丸山優太郎
丸山優太郎
日本大学法学部新聞学科卒業のライター。おもに企業系サイトで執筆。金融・経済・不動産系記事を中心に、社会情勢や経済動向を分析したトレンド記事を発信している

それほど高くないリスクで比較的多くの利益を得られるミドルリスク・ミドルリターン投資は、超低金利の時代に適した投資方法といえます。ローリターンの投資では資産運用の効果が小さく、ハイリターンを狙えば資産を減らす恐れがあります。両者の間をとったミドルリスク・ミドルリターン投資の魅力を紹介します。

目次

  1. 投資におけるリスク許容度3つのパターン
  2. 超低金利の今はミドルリターンの利益を狙いたい
  3. 安定高利回りを狙えるミドルリスク・ミドルリターン投資3選
  4. さらに安全を期すならローリスク・ミドルリターンの不動産クラウドファンディング
  5. ポートフォリオを組み分散投資でリスクを下げよう

投資におけるリスク許容度3つのパターン

安定高利回りが魅力のミドルリスク・ミドルリターン投資とは?
(画像=fotogestoeber/stock.adobe.com)

投資を始める前にまず決めておきたいのが、投資に対するリスク許容度です。投資方法には以下の3つのパターンがあります。

ローリスク・ローリターンの投資

元本保証またはわずかなリスクで、少ないリターンを着実に狙う投資方法です。大学の入学資金など使う時期がはっきりしている資金を運用するのに向いています。元本を減らすことは許されないので、元本保証または償還が確実な債券などで運用する必要があります。

元本保証の代表的な商品に個人向け国債があります。社債ではデフォルト(債務不履行)の心配がない大手優良企業の新発債を購入すれば、販売時に設定された利率で満期時に利息を受け取ることができます。ローリターン投資の利回りの目安は0.5〜1.5%程度です。

ミドルリスク・ミドルリターンの投資

多少リスクがあっても、ある程度多くのリターンを狙う投資方法です。使う時期は決まっていないものの、住宅を購入するための頭金を増やしたいケースなどに向いています。代表的な商品に不動産投資、株式投資信託、金投資、J-REIT(上場不動産投資信託)があります。ミドルリターン投資の利回りの目安は3〜5%程度です。

ハイリスク・ハイリターンの投資

高いリスクを負っても多くのリターンを狙う投資方法です。ボーナスのように生活費と切り離して使える余剰資金で投資するのに向いています。代表的な商品に暗号資産、FX(外国為替証拠金取引)、エマージング債券(新興国債券)などがあります。ハイリターン投資の利回りの目安は5〜10%程度ですが、急騰した場合はそれ以上の利回りもあり得ます。半面、短期間で大きく値下がりすることもあるので、初心者は避けたほうが無難でしょう。

超低金利の今はミドルリターンの利益を狙いたい

日本の金融情勢は超低金利下にあり、ローリスク・ローリターンの商品で運用しても利息収入はわずかしか得られません。3つのパターンで述べたように、使う時期がはっきりしている資金でなければ、ミドルリスク・ミドルリターンの投資で高い利回りを狙うのもよいでしょう。

ミドルリスクの商品には元本保証やそれに近いものはありませんが、ハイリスク商品よりは安全である理由が明確です。例えば金には発行体がないので財政破綻で価値がゼロになることはありません。株式投資信託は複数の銘柄を組み入れて運用しているので、そのうちの1社が倒産しても影響は限定的です。また、J-REITはさまざまな不動産に分散投資しているので、安定して分配金が支払われています。

このようにミドルリスク・ミドルリターンの投資は大きなリスクを負うことなく、安定して3〜5%程度のリターンを得られる点で低金利の今、行うのに適しているといえるのです。

安定高利回りを狙えるミドルリスク・ミドルリターン投資3選

ここでは、リスクがそれほど高くない割に比較的高利回りを狙えるミドルリスク・ミドルリターンの投資を3つピックアップして、それぞれの特徴を紹介します。

不動産投資

不動産投資は賃貸した物件から得られる家賃収入でローンを返済するため、比較的安全な投資として知られています。ローン返済中は手取り収入が少ないのですが、ローン完済後は純資産となり、売却すれば数千万円単位の現金を手に入れることも可能です。長い目で見るとミドルリスク・ミドルリターンの投資といえます。

不動産投資の利回りは、一般社団法人日本不動産研究所が行った「第48回不動産投資家調査(2023年4月現在)」によると、東京都区部の賃貸住宅の期待利回りでワンルームが3.8〜4.0%、ファミリー向けが3.9~4.1%となっており、まさにミドルリターンが期待できます。

ミドルリスクである理由は空室リスクがあるからです。区分マンションの1室のみ所有の場合は、空室が出たとき一時的に給与などから補填しなければならないケースもあります。

高配当株投資

株式投資も値上がり益を狙わず、配当金のみを定期的に受け取る高配当株投資ならリスクは限定的です。MINKABUの調査による配当利回りランキングでは261社(2023年9月20日現在)が4%以上で、値上がり益がなくてもミドルリターンを得られる点が大きなメリットです。

もちろん高配当株でも値下がりリスクはあるので、ミドルリスクである点は心得て投資する必要があります。

J-REIT

現物不動産を分散保有して運用する投資法人に投資するJ-REITは証券取引所に上場しているので、株式と同じように売買できます。投資主になると運用益の中から原則として年2回分配金を受け取ることができます。上場している60銘柄に無配はないことから運用成績の安定性がわかります。

全銘柄の平均分配金利回りは2023年9月15日時点で4.12%です。株式と同様に値下がりリスクがあるので、ミドルリスク・ミドルリターンの典型的な投資先といってよいでしょう。

さらに安全を期すならローリスク・ミドルリターンの不動産クラウドファンディング

最近投資商品として人気が上昇しているのが不動産クラウドファンディングです。人気の理由は、投資商品としては珍しくローリスク・ミドルリターンに該当する商品だからです。

不動産クラウドファンディングは、事業者がインターネット上で募集している不動産運用の案件に不特定多数の投資家が出資します。投資家から集めた資金を事業者が現物不動産で運用し、売却益や家賃収入の中から投資家に分配金を支払う仕組みです。予定利回りはおおむね3~7%と高利回りです。

不動産クラウドファンディングがローリスクの投資といえるのは、以下のような理由があるからです。

・不動産クラウドファンディングは売買市場がないため、株式のような値下がりリスクがない

・多くの場合、「優先劣後方式」により、物件の売却で損失が出た場合でも、あらかじめ定められた範囲で事業者が優先して損失を負担するので、投資家の元本が毀損することは少ない

・多くの場合、「マスターリース契約」により、資産運用会社が物件を一括借り上げするので、空室が出てもあらかじめ決められた家賃が保証される

これらの仕組みがあるので、安定して予定利回りによる分配金が支払われる。

不動産クラウドファンディングのデメリットは、投資商品には珍しく買えないケースがあることです。募集タイプが先着式の案件は募集開始から数時間で満口になることがあり、抽選式の案件も応募多数で倍率が上がると、買えない確率が高くなります。

先着式の案件に関しては情報を知らないと不利になるので、不動産クラウドファンディング比較サイトを活用してチェックするのがおすすめです。

ポートフォリオを組み分散投資でリスクを下げよう

資産運用の設計図にあたるポートフォリオは、可能な限り組むようにしましょう。ポートフォリオがないと上がりそうな銘柄へ場当たり的に投資することになり、資金バランスが特定の銘柄やカテゴリーに偏ってしまう可能性があります。資産運用は分散投資でリスクを下げることが大事です。

機関投資家もポートフォリオのバランスを重視しています。例えば、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の基本ポートフォリオは、国内債券25%(±7%)、外国債券25%(±6%)、国内株式25%(±8%)、外国株式25%(±7%)となっており、それぞれプラスマイナスの許容幅が決められています。

これをモデルとして、個人がポートフォリオを組む場合も投資カテゴリーごとに保有比率と増減幅を決めておき、許容範囲を超えそうなときは売却または買い増しによってリバランスするとよいでしょう。

日銀の低金利政策は当分続きそうな気配ですので、この機会にポートフォリオを見直し、不動産クラウドファンディングをはじめとするミドルリターンを得られる商品の組み入れを検討してみてはいかがでしょうか。

※本記事は2023年9月20日現在の情報を基に構成しています。記事中で紹介した商品は一例ですので、参考程度にお考えください。

(提供:YANUSY

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