M&A仲介業の業界団体「M&A仲介協会」は15日、M&A仲介業者の職業倫理を定めた倫理規程と業界自主規制ルール(広告・営業規程、コンプライアンス規程、契約重要事項説明規程)を策定したと発表した。
事業承継の第三者承継の増加とともに、それをサポートするM&A専門業者の数も顕著に増加。M&A支援での課題が顕在化してきていることから、ルールを設けて支援の質の確保と向上につなげる。
会員以外にも向けた倫理規程
倫理規程は、依頼者の正当な利益を実現するために、M&A仲介業の職業倫理を定めたもので、全十条で構成。会員のみならず、広くM&A仲介業を行う者に向けて同協会が考案した。
規程では法令や中小企業庁の定める「中小M&Aガイドライン」の遵守ほか、利益相反事項への対処や、依頼者との契約に係る重要事項の明示と適切な説明などを求める内容としている。
業界自主規制ルールは3つの規程
広告・営業規程は、会員が行う営業・類似行為の適正化を図り、依頼者の利益保護を目的とした。M&Aに係る契約の勧誘、締結、履行、解消等の一切の行為を「営業」、営業手段における勧誘行為を「広告」と規定し、禁止事項などを明示。全十九条で構成される。
コンプライアンス規程は、会員が倫理規程の精神に則り、M&A仲介業務を行うために参考にすべき行動規範を示すとともに、会員各社の役員・従業員が遵守すべき事項の指針を示すことを目的に定めた。相談・通報窓口の設置や監査の実施など、コンプライアンス体制の整備とその実効性の確保に関するものや、コンプライアンス教育の実施に関する内容が盛り込まれ、全十五条からなる。
契約重要事項説明規程は、中小M&Aにおける譲渡・譲受側双方と仲介者との仲介契約と取引内容等の留意事項を規定。会員が依頼者に実施すべき重要事項の説明について、その具体的な実施方法・内容等も明示している。M&Aの円滑な実現のために依頼者の理解促進を目的とする。
書面の作成や一定の経験年数・実績を持つ者(社内ルールによる)による説明など、契約重要事項の説明方法が詳細に規定され、依頼者に対して、仲介契約とFA契約の違いと特徴、仲介業務の範囲・内容、秘密保持に関する事項、仲介者に支払う手数料、支払条件などを説明し、理解を得ることも求めた全十五条で構成されている。
倫理規程は2024年1月1日施行。業界自主規制ルールの総則的部分も同日施行されるが、その他の部分は2024年4月1日までに順次実施する。