上智大院修了。日本ヒューレット・パッカードのコンサルタント、マクロミルにて経営企画、海外事業立ち上げを経て、2012年にキュレーションマガジンAntenna立ち上げのため、グライダーアソシエイツを創業。3年で500万ダウンロード達成、黒字化まで育て上げる。2016年にソーシャルインテリアを創業。2018年3月に日本初の家具のサブスクリプションサービスを開始。事業立ち上げ、メディア、マーケティングが専門。
■オンライン販売事業(サブスクライフ、サブスクライフ オフプライス)
■オフライン販売事業(ソーシャルインテリア オフィス構築支援)
■業務管理クラウド事業(ソーシャルインテリア 業務管理クラウド )
創業の経緯について教えてください。
創業のきっかけは、2017年にアメリカで多くのスタートアップやベンチャーがあつまる大規模なイベントに参加したことがきっかけでした。そこで様々なベンチャー企業のプレゼンテーションを聞いている中で、ソフトウェアだけでなく、ハードウェア系のサブスクリプションのサービスを展開している企業がいくつもあることに驚きました。当時、日本ではまだサブスクリプションという言葉も浸透しておらず、そのサブスクリプションをハードウェアでも提供されていることに感銘を受けたのです。
それから日本に帰ってしばらく時間が経ち、引越しをする機会がありました。そこで、家具を揃えるために様々なお店を訪れ、新居で使うための家具を探しました。しかし、良質でおしゃれな家具は高価で、逆に安価な家具ではなかなか気にいるものがなく悩んでいた際に安価で良質なものを提供できたら良いなと感じました。そこでふとアメリカで見たサブスクリプションのアイデアを家具に取り入れたらどうかと思いついたのが、現在の家具のサブスクリプションサービスの創業のきっかけです。
一番感銘を受けた書籍とその理由は?
私が感銘を受けた書籍は、『アランの幸福論』という哲学書です。サービスを立ち上げた4年、5年前くらいに読みました。きっかけは、正月にテレビを見ていた時に、NHKの教育テレビでおすすめの本を語る番組が放送されていたことです。その番組で『アランの幸福論』が紹介されました。
30代までに多くのビジネス本を読んでいましたが、心を動かされたことはあまりありませんでした。その中で、哲学書が示唆に富んでいて、組織の中で響く言葉や意識調節があったことに感銘を受けました。
特に心に残った教えは、個人が幸せに対して徹底的に考えて、幸せを追求することが”義務”だということです。これは非常に示唆に富んでいて、私たち日本人が自己犠牲を重んじる傾向があることとも関連しています。特に、経営者に多いです。会社の業績を追求することで頑張っている人が多いですが、本質的には自分の幸せを追求すべきだということです。
この考えを学んで、私自身の仕事に変化がありました。私がこれまで頑張ってきた仕事に対して、改めて新しい価値観を持つことができました。そして、ビジネス書では腹落ちしなかった部分を理解できるようになりました。
読書はどのように仕事に生かせたでしょうか。
問題が起きた際に答えを本やネットに求めるよりも、物事の考え方がとても重要だということを学びました。若い頃から悩んでいたことが解消され、自分の気持ちが楽になり、もっと頑張ろうと思えるようになりました。
哲学書には、物事の捉え方や根幹的な部分で、大事なことが書かれています。それらは、問題を対処できる、乗り越えられるという意味で、とても良い示唆があると感じています。
哲学書は、毎回感じることが違うので、読み返す価値があります。真理が書かれているので、精神論の部分でも、とてもクリアで重要なことが書かれています。
経営において重要としている考え方を教えてください。
哲学書から学んだ考え方を仕事に生かしています。具体的には、私たちの会社では、社内用の経営理念があります。また、ワークショップを実施し、心理的安全性が担保された状態で、お互いに意見を言い合い、経営理念を浸透させています。
社員全員が、経営理念を踏まえた実体験を語る場を設けています。これによって、経営理念と自分の実体験を結びつけ、理解度を高めることができているのです。
経営理念は仕事編と人生編に分かれています。仕事と人生を分けて考えることで、社内外のパートナーにも理解しやすく、モチベーションを上げることができます。社員であろうと、業務委託の方であろうと、関係なく、仕事と人生を分けて考えることが重要だと感じています。
また、このワークショップではお互いの考え方や向いている方向性を理解し合うことができます。そして、自分の考えを伝えることと、相手の考えを汲み取る力も育成することもできるのです。
最後に、御社の未来構想や従業員への期待について教えてください。
未来構想としては、当社はサブスクリプションを事業の中心としていますが、インテリア業界に関わる人たちにも当社のサポートで仕事がしやすくなるようなサービスを提供していきたいと考えています。
また、従業員には、仕事を頑張りながら人生を楽しんで欲しいと思っています。仕事が楽なことが人生を楽しむことに直結するわけではないですが、関わったサービスが世の中に影響を与える経験を通じて、お金を超えた経験価値を得てほしいと考えています。
- 氏名
- 町野 健(まちの けん)
- 会社名
- 株式会社ソーシャルインテリア
- 役職
- 代表取締役