カフェ「ドトール」の業績が急回復している。ドトールなどを運営するドトール・日レスホールディングス<3087>が、2024年1月12日に発表した2024年2月期第3四半期決算によると、2023年3月から11月までの9カ月間のドトールの部門利益は30億1400万円で、前年同期の3.56倍に達した。

ドトールだけの通期予想は公表していないが、第3四半期時点の伸び率を通期の伸び率として昨年の実績にかけて試算すると、通期の部門利益は38億円強になる。この利益額はコロナ禍前には届いていないものの、80%ほどに達する。

ドトールの9カ月間の売上高は637億8500万円(前年同期比12.4%増)で、伸び率と実績による試算では通期の売上高は848億円ほどとなり、コロナ禍前の2019年2月期(779億2400万円)と、コロナ禍の影響の少なった2020年2月期(792億5900万円)を上回る。

こうした状況を踏まえ、ドトール・日レスホールディングスでは、配当予想を2度上方修正しており、2024年2月期は前年度より10円増配する計画だ。

すでにカフェ大手のサンマルクホールディングス<3395>が2024年3月期の業績を上方修正しているほか、コメダホールディングス<3543>も2026年2月期を最終年度とする中期経営計画の目標数字を引き上げており、カフェ業界の回復が鮮明になっている。

カフェにコロナ禍前の日常が戻ってくるのはそう遠くはなさそうだ。

モーニングにも客足が戻る

ドトールの2024年2月期第3四半期は、新型コロナウイルスの5類移行に伴って、人流が回復したことで、ビジネス街や駅前立地を中心に売り上げが伸び、回復が遅れていたモーニングなどの時間帯も客足が戻ったという。

ドトールはコロナ禍の影響で2021年2月期に部門損益が27億6300万円の赤字に転落し、翌2022年2月期も2期連続の赤字(7億6500万円)に陥っていた。2023年2月期は3期ぶりに黒字に転換しものの、金額はコロナ禍前の20数%に留まっていた。

これが2024年2月期は大きく改善する見込みで、こうした状況を受けドトール・日レスホールディングスは中間期に6円、期末に4円それぞれ増配し、年40円配とすることを決めている。

M&A Online
(画像=2024/2は試算値、「M&A Online」より引用)

コロナ禍後の戦略は

ドトール・日レスホールディングスは、日本レストランシステムとドトールコーヒが2007年に経営統合して誕生した企業で、2024年2月期の売上高は1387億1800万円(前年度比9.3%増)、営業利益は72億8200万円(同2.45倍)を見込む。

同社は経営統合2年後の2009年にパンや菓子、惣菜などを製造販売するサンメリーを子会社化したほか、翌年の2010年にはユニマットライフからカフェとレストランの事業を取得したが、これを最後にM&Aからは遠ざかっている。

コロナ禍前の日常が近づくにつれ、コロナ禍後の戦略としてM&Aの再開もありそうだ。

M&A Online
(画像=2024/2は予想、「M&A Online」より引用)

文:M&A Online