お墓を新しく建てる場合は当然お金がかかる。しかし、基本的に人生に一度のことであり、お墓の準備は誰しも知識がない状態でスタートすることになるだろう。
そこで、実際にどれくらいお金がかかるのか、そのお金はどう確保しておくべきなのか、終活におけるお墓の準備について考えていこう。
終活にはお墓の準備も含まれる
「終活」という言葉は現在、人生の最期を迎えるための準備を示すワードとして、広く使われ、ブームにもなっている。終活には一般的に、エンディングノートや遺言の用意、資産の整理などのほか、葬儀やお墓の準備などが含まれる。
終活は、どんな人であっても初めての体験であるだけに、準備の過程でとまどうことも少なくない。例えば、自らお墓を用意して自分の家族や親族の負担を減らそうという場合、どのような費用が発生するのか、相場はどれくらいなのか、知識がある人はほとんどいないはずだ。
費用の三大要素
お墓の費用の三大要素は「永代使用料」「墓地管理費」「墓石費用」だ。
永代使用料とは ?
「永代使用料」は、お墓を建てる土地を使用するための費用だ。「永代」という言葉がついていることから、基本的にはずっと土地を使用できるが、お墓参りをしていない状況や管理費の未納などが続くと使用する権利が消滅することもある。
墓地管理費とは ?
墓地管理費とは一般的に、墓地施設や墓地の共有スペースを維持するために負担する費用のことだ。区画面積などによって額は異なり、1年間に1回などの頻度で支払うこととなる。
墓石費用とは ?
お墓を建てる際には当然、「墓石」も必要になる。墓石の価格は石質や石材の容積、細工・加工方法、施工方法などによって大きく変わるものだが、中には墓石に1,000万円以上をかける人もいる。
平均購入価格に関する調査結果
では、一般的にこうしたお墓の準備にはどれくらいの金額がかかっているものなのだろうか。日本最大級のお墓の情報サイトである「いいお墓」が発表している「第14回 お墓の消費者全国実態調査 (2023年) 」のデータが興味深い。
一般的なお墓の場合、平均費用は152.4万円となっている。近年はお墓にかける費用が下落しており、過去5年間で以下のように推移している。
【一般的なお墓の平均費用】
年 | 費用 |
---|---|
2019年 | 154.2万円 |
2020年 | 176.2万円 |
2021年 | 169.0万円 |
2022年 | 158.7万円 |
2023年 | 152.4万円 |
納骨堂や樹木葬、散骨という選択肢も
ここまで一般的なお墓について説明してきたが、一点特筆すべき点がある。最近は墓地にお墓を建てるのではなく、納骨堂を利用する人や、樹木葬を行う人が増えている。また、散骨を選ぶ人もいる。
前述の調査では、納骨堂を利用する場合の平均価格も調べられている。2023年は77.6万円だ。樹木葬の場合は66.9万円で、ここまでに紹介した3つの形式の中で最も費用が安く済む。
散骨を選ぶ人も一定数いる。条例などで散骨できない地域もあるが、方法としては「海洋散骨」や「山林散骨」などがある。散骨の費用はどれくらいかかるのだろうか。
海洋散骨の相場は ?
海洋散骨と山林散骨では、海洋散骨の方が船を利用するため費用が高額になりがちだ。10~20万円ほどが相場となっており、遺族が船に同乗せずに業者に任せる場合は、費用を抑えられる。
山林散骨の相場は ?
山林散骨は、自分で所有する山林の場合であれば費用負担はほぼないが、お寺が所有する山林などに散骨する場合は、5万円程度までが相場となっている。
普段使いの口座とは分けてお金の管理を
お墓にどれくらいのお金をかけるかは人によってさまざまだ。100万円前後に抑える人もいれば、1,000万円以上をかける人もいる。十分に貯蓄がある人であれば、多少高額になってもお墓の費用は無理なく用意できるだろう。
しかし、いずれにしてもまとまった金額が必要になるため、お墓の費用は普段使いの口座とは別の口座に預け入れておきたい。そうすることで、お墓の準備を計画通りにスムーズに進められるだろう。
終活は「自分の家族のため」
自分が亡くなったあとのことは考えたくないと感じる人も中にはいるはずだ。しかし、終活をしっかり進めておけば、自分が亡くなって悲しむ遺族のその後の手間や負担を減らすことができる。終活は自分のためではなく、自分の家族のために行うものなのだ。
終活はお墓の準備だけではないが、遺産相続の話などと同様、お墓に関する手続きも必ず遺族が進めなければならない。そのときのために、今から準備を始めておきたいところだ。
(提供:大和ネクスト銀行)
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