メキシコペソ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)


総括

FX「突然のトリプル安の要因は再び政府干渉」メキシコペソ見通し

予想レンジ 7.8-8.3

 (ポイント)
*ペソ再び突然の急落 トリプル安
*今回は空港運営会社との契約変更(改悪か)
*前回は為替ヘッジシステムの縮小
*航空当局が「一方的に、事前の連絡もなく」空港に関する料金体系を変更
*IMFは成長見通し上方修正
*郷里送金は増加し続ける
*大統領は米国の移民政策を非難
*来週は、9月消費者物価、8月鉱工業生産、中銀議事要旨
*政策金利は11.25%に据え置き
*貿易赤字縮小、失業率改善
*ただ最近のUAWのストや米国政府閉鎖問題はメキシコに影を落とす
*ペソ快進撃一服 年初来高値上抜けず
*1ドル17ぺソがペソ上伸を阻む
*財政赤字拡大で金利上昇はペソ高要因となった
*財政赤字拡大は経済成長あってこそ
*メキシコ政府、OECD、フィッチが成長見通しを上方修正
*トランプ大統領が誕生すればメキシコに一波乱あり

(内外要因で急落、ペソ独歩安)
 10月に入りペソは対ドル、対円で急落している。円買い介入観測、米金利上昇・米株下落のリスク回避でメキシコだけではなく新興国、いや米ドルと円以外の主要国通貨も売られているが、メキシコが一番売られている。 さらに下記の売り要因が加わった。

 ペソ円は昨日2.17%安、ドルペソは1.84%上昇。年間首位は維持しているが、10月は最弱でスタート(ペソ円5.03%安)。

(株、債券も売られる)
ボルサ株価指数が弱いのも気になる。年初来2.04%高だが、5月頃には14%を超える伸びだった。米株の低迷も受けた。10年国債利回りは10.34%、昨日は他国の国債利回りが低下もペキシコ債の利回りは上昇した。
 メキシコ自体の材料は変わっていないが、外部要因主導と政府の制度変更で売られる。政府主導の政策は重たくのしかかる。

(昨日のトリプル安の要因)
 昨日のトリプル安の要因はメキシコ政府が突然、空港運営会社のコンセッション契約変更に動いたことが嫌気された(昨夜のTWITTERでも発信済みです)。
 空港運営会社関連株は軒並み大幅急落した。30%を超える下げた株もあった。グルポ・アエロポルチュアリオ・デル・スレステ(Asur)、グルポ・アエロポルチュアリオ・デル・パシフィコ(GAP)、グルポ・アエロポルチュアリオ・デル・セントロ・ノルテ(OMA)の株価は軒並み急落。特にGAPとOMAは日中ベースで上場来最大の下げを記録した。
 
 航空当局が「一方的に、事前の連絡もなく」、空港に関する料金体系を変更したとされている。メキシコの空港運営会社では、旅行者が支払う空港使用料が収入の大部分を占めている。
 メキシコ政府が具体的にどのような変更を行ったのかはこれまでのところ不明だ。空港運営会社も変更の詳細については説明していない。報道によればインフラ・通信・運輸省の報道官にコメントを求めて連絡を取ったが、これまで返答はないそうだ。

財政赤字削減のためか、AMLO大統領がこれまで実施してきた国有化の流れか。

(郷里送金、40カ月連続増加)
 一方、8月の郷里送金は55億6300万ドルと前年同月比8.6%増え好調だ。単月の増加は40カ月連続。通貨高による目減りを見越し、出稼ぎ労働者がメキシコ国内への送金額を積み増しているようだ。
 メキシコの通貨ペソは2022年後半は1ドル=約20ペソだったが、米国との金利差拡大から上昇。直近は17ペソ台で推移している(昨日は18台)。メキシコからの出稼ぎ労働は米国が多い。インフレによる生活の困窮にくわえ、ペソ建ての送金額の目減りが重荷になっている。

(IMFは成長見通し上方修正)
 ちょっと出遅れ感あるが、IMFは、メキシコの2023年成長率予想を7月時点の2.6%から3.2%に上方修正した。24年も1.5%から2.1%に引き上げた。
 メキシコの景気拡大は広範囲にわたり、失業率は過去最低水準にとどまる一方、製造業稼働率は最高水準に達していると説明した。
 メキシコには、生産拠点を消費地の米国に近づける「ニアショアリング」の動きを受けて大きな機会が存在している。
 IMFは「この潜在力を活用し、他の生産拠点と競争するには慎重なマクロ経済政策を追求し続けながらメキシコの長期的構造課題に取り組む必要がある」と指摘した。
 「そのためには、公共投資の拡大、より的を絞った投資、ガバナンスの改善、国内金融機関へのアクセス増加、女性労働力人口の拡大、よりクリーンなエネルギー源への消費転換が必要になる」と説明した。

(最近の経済指標)
 9月企業信頼感指数は53.8で前月の53.7から改善、9月製造業PMIは49.8で前月の51.2から悪化、9月消費者信頼感指数は46.8で前月と変わらず。

 来週は、9月消費者物価、8月鉱工業生産、中銀議事要旨などがある。

テクニカル分析

続、急落、6月13日以来の安値

 日足、ボリバン2σ下限下抜き3σ下限へ。雲の下。6月13日以来の安値8.079をつける。
5月24日-10月5日の上昇ラインがサポート。10月4日-5日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線下向き。
 週足、中位割り込む。ボリバン2σ下限は7.950。9月11日週-25日週の上昇ラインを下抜く。8月28日週-9月18日週の下降ラインが上値抵抗。5週線下向く、20週線上向き。
 月足、9月で6か月連続陽線も陽の陽はらみで売り圧力。今月は陰線スタート。7月-8月の上昇ラインを下抜く。5か月、20か月線まだ上向き。1月-3月の上昇ラインがサポート。8月-9月の下降ラインが上値抵抗。
 年足、22年の長い上ヒゲを上抜く大陽線。14年-22年の下降ラインを上抜く。21年-22年の上昇ラインがサポート。 

メキシコペソ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

VAMOS MEXICO

AMLO大統領、1日当たり1万人の移民が国境に向かうのは米国のせいだと非難

AMLO大統領は、1日あたり約1万人の移民が米国国境に向かっていると述べ、流入の原因はキューバやベネズエラなどに対する米国の経済制裁だと非難した。これらの国から出国する移民の流れの主な原因は経済的失政と政治的抑圧にあると指摘する。
 こうした移民の多くは、パナマとコロンビアの間にあるジャングルに覆われたダリエンギャップ地域を含む中米を通るルートで旅行していると述べた。
 大統領はまた、米国のウクライナ支援を非難し、米国はウクライナに送金された資金の一部を中南米の経済発展に充てるべきだと述べた。ここ数週間、米国国境を目指してメキシコを通過するベネズエラ人移民が急増している。移民の多くは、母国の経済的・政治的状況の悪化が移住のきっかけになったと語る。

情報提供元:FX湘南投資グループ
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