出 身 地 福岡県
学 歴 明治大学 法学部 法律学科 卒
職 歴 1998年04月1日 入社
関西・東北・都内にて、モスバーガー店舗・新規事業の店長を歴任
2007年 経営管理部 法務グループ リーダー
2008年 経営管理部 法務・総務グループ リーダー
2014年 経営サポート部 法務・総務グループ チーフリーダー
2016年 経営サポート部 法務・総務グループ シニアリーダー
2018年 経営サポート部 法務・総務グループ グループリーダー
2020年 人材開発部長(2023年より経営サポート部長に名称変更)
法務・総務・人事を担当 現在に至る
人的資本経営に対する背景とこれまでの取り組み
当社が人的資本経営を行うにあたり、まず初めに取り組んだのは人事制度改革です。これは、2016年に中村が社長に就任し、管理職へのアンケートを実施した結果、人事制度が課題として最も多く挙げられたことが背景にありました。そこで、中村自身がリーダーシップを取って設計から携わり、2020年4月に当社全体の人事制度の改革が始まりました。 その中での大きな変化として、絶対評価から相対評価への移行があります。これまでの人事評価では、標準評価をベースとしていましたが、それでは頑張っている人と頑張りきれていない人が同じ評価になってしまうため、評価の意味合いがなくなってしまいます。そこで、相対評価を導入し、メリハリのある評価にすることで、頑張った人が報われる仕組みを作り上げました。これにより、個人のスキル向上やエンプロイアビリティの高まりが期待でき、結果として全体の底上げにつながります。 また、透明性のある人事制度を実現するために、給与テーブルや評価に応じた金額のアップダウンが具体的に分かるような人事制度ガイドブックを作成し、全従業員に公開しました。これにより、従業員ぞれぞれが人事評価の結果に基づく給与の計算ができるようになりました。他にも、専門職制度といった諸制度を導入して改革を進めてきました。
加えて、2022年の4月にはキャリアデザインガイドブックを発表し、自分自身でキャリアを考えられるような仕組みを整えました。具体的なキャリアパスの全体像や必要な資格、教育体系などが一目で分かるようになっており、従業員が自分のキャリアをより具体的に考えることができます。このガイドブックは、代表の中村の強い思いから作成されました。 当社は2022年に50周年を迎えましたが、百年企業に向けて、次の50年を担う一人ひとりの成長と活躍を、会社として応援したいと考えています。この仕組みは、ガイドブックに書かれており、社長自身がメッセージを発信し、全従業員に利用を促しています。
一方で、キャリアを考えたことのない従業員にとっては、まだ理解が難しい部分もあり、いきなり冊子1冊を渡されても分からないという声がありました。そのため、次は一人ひとりの悩みに寄り添いながら、さらに一歩踏み込んだ取り組みを進める必要がありました。 そこで、今年度から「キャリア自立研修」を立ち上げています。これは、役員や人事部長である私から一般職に向けて、キャリアをどのように考えればよいかや考えることの大切さを、従業員の視点に寄り添って説明しました。また、管理職向けには、外部講師を招いて、管理職の仕事の位置づけを明確化し、育成に対する意識を醸成しました。これまで、人を育てるのは人事部門の責任だという考えが当社では一般的でしたが、実際には人が育つのは仕事から学ぶことが7割、他の人から学ぶことが2割、研修が1割とされているため、管理職が人を育成する責任を持つべきだと説明しました。 しかし、管理職側の反応は様々で、大変だと感じる方もいれば、もっと人に時間を割くべきだと感じる方もいました。それにいきなり育成をするにしても、ノウハウがないという懸念点があったため、今期から新たにHRSP(Human Resource Support Partner)という役割を持つ人事メンバーを2つの本部向けに設置し、本部長の育成責任や悩みに寄り添いながらサポートする体制を始めています。今後はこれを次のラインにも広げていき、管理職の位置づけや人事の仕事が明確になり、さらに成長していく体制を整えていくことが目標です。
取り組み後の影響
人事制度の改定に伴い、管理職には目標設定と評価者の研修を、一般職には目標設定と被評価者の研修を毎年行っており、今回で三回目になります。評価の際は同じ本部内で行われ、全ての評価を公表し、評価者によって評価の塩梅が違わないかや目標設定に偏りがないかを確認できるようにしています。 また、他部門と評価について話し合う調整会議も開催しています。
これらの取り組みにより、上司は部下を公平に評価することができ、モチベーションを高め成長を促すことができます。 以前は目標設定から評価までが曖昧で、最初から結果が決まっているような感じがありましたが、今ではそういったことがなくなり、他部門から見られてしまうからこそ管理職もしっかり責任を果たしています。 また、育成面談やフィードバック面談など、上司とのコミュニケーションが充実しており、適正な評価が行われるようになったと感じます。最終評価では、フィードバックを受けつつ、次年度の課題についても話し合いながら、決定される仕組みが整っています。これにより、来期に向けた取り組みが明確になり、より良い成果を上げられると期待しています。
従業員の教育について
育成やキャリアを考える上で、従業員一人ひとりのスキルアップが大切です。私たちの教育体系は、年次研修や通信教育、ウェブで選べる研修などがあります。 また、業務に関係あることであれば、年間1回、10万円までセミナー代やビジネススクールの研修費用の支援があります。
さらに今期からは、特に一般職向けにスキル標準化プログラムを始めています。 当社は若い年次の時に店舗で働き、その後本部に来るというメンバーが多く、ビジネスに必要なパソコンスキルや文章力などが身についていない従業員が多くいます。 そこで、一般職の人たちのワードやエクセルなどのスキルを向上させることを目的として、本プログラムを導入しています。
社内エンゲージメントの向上について
当社では色々な施策で社内コミュニケーションの向上に取り組んでいます。例えば、昼休みに社内ラジオを始めたり、四半期に1回立食パーティーを開催したりして、役員から新入社員まで異なるレイヤーや部門の従業員同士が交流できる機会を提供しています。 また、管理職以上には、山梨県の河口湖付近にある研修所で合宿を行って、議題に基づいたディスカッションを行っています。これらにより普段はあまり見えない部門の情報やあまり話をしない従業員との親睦が深まることで、社内コミュニケーションが活性化し、それぞれの価値観や視座が交わり、相乗的な効果が生まれると考えています。
また最近では、オフィスにフリーアドレス制を導入し、従業員同士の横のつながりを促進しています。これにより、異なる部門の業務内容が身近に感じられ、短時間で効率的な打ち合わせができるようになりました。
今後の展望と従業員に対して期待すること
数年前から従業員に対してキャリアを考えるよう話をしていますが、キャリアの重要性は高いものの、緊急性が低いため、後回しにしがちです。 しかし、自分の人生にとっては本当に大切なものだと考え、真剣にキャリアを築くことが自分の幸せに繋がると信じています。現在は様々な取り組みを行っており、来期以降も色々な施策を始める予定です。キャリアパスも柔軟に考えられるよう、若いうちから希望部署に行って自分自身のキャリアを築くことができるように、制度や仕組みを練り直していく方針です。
従業員には真剣にキャリアを考えてもらいたいとの思いから、会社として制度や仕組みをアップデートしながら、全力でサポートしていきます。 これらをうまく活用して自分のキャリアライフを豊かなものにしてもらえたらと思います。
ステークホルダーの皆様へのメッセージ など
私たちモスフードサービスは、人事領域では、未来を担う人的資本を強化するために様々な支援の基盤を整備しながら、企業価値の向上を図ってまいります。 当社の今後にご注目いただければ幸いです。
- 氏名
- 村山 淳(むらやま あつし)
- 会社名
- 株式会社モスフードサービス
- 役職
- 人材開発部長