1954年富山県生まれ。同志社大学商学部卒業。1980年に株式会社トンボ飲料に入社し、1998年に5代目代表取締役社長に就任。 1998年にはパウチ飲料の受託生産事業を開始。さらに、少子高齢化社会に着目し、2000年にはバランス株式会社を設立。 水分補給・栄養補給用食品の開発・販売を開始した。現在は、全国シャンメリー協同組合 理事長や富山県食品衛生協会 会長なども務める。
1.これまでの事業変遷
トンボ飲料は120年以上と業界の中でも長い歴史を持つ企業ですが、創業当初から常に新しいことにチャレンジしてきました。最初はラムネのメーカーからスタートしましたが、現在では主にチアパックやパウチといった新たな容器にゼリー状の飲料を詰めて販売しています。実は、現在の売上の8割はこのゼリー飲料から得ています。また、8割以上が受託生産になっていますが、その代わりに健康や美容、スポーツに特化した飲料を提供しています。それぞれの時代と市場のニーズに応じて、事業の形を変えてきたのが我が社のスタイルです。
2.組織拡大への課題と取り組み
事業を拡大するにはまず人々の力が必要です。最初は僅かな人数でしたが、今では正社員は150名に増えました。ここまで来るのは簡単ではなかったです。組織としての意思疎通や従業員の方々の意識といった人間関係や組織運営の課題に苦労しました。それを乗り越えるために、社員がやりやすい環境を整えるとともに、仕事に対して主体的になって取り組めるようにするための支援をしてきました。
新たな設備投資も行いつつ、社員の要望をしっかりと取り入れ、改善に取り組んできました。それは物質的な環境だけでなく、仕事のやり方やコミュニケーションの方法も含まれています。具体的には提案制度を導入し、社員のアイデアを事業に活かすようにしてきました。それにより社員が問題解決とアイデアの提出を積極的に行い、社内の風土が変わりました。
3.組織拡大において重視することとは
我々が一番重視してきたこと、それは社員一人ひとりの幸せです。社員が働きやすい環境を作ることも大切ですが、それ以上に仕事に対する愛着や共感を持つことが大切だと考えています。それを形成するために、幸せデザインサーベイという金融機関が提案している方法を用いて、社員とのエンゲージメントを高めてきました。
その他にも、社員との向き合い方に工夫してきました。提案制度を通じて社員の声を聞き、彼ら自身が主体的に問題解決やアイデア発案を行えるようにしました。それにより彼ら自身が自立し、主体的に働くことが可能となりました。我々は彼らの提案を大切にし、それを使って社内の風土を作ってきました。
4. 人的資本向上への取り組み
我々は社員の成長を最優先の課題と位置づけてきました。社員が社会と我々の会社に貢献できるよう、我々は社員一人ひとりの価値を高めることに取り組んできました。それには教育や訓練を行いますが、それだけでは不十分です。我々は社員が自ら考え、主体的に行動できるように職場環境や組織風土を変えていくことに取り組んでいます。
5.今後の展望
人口が減少し、飲料市場が縮小する中で、私たちは新たな市場の開拓にチャレンジしています。新規参入を考えている企業や異業種から飲料市場に参入を検討している企業をサポートし、彼らのニーズに合わせた飲料製品を提供することで事業を展開していきたいと考えています。
今後の従業員へ期待することとして、主体的な姿勢を持ってもらいたいと思っています。会社がテレワークを推奨する一方で、その実現には社員自身の自主性が重要です。また、良好なコミュニケーション能力と提案力を持つことも一緒に重視します。我々は社員が自らの力で問題を解決し、創造的なアイデアを提案してくれることを期待しています。そして、どんなに小さな目標でも、それに向かって一歩一歩進んでいくことが重要です。私たちはそのような社員一人ひとりが会社の成長と成功を支えると信じています。
- 氏名
- 翠田 章男(みすた あきお)
- 会社名
- 株式会社トンボ飲料
- 役職
- 代表取締役社長