新興国通貨の中で一定の人気がある「トルコリラ」。通貨安や高インフレなどネガティブなニュースも絶えないのだが、高金利という魅力からトルコリラへ投資している人は少なくない。

そこで、トルコリラに投資する際に押さえておきたい前提知識として、トルコの経済状況や歴史的エピソード、投資する意義などについて解説する。

トルコの経済状況

「トルコリラ」で外貨預金 ! 知っておきたいトルコの基礎知識
(画像=Alessandro Scagliusi / stock.adobe.com)

アジアとヨーロッパにまたがる国であるトルコ。人口は約8,500万人で、イスラム教徒が国民の大部分を占める国だ。まずはマクロ的な視点でトルコの経済状況を説明していこう。

トルコの主要産業

GDP (国内総生産) に占める産業別の割合から示していくと、外務省のウェブサイトに記載されているトルコ国家統計庁発表の2022年のデータ (※) によれば、「サービス業」が52.7%で最も高く、「製造業」が22.0%、「工業」が31.1%、「農業」が5.6%となっている。

サービス業の中では特に観光セクターの比重が大きく、コロナ禍で落ち込んだ観光客数の回復も世界の中で早い方だ。2022年の年間の観光客数は約5,140万人 (トルコ税関データ) まで回復し、コロナ禍前の水準の99%となった。

トルコ政府は現在の観光セクターについて「世界第3位の観光市場」と胸を張り、今後5年間で年間9,000万人という目標を掲げている。ちなみに日本マーケットにおいては、ガストロノミー、世界遺産、文化に重点をおき、トルコの魅力を発信していくとしている。

※外務省「トルコ共和国 (Republic of Turkey) 基礎データ

トルコのGDP成長率

トルコ国家統計局が発表した2022年のデータによれば、経済成長率は5.6%となっている。IMF (世界通貨基金) が発表した最新の「世界経済見通し (WEO) 」のデータによれば、以下のように経済成長率は推移してきた。

2005~2014年の平均5.4%
2015年6.1%
2016年3.3%
2017年7.5%
2018年3.0%
2019年0.8%
2020年1.9%
2021年11.4%
2022年5.6%

今後の見通しについては、2023年が2.7%、2024年が3.6%、2025年が3.0%としており、2022年に比べると低く感じるかもしれないが、いずれも欧州の新興・途上国の予測平均を上回る数字となっていることは特筆すべきだ。

トルコの失業率

トルコの失業率は2023年2月時点で10.0%となっており、過去5年では低下傾向にある。

トルコの外貨準備高

トルコの外貨準備高は2023年1月時点で671億6,400万ドルとなっており、コロナ禍以前よりは低い水準となっている。

トルコは親日国として有名

トルコは世界有数の親日国としても知られている。両国の友好を語る上で知っておきたいエピソードが、和歌山県沖で1890年に起きたトルコ軍艦「エルトゥールル号」の遭難事件だ。日本人がトルコ人の人命救助に尽力し、以来130年以上にもわたる友好関係が続いている。

以降では、そんなトルコの法定通貨リラに投資する意義について説明していく。

トルコリラに投資する意義

トルコリラは南アフリカのランドなどと並ぶ「高金利通貨」として知られている。外貨預金では、預けた通貨の金利が高ければ高いほど、保有しているだけで得られるインカムゲイン (金利収入) が増える。この点は大きな魅力だ。

ただし、トルコリラへの投資にはリスクもある。まず考慮したいのが、近年続いている通貨としての価値の下落だ。トルコのインフレ率は他国と比べて非常に高く、にもかかわらず利下げ政策に前向きなことなどが引き金となり、通貨価値の下落が引き起こされている。

また、トルコリラは新興国通貨であることから取引量が少なめで、為替レートのボラティリティ (変動幅) が高くなっていることも知っておきたい。

ただし、投資では「安く買って高く売る」ことでキャピタルゲイン (値上がり益) が得られる。そのため、現在の為替水準をチャンスと捉えている投資家も少なくない。

すでに保有しているならより金利が高い銀行へ

通貨としての価値の下落が起きていることから、過去に日本円をトルコリラに替えたり、リラ建ての債券が満期になったままで円に戻せないという人もいるかもしれない。このようなケースでは、よりトルコリラの金利が高い金融機関にリラを移し、保有を続けるにしても有利な条件の金融機関を利用するようにしたい。

金利が高い金融機関に資産を移動すれば、仮に今後も価値の下落が続いてもインカムゲインでその下落を相殺、もしくはダメージを軽減できるからだ。

トルコの「将来性」に投資妙味

トルコは、観光セクターの成長などが国の成長を後押しし、現在も経済成長や投資、雇用創出を優先した政策を行っていることから、今後もさらなる発展が期待できる。

投資にはリスクはつきものではあるが、重要なのは「将来性」だ。そう考えれば、トルコへの投資は十分に妙味があるものと言えるだろう。

(提供:大和ネクスト銀行


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