株式会社うるる
(画像=株式会社うるる)
小林 伸輔(こばやし しんすけ)
株式会社うるる 取締役 Chief Culture Officer
大学卒業後、航空系学校の広報職、HR関連企業でのセールスを経た後、2007年株式会社うるるへ参画。
当社最大事業の入札情報速報サービス「NJSS」の立ち上げを経て、現在はブランド戦略と人事部門を管掌。
CCOとして企業文化を武器とした企業価値向上にも取り組んでいる。
また、中高生の軸を発見することをコンセプトとした一般社団法人アクシス発見スクール 代表理事、一般社団法人久野塾 アドバイザーを兼務。
株式会社うるる
労働力不足問題解決のリーディングカンパニーである株式会社うるるは「労働力不足を解決し 人と企業を豊かに」をビジョンとして掲げ、入札情報速報サービス「NJSS」や電話代行サービス「fondesk」などの複数のSaaS事業を展開する他、BPO事業、クラウドソーシング事業も展開している。
労働力不足という社会課題に即したサービスを提供することで、2017年の東証マザーズ(現グロース)市場上場以来、7期連続で過去最高の売上高を更新している。

目次

  1. 人的資本経営に対する考え方や方針
  2. 人的資本経営の取り組みで苦労した点と、乗り越えるための施策
  3. 取り組みを行う前後の変化や取り組み後の反響
  4. 今後の展望と社員に対して期待すること
  5. ステークホルダーの皆様へのメッセージ など

人的資本経営に対する考え方や方針

私たちは、社員一人ひとりが成長し続けることができ、社員が自ら進んでうるるに属し続けたいと感じられる、第二の家のような会社を目指しています。この理念を体現するために、私たちは「人材成長定着企業」という言葉を使っています。 そこで核となるのは、「イキイキ」「成長」「パフォーマンス」の三つのキーワードです。これらは、社員が自分の力を最大限に発揮し、仕事を通じて成長し、活き活きと働くことを表しています。特に、「イキイキ」とはやりがいを持って仕事に取り組む状態、そして「成長」とは、自己の理想に向かって進む過程を意味します。

また、うるる独自の価値観である「うるるスピリット」は、私たちの理念やビジョンの実現、経済的な価値の向上に不可欠な要素です。この精神を組織づくりや採用の軸に据え、人事制度を通じて浸透させています。

さらに、組織がいかに大きくなろうとも、うるるスピリットが適切に浸透し続ける組織を「シナプス組織」として定義しています。この組織形態では、社長をはじめとした経営陣から現場社員に至るまで、マネージャーなどの全てのチームリーダーが自分の階層で純度100%のカルチャーと戦略を浸透させることが求められます。この階層ごとにコミュニケーションの責任を明確に定義することにより、組織全体での統一感を保ちつつ、現場の声も適切に上層部に届けることが可能になります。シナプス組織の実現は、一方通行のコミュニケーションではなく、上から下、下から上への双方向のコミュニケーションを可能にします。

このように、うるるでは、社員が常に成長し、満足し、会社の一員として誇りを持てるような環境を創造することを目指しています。

株式会社うるる
(画像=株式会社うるる 価値創造ストーリーより)

人的資本経営の取り組みで苦労した点と、乗り越えるための施策

過去の話にはなりますが、うるるは、社員の大量採用のフェーズで、組織崩壊の危機に瀕しました。当時、会社の理念やビジョン、創業以来の価値観や文化、社員が大切にしてきたことを言語化したうるるスピリットは存在していたものの、社内に十分浸透していませんでした。そのため、採用の軸がなく、多くの中途社員が異なる基準で採用されたため、元々の社員と新入社員間の衝突が生じました。 この経験から「うるるのカルチャーや行動指針に少しでも合わない人は採用してはいけない」ということを学び、うるるのカルチャーの象徴であるうるるスピリットの浸透に力を入れ、採用から組織づくりまでも一貫してうるるスピリットを軸にして以下3つの取り組みを始めました。

1つ目は全社イベントの見直しです。 当時、年に2回実施していた全社イベントである決起会の内容を見直しました。前期の目標数値に対する結果報告などの共有を2割に抑え、会の目的やうるるの理念やビジョン、うるるスピリットの共有や今後方針などに焦点を当て、社長が熱心にコミュニケーションを図りました。各イベントを通して称賛や共感を促し、うるるが大事にするカルチャーを全社に広め、組織全体のマインド変革につながっています。

2つ目はコーポレートブログ(ULUlog) の配信です。 うるるは、理念、ビジョン、うるるスピリットなどを言葉にしてアウトプットすることの重要性を認識し、コーポレートブログを通じて積極的に発信しています。多くのコンテンツがリリースされ、これがブランディングに寄与しています。社内外において、共通の文化やメッセージが伝わり、組織文化の浸透とブランディングの向上という二つの軸で機能しています。

3つ目は採用プロセスの変革です。 採用プロセスにおいては、面接官全員を教育・研修し、候補者がうるるスピリットを持っているかを見極めるための質問ガイドを作成しました。また、採用の軸としても、もちろん能力をしっかりと見定めますが、それ以上にうるるのカルチャーとビジョンへの共感を大切にしています。これにより、採用プロセスがより一貫性を持ち、うるるの理念に共感する人材を効果的に採用できるようになりました。

しかし、その後さらに組織が拡大する中で、再び組織における課題が浮上しました。社長の声を全体に届けることが難しくなり、次第に組織文化が薄まっていき、問題として認識される頃にはすでに全体としての統一感が失われつつありました。

そこで、これから何百人、何千人、何万人という組織を目指していくにあたって、その中でもカルチャーが全社に浸透し続けるような仕組みを作る必要性を感じ、新たにシナプス組織論を提唱しました。この時期からトップダウン型の組織を脱却し、組織を体系化し、それぞれのメンバーが担うべき役割を一つ一つ明確に定義していきました。これにより、社員が迷わずに行動することが可能になり、階層を超えて純度の高い情報伝達が実現できるようになっています。

さらにコロナの影響によるリモートワークへの移行した時期から、年に2回実施していた全社イベントを年に4回に変更しました。うるる4大イベントとしてイベント毎に独自のコンセプトを導入することで、組織内におけるカルチャーの浸透と醸成を促しています。

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(画像=株式会社うるる 価値創造ストーリーより)

取り組みを行う前後の変化や取り組み後の反響

一番は会社のカルチャーに明確な統一感を感じるようになりました。今では、全社のどこを切り取っても「うるるはカルチャーが重要」という共通認識が浸透しています。これは、カルチャーの定義を繰り返し全社に伝え続けたことによる成果だと考えています。

実際、前述の施策のように、今、うるるにとって必要なものは何なのかを常に考え、取り組みをアップデートし続けています。 例えば、年4回の全社イベントを通して、うるるが重視する行動を評価し、社員同士で投票し称賛する取り組みを行いました。これにより、社員は自分たちで会社の価値観を形成しているという共通の意識が芽生えてきたと感じています。

また、施策にゲーム性を取り入れ、上司と部下の1on1ミーティングでは「徹底的な本音」と書かれたうちわを使ってフィードバックをすることで、厳しい意見や辛い話も本音で話しやすい環境を作り出しました。 このような施策は、うるるのブランディングにも寄与し、社内外での認識の統一に効果をもたらしました。

株式会社うるる
(画像=株式会社うるる 価値創造ストーリーより)

今後の展望と社員に対して期待すること

うるるは労働力不足解決という大きな社会問題に対峙しています。私たちの目標は、変化の激しい現代において、適切な問いと仮説を自ら設定し、社内外の変化に適応しながら、真の課題を設定し解決できる人材の育成です。こうした人材こそが、私たちが定義する「課題解決型人材」であり、「課題解決型人材」の管理者を「優秀人材」と考えています。

ここで、うるるとしてやるべきことは大きく二つです。 一つは、外部から「優秀人材」を採用すること。もう一つは、社内での「優秀人材」の育成です。採用力の強化に加え、社内研修を通じて、課題解決力を磨くことが必要です。

特に後者については、役員、管理職、一般社員に対して、必要な知識と技術の提供を行い、それらを実践できる体制を構築します。この取り組みは、3年以内に整備し、うるるのカルチャーとして根付かせることを目指しています。

さらに、課題解決力を身に付けた管理職には人材育成の技術を提供します。こうすることで、彼らが新たな課題解決力を持つ人材を育成するというサイクルを創出します。 うるるでは現在、新卒研修、管理職候補者向けの研修、およびキャリア入社者向けのオンボーディングプログラム「ちゅーとリアル」を実施しています。これらの施策をはじめとして、社員一人ひとりがもつ可能性を最大限に発揮できるよう、支援と機会の提供を続けていきます。

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(画像=画像=株式会社うるる 価値創造ストーリーより)

ステークホルダーの皆様へのメッセージ など

うるるは、日本の深刻な労働力不足問題に取り組む「労働力不足解決カンパニー」としての使命を担っています。少子高齢化の問題は日本の国力を大きく左右する社会的課題です。私たちは、この重要な問題の解決において、リーディングカンパニーとしての役割を果たすことを目指しています。

我々は人材力と組織力の向上を通じて、企業価値の増進を目指します。この考えは、役員陣を中心に社内での共通認識となっています。組織と人材の成長は業績向上へ直結し、それが企業価値の向上に繋がるという明確なビジョンを持ち、それに対する投資を重視しています。

一方、労働力が減少することが確実視されている中、我々の取り組みは二つの方向性に焦点を当てています。一つは、ITやDX(デジタルトランスフォーメーション)を駆使して、従来は労働力として活躍することが難しかった層(主婦、高齢者、外国人など)を労働市場に引き入れること。もう一つは、これらの人々の仕事の生産性を向上させることにあります。これにより、労働力不足問題への本質的なアプローチを実現し、少子高齢化の課題に真正面から取り組むことを目指します。

労働力不足の問題解決に向けて、革新的な方法で挑戦を続けるうるるの取り組みは、社会的価値を創出し、企業としての責任を果たしていくことを約束します。

氏名
小林 伸輔(こばやし しんすけ)
会社名
株式会社うるる
役職
取締役 Chief Culture Officer