カレーハウス「CoCo壱番屋」を展開する壱番屋<7630>は2023年12月に、もつ鍋専門店を運営するLFD JAPAN(福岡市)を子会社化した。

2020年のジンギスカン料理店を展開する大黒商事(北海道旭川市)の子会社化、2023年3月のラーメン店を展開する竹井(京都府城陽市)の子会社化に次ぐものだ。

同社は「店舗の魅力で期待値を超える」など10項目からなる「壱番屋長期ビジョン2030」を定めており、その中の一つに「新しいことへのチャレンジ」を掲げ「これまでと異なるジャンルやメニューに果敢にチャレンジし、新しい業態の開発、展開などに積極的に取り組んでいく」としている。

ジンギスカン、ラーメン、もつ鍋の3社はこの方針に沿ったもの。2030年までにはまだ7年残っており、今後も新たな業態開発のための企業買収は続きそうだ。

アグリ事業にも挑戦

壱番屋が子会社化したLFD JAPANは、もつ鍋専門店の「博多もつ鍋 前田屋」を福岡市内に4店舗展開している。同店は、もつ鍋激戦区の博多で売り上げを伸ばしており、博多を代表する人気店だという。

これに先立って子会社化した竹井は、京都と大阪でラーメン、つけ麺の「麺屋たけ井」を、大黒商事は、北海道旭川市でジンギスカン料理店「成吉思汗大黒屋」をそれぞれ経営しており、壱番屋は3社ともに商品力や成長性が高いと判断しグループ化した。

いずれも長期ビジョンに沿ったもので、このほかにも長期ビジョンでは「安全安心な食材を、より安定的に調達するために、アグリ事業に戦略的にチャレンジしていく」との目標を掲げており、2020年に千葉県で取得した「植物工場」事業はこの流れに当てはまる。

M&A Online
(画像=「M&A Online」より引用)

中期経営計画の達成はいま一歩

この長期ビジョンと並行して、2022年2月期から2024年2月期までの3カ年の中期経営計画も進めており、最終年の2024年2月期に売上高570億円(2021年比28.8%増)、営業利益60億円(同2.35倍)を目指している。

2024年2月期第2四半期決算時に、2024年2月期の業績を上方修正し、売上高を21億円多い551億円に、営業利益を6億円多い49億円にそれぞれ引き上げた。それでも中期経営計画の目標にはいま一歩届かない。

店舗数についても、現在「CoCo壱番屋」をはじめとする外食店舗を国内外で1462店舗(2023年11月末時点)展開しており、2024年2月期の目標である国内1356店、海外250店の合計1606店には達しない見込みだ。

次の中期経営計画では、新業態の開発やアグリ事業の推進はもとより、業績数字、店舗数などを引き上げる手段としても、M&Aの出番は少なくなさそうだ。

M&A Online
(画像=2024/2は予想、「M&A Online」より引用)

文:M&A Online