1973年東京都生まれ。GIS(Geographic Information System:地理情報システム)に精通し、2016年にクラウドCRMとGISを高度に連携させたセールスエンゲージメントサービス、UPWARD(アップワード)を創業。現在、大手企業を中心に400社以上に導入されており、フィールドセールス(外勤営業)向けSaaSとして国内トップシェアを誇る。Salesforce gold ISV partner及びSalesforce Innovationアワード、マイクロソフト ジャパン パートナー オブ ザ イヤーにて「Microsoft for Startups」アワードを受賞。2021年 経済産業省のスタートアップ 支援プログラム「J-Startup」企業に選定。2022年 Forbes JAPAN「JAPAN’ s CLOUD TOP20」に選出など。
1.これまでの事業の変遷について教えてください。
私は2006年にUPWARDの前身となる会社に入社し、地理情報システム(GIS)という分野で受託開発のスキルを磨き、ビジネスチームを統括するポジションになりました。
その頃にセールスフォースと出会い、SaaS領域にシフトを図ったものの、当時の主力事業であった受託開発の事業との両立に苦戦しました。2013年3月から当社取締役COO(最高執行責任者)としてクラウドサービス「UPWARD」の事業運営を統括指揮した後に、ターンアラウンド(事業再生)という形で第二創業を行い、2016年4月に代表取締役社長CEO(最高経営責任者)に就任しました。
2.一番感銘を受けた書籍とその理由は?
経営者として一番感銘を受けた書籍はベン・ホロウィッツ著の「HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか」です。私がこの本と出会ったのは、ターンアラウンドの真っ只中でした。当時、倒産に向かっていた会社を短期間で立て直す必要があり、私自身「どうしたら良いかわからない」問題の数々に直面していました。
この本はベン・ホロウィッツが彼自身の経営者としての経験から得た教訓や知識、さらには困難な局面での対処法を具体的に綴ったものです。苦しみや葛藤も数多くの困難を見事に乗り越えてきたホロウィッツのエピソードは私を励まし、自分自身も葛藤を乗り越えていくための勇気をもらうことができました。
3.読書はどのように仕事に生かせたでしょうか。
「HARD THINGS」から得た知識を現場で使い、様々な問題への対処法として重宝しました。しかしそれ以上に、「HARD THINGS」を通して得たのは、困難な状況に立ち向かう姿勢です。これが経営者として私の内面を成長させ、また、会社として迎える困難を乗り越える助けとなりました。
さらに「HARD THINGS」で学んだとおり、表面に見える問題の背後には、より深い本質的な問題が隠れていることを理解することができました。その本質的な問題を見つけ、それを解決することで、そこから派生する表面的な問題も同時に解消できます。
4.経営において重要としている考え方を教えてください。
UPWARDを通じてフィールドワーカー(訪問営業・巡回訪問に携わる方々)の本質的な課題を解決することを大事にしています。IT企業に身をおいていると「テクノロジードリブン」に走ってしまう側面もありますが、UPWARDの本質は「現場の課題解決」であり、テクノロジーは手段に過ぎません。バズワードなどテクノロジーの流行りに流されず、本質に向き合い続けたいと考えています。
5.最後に、御社の未来構想や社員への期待について教えてください。
私たちのビジョンは、世界中で使われるビジネスアプリケーションを提供することです。特にフィールドワーカー(訪問営業・巡回訪問に携わる方々)が直面する課題解決に貢献することが、我々の存在価値です。また、我々のプロダクトは地理情報や位置情報といった技術を活用しており、これらの技術は世界中で活用可能ですので世界中のフィールドワーカー(訪問営業・巡回訪問に携わる方々)の課題解決に貢献していきます。
社員にはまず「私たちが掲げるビジョン、ミッション、バリューズ」への共感を求めています。自分自身を尊重し、努力すること。我々が目指す未来を信じ、それへの貢献を志すこと。そんな社員と事業を作っていきたいと考えています。
- 氏名
- 金木 竜介(かねき りゅうすけ)
- 会社名
- UPWARD株式会社
- 役職
- 代表取締役社長 CEO