました。コロナ禍では主力アイテムである弁当箱や水筒などの売り上げが低下してしまいましたが、マスクの販売により業績を保つことができました。
このように時代によって浮き沈みはあったものの、アウトソーシング型のビジネスモデルである強みを活かし、お客様の視点に立ったものづくりとその販売戦略によって業績を拡大してきた結果、今があると考えています。
思い描く未来構想
―最後に、鴻池代表の考える御社の未来構想について教えていただけますでしょうか?
今後はさらに海外戦略を強化し、売上高200億円突破を目指していきたいと考えています。現在は、製造で約6割、販売で約1割の海外比率を占めていますが、日本では少子高齢化や人口減少により市場の縮小は避けられないと考えているため、特にヨーロッパを始めとする海外での販売比率を上げていきたいと考えています。
そのために、商品カテゴリーの増加や販路拡大はもちろん、各地域に根ざした商品開発や、価格帯に合わせた販売戦略も進めていく必要があると考えています。これからも今まで培った技術やノウハウを活かし、お客様が何を求めているのかという視点に立ったものづくりを進めていきたいです。
- 氏名
- 鴻池 良一(こうのいけ りょういち)
- 会社名
- スケーター株式会社
- 役職
- 代表取締役会長