アルファベットチョコレートなどを製造する名糖産業<2207>が、およそ20年ぶりに企業買収に踏み切る。
同社は2024年1月22日に、焼き芋や干し芋などをはじめとする和菓子や洋菓子をネット販売する、おいもや(静岡県掛川市)と、おいもやが販売する焼き芋などの商品を製造する兄弟会社の平松商店(同)を子会社化する。
M&Aなどによる「業容拡大や利益創出」と「グループ会社間のシナジー強化」を目標に掲げる中期経営計画に沿ったもので、M&Aはバウムクーヘンやゼリーなどを生産するエースベーカリーを子会社化した2002年以来となる。
同社はコロナ禍で2020年3月期に営業赤字に陥り、2021年3月期に黒字転換したものの回復の足取りは重く、2024年3月期の営業利益はコロナ禍前の2019年3月期の半分程度にとどまる見込み。久ぶりのM&Aはコロナ禍越えのきっかけとなるだろうか。
中期経営計画の達成は困難に
おいもやは焼き芋や干し芋のほかに、スイートポテト、バームクーヘン、ケーキ、どら焼き、フラワーギフトなどを販売しており、2023年9月期の売上高は21億3900百万円、営業利益は1億8600万円だった。
平松商店は、焼き芋や干し芋などの製造を行っており、2023年7月期の売上高は8300万円、営業損益は1400万円の赤字だった。
名糖の2024年3月期を最終年とする5カ年の中期経営計画「MEITO CHALLENGE 2023」は、成長戦略としてM&Aのほかに「ブランド強化」「工場の生産性・品質の向上」「組織・人事活性化」のなどの目標を掲げており、2024年3月期に売上高260億円、営業利益8億円を目指している。
その2024年3月期の売上高は233億円(前年度比2.5%増)、営業利益は1億円(同5.2%増)の見込みで、計画には届かない状況にある。
2024年3月期第2四半期の状況を見ると、主力ブランドのアルファベットチョコレートが好調だったことなどから、全売上高の85%ほどを占める食品事業の売上高は増加したものの、原材料価格やエネルギー価格の高騰などにより営業利益は大幅に減少し、厳しい状況にある。
グループ会社間のシナジーは
名糖は中期経営計画の初年度である2020年3月期に需要の落ち込みから営業赤字となったが、2021年3月期はコロナ禍の中、巣ごもり需要の高まりなどにより黒字に転換。その後も利益率は低いものの黒字を維持している。
おいもやと平松商店の業績に与える影響については、精査中として公表していないが、両社の直近の業績を見ると、目標の一つである「業容拡大や利益創出」は達成できそう。
もう一つの目標である「グループ会社間のシナジー強化」については、今後どのような取り組みを展開するのか。チョコレートとサツマイモスイーツの相性はいいだろうか。
文:M&A Online