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(画像=株式会社RECEPTIONIST)
橋本 真里子(はしもと まりこ)
株式会社RECEPTIONIST代表取締役CEO
IT企業を中心に上場企業などで受付業務に従事。受付嬢として11年間、のべ120万人以上を接客したノウハウを活かして、2016年にRECEPTIONISTを設立・翌年にクラウド受付システム「RECEPTIONIST」をリリース。日程調整ツール「調整アポ」、会議室予約システム「予約ルームズ」とともに、管理業務をワンストップで効率化し、ビジネスコミュニケーションのアップデートを目指す。
株式会社RECEPTIONIST
「ビジネスコミュニケーションをアップデート」をビジョンに、日程調整・受付・会議室の予約管理などの業務を効率化することで、主体性のある仕事に取り組める環境作りに貢献する3つのサービスを提供しています。
・クラウド受付システム「RECEPTIONIST」
・日程調整ツール「調整アポ」
・会議室予約システム「予約ルームズ」

これまでの事業の変遷について教えてください。

現在の事業は、受付業務の経験を活かしたものです。私が創業前に長年にわたって行ってきた受付業務は、時代とともに技術が発展し、様々なデバイスが手軽に利用できるようになった世の中でも、未だに手書きの受付票や名刺の手渡し、内線電話での取次などアナログで非効率な作業が多い状況でした。それが私にとっては大きな課題だと感じていました。また、受付にいると、様々な方々が会社に訪れます。どんな人がどのような頻度で訪れているか、その情報は実は企業にとってとても貴重なものです。そうした課題を解決し、受付業務の可能性を深めるため、私はこの会社を立ち上げました。現在提供している「RECEPTIONIST」は、受付にまつわる業務を効率化するクラウド受付システムです。

一番感銘を受けた書籍とその理由は?

南場 智子さんの「不格好経営: チームDeNAの挑戦」という本に、私は非常に強く影響を受けました。創業期の私にとって、この本はただの参考書ではなく、経営者として生きていく上での指南書のようなものでした。この本を通じて南場さんが経験したすべてのエピソード、壮絶な困難、見事な成功、そしてその過程で得た教訓は、私が起業家としての道を歩む上での道しるべとなりました。

私が特に印象に残っている話は、彼女が初めてプロダクトをリリースする際、当時は専任のエンジニアがおらず、システム開発は外注先に任せていたのですが、リリース前日にプロダクトが完成していないことが発覚した話です。彼女ほどの輝かしいキャリアを持っている方でも、初めてのプロダクトリリースというのは想像できないようなトラブルが起こり得て、そういった困難を一つ一つ乗り越えて今の彼女の姿があると思うと、私自身もまだまだ努力が必要であることや、どんなに活躍している経営者でも、このような失敗があるのだと感じました。

また、起業時のエピソードも強く印象に残っています。コンサル会社に勤めていた彼女が、顧客の事業会社に対して、こんなサービスがあればいいですよねと提案を行っている際に、クライアントから「なんで南場さんがそれをやらないんですか?」と言われたそうです。その一言に対して明確に回答できなかった彼女は、そのまま起業に至ったという話から、起業をするには大それた目標や背景が必要なのではなく、日常の些細な疑問やきっかけから会社を立ち上げて良いということを実感したのと同時に、起業家として背中を押してくれるような感覚になりました。

読書はどのように仕事に生かせたでしょうか。

私自身、経営を行う上で日々壁にぶつかったり、つまづいたりすることがあります。その際にこの本に立ち返ることによって、元気や勇気をもらっています。この本には、南場さんの学生時代から今の地位や会社規模に至るまでの、様々なつまずきや気付きが記されていて、多くの経営者から尊敬され、憧れの的である彼女があえて「不恰好経営」とタイトルを付けたエッセンスが、たくさん詰め込まれています。そこには、経営者の見えない苦労が記されていて、対外的にすごいという印象を持たれる社長や経営者も、初めは分からないことだらけでスタートしており、日々の失敗を乗り越えてきて今があるということが、本書に集約されています。私のようなスタートアップの経営者にとっても心の拠り所となる本です。

経営において重要としている考え方を教えてください。

私が重視しているのは「社会への強い繋がりを持ち続ける」ことです。私自身が起業に至った経緯やこれまでの会社の運営というのは、周りの人の存在や家族の支えがあってこそできていることだと思っていますし、ひいては社会にキャリアを授けていただいたおかげとも言えます。この社会の繋がりに対して、今もなお感謝することが多々あるので、今後は私や当社の事業が生み出す価値をもって社会に還元していきたいという思いがあります。

また、当社が掲げるバリューの3つ目にも反映している、「覇気を纏う」という点も重要視しています。今現在社会で活躍している人というのは、偉そうというのではなく、目標や物事を成し遂げる意思を持って、積極的に取り組む姿勢がある“覇気がある人”だと感じているからです。結局、企業を形成しているのは人であり、当社のサービスを導入しようと決定する存在も人である以上、人との繋がりは切っても切れないものなので、人を惹きつける力である覇気や信頼や安心感というのは、大切なものだと思います。そして、これらは何か特別なスキルや資格が必要ではなく、みんなが意識すれば持てるもの、身につけられるものだと思うので、バリューの一つに加えました。

最後に、御社の未来構想や従業員への期待について教えてください。

株式会社RECEPTIONIST
(画像=株式会社RECEPTIONIST)

当社の未来構想は、次世代の受付業務を実現することです。具体的には、受付から内線への取次など、従来の手間のかかる作業がなくなるような社会を作っていきます。男性・女性、年齢・新入社員などの属性を超えて、本質的な仕事に集中できるような環境を創り、そのためのテクノロジー開発に取り組んでまいります。そしていつかビジネスの側にはRECEPTIONISTが当たり前になる社会を実現できればと考えています。

また、従業員一人ひとりに対しては、社会との繋がりを大切にし、自分が何をすべきかを考え続けてほしいと思います。社会に変化をもたらすというと、難しいテクノロジーを駆使したり大それた何かを実現したりしないといけないと思うかもしれませんが、そうではなく、今目の前にある当たり前が本当にそれでいいのかという視点を持っていただきたいと思います。もちろんサービスの普及によって変えられる社会の形ももちろんあるとは思いますが、それ以上に一人一人のスタンスや行動の方が、社会に与える影響としては重要で大切だと思います。そういった意味で、社会と繋がり、それを良くする存在になってもらうことを期待しています。

氏名
橋本 真里子(はしもと まりこ)
会社名
株式会社RECEPTIONIST
役職
代表取締役CEO