牛丼店「吉野家」などを運営する吉野家ホールディングス<9861>が、業績予想を上方修正した。これによって2025年2月期に目指していた売上高を1年前倒しで達成し、営業利益もあと一歩のところにまで迫ることになる。

同社は業績の悪化に伴い、2019年にステーキのアークミールを、2021年に持ち帰りずしの京樽を、2022年にファストフードのグリーンズプラネットオペレーションズを相次いで売却。経営再建に取り組んできた。

中期経営計画ではM&Aなどによってラーメン事業を経営の一つの柱に育てる目標を掲げている。業績の好転に伴って、いよいよ拡大路線に乗り換える時期が近づいてきたと言えそうだ。

吉野家ホールディングスの主なM&A
(画像=「M&A Online」より引用)

営業利益が2倍に

吉野家は2024年2月期の売上高を当初予想より50億円多い1810億円(前年度比7.7%増)に、営業利益を22億円多い68億円(同約2倍)に引き上げた。

2024年2月期第2四半期に、新型コロナウイルス感染症の規制緩和に伴い人流が増加し、当初6.3%と予想していた同期の増収率が12.0%に高まったほか、増収効果に加え政府による光熱費の負担軽減策の支援などもあり、営業利益が3.75倍の大幅増益となったことから通期の見通しを修正した。

第3四半期以降の売上高と営業利益については「前回予想通りに推移する」としているが、吉野家全店の9月の売上高が前年同月比119.6%となり、上期(2-8月)の113.8%を大きく上回っているため、さらなる上振れもありそうだ。

日本発の日常食でM&A

吉野家は2023年2月期から2025年2月期までの3カ年の中期経営計画を策定しており、2025年2月期に売上高1800億円、営業利益70億円、店舗数3120店の目標を掲げている。

2024年2月期は、この目標に対し売上高が10億円上回り、営業利益はあと2億円のところにまで迫る見込みだ。

店舗数は2024年2月期第2四半期時点で、吉野家が1217店、うどん店のはなまるが436店、海外が973店で、合計2626店舗となっており、こちらは目標達成までにはまだ開きがある。

同中期経営計画では「日本発の日常食を提供する外食の事業展開とその周辺ビジネス」でM&A機会を探求するとしており、さらに「ラーメン業態を次なる柱と位置付け、中期経営計画の3年間で成長の基盤づくりを進める」ともしているため、ラーメン店などのM&Aによって店舗数が一気に増加する可能性がある。

同社は2021年2月期にコロナ禍の影響で53億3500万円の営業赤字に陥った。子会社の売却などの対策を講じ経営再建に取り組んできた成果が徐々に表れ、2024年2月期には、コロナ禍の影響の少なかった2020年2月期の営業利益(39億2600万円)を大きく上回る見込みだ。

2024年2月期は、吉野家がコロナ禍を越え復活を遂げる期になりそうだ。

M&A Online
(画像=2024/2は予想、「M&A Online」より引用)

文:M&A Online