トルコリラ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「政策金利は据え置きか。0.25%利上げの声もあり」トルコリラ見通し

 (通貨最下位、株価2位)

予想レンジ トルコリラ/円4.0-5.0

*高金利はリラ上昇にもインフレ抑制にも効かない
*リラは円に抜かれ年初来で最下位へ転落
*株価指数も日経に抜かれ2位に後退
*今週の政策金利決定では据え置きか
*リラは10年で10倍安
*貿易・経常赤字は改善せず
*トルコ中銀が新たな引き締め策、準備預金の一部「凍結」
*対英貿易の促進を狙う
*対円で10年連続陰線を目指すのか
*対ドルで32リラにのせる。史上最安値
*フィッチは、トルコの格付けを「B」から「Bプラス」に引き上げ
*1月の失業率は悪化
*2023年GDPは4.5%増
*政府は2026年にインフレが一桁となると主張
*米国は対露貿易に関わるトルコの銀行を制裁か
*預金の4割が外貨預金であることもリラ安要因
*エルドアン大統領はウクライナ・ロシア首脳会談を画策

(リラは円に抜かれ最弱、株価指数も日経に抜かれ2位に後退)
 3月4日週に円に抜かれて今年も最弱通貨となっている。上昇の兆しもない。政府、中銀もリラ安に切迫感は感じられない。対ドルで32リラ台へ下落。
 株は先週3.57%下落したが年初来16.71%高。ただ日経平均に抜かれて首位陥落。
10年国債利回りは27.13%

(3月21日に政策金利決定、据え置きか。0.25%利上げの声もあり)
 3月21日に政策金利決定がある。2月消費者物価は67.07%と収まる気配はない。
ただ前回声明で表明したように45%に据え置きか。大半のエコノミストは今月は政策金利に変更はないと予想しており、年内に利上げがあると予想する人もいる。
 ゴールドマン・サックスは、リラへの圧力に対処するため、今週2.5%の利上げが行われると予想している。

  高金利でもリラ安や高インフレを抑制出来ないが、他の新興国でよく見られる高インフレへの不満に対する暴動などは起きていない。外貨預金、国内高金利、財政支出で不満が和らげられているのだろう。

(リラは10年で10倍安)
 10年前は1リラは50円、1ドルは3リラであったが、どちらも10分の1にリラは減価した。その途中では、為替介入を行ったり、大統領が「トルコ国民はベッドの下に隠してある金やドルを売ってリラに換えろ」、「リラを売るものはテロリストだ」などの過激な発言を繰り返した。
 最近は、一転、介入も行わず、大統領も中銀に任せて、金融引き締めを続けさせている(かつては金融引き締めを行う中銀総裁を何度も交代させていた)。ただ中銀もリラ安を放置しているようでもある。

(貿易・経常赤字は改善せず)
1月経常収支は25.56億ドルの赤字、昨年12月も20.91億ドルの赤字。2月貿易収支は70億ドルの赤字、1月は62.3億ドルの赤字であった。
 日本と同じく、鉱産物資源の輸入が、自動車、アパレルなどの輸出額を上回る。それがリラ安に繋がっている。

(トルコ中銀が新たな引き締め策、準備預金の一部「凍結」)
トルコ中銀が3月13日に金融機関宛てに送付した指示文書で新たな流動性引き締め策を講じることが分かった。
各金融機関は、リラ建て準備預金の一部を自由に移動させずに「凍結」することが義務付けられる。この比率は資産が1000億リラを超える銀行の場合は、リラ建て準備預金の15%、資産5000億リラ超の銀行は25%となる。
トルコでは2月の物価上昇率が67%に達する中で、政府はインフレ抑制に注力する。

テクニカル分析(トルコリラ/円)

今年も最弱通貨に転落。下位で低迷、10年連続陰線を目指すのか

 日足、急落。3σ下限まで下落。3月13日-15日の上昇ラインがサポート。3月15日-18日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向く、20日線下向き。雲の下。
 週足、ボリバン2σ下限まで下落。2月19日週-26日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線下向き。
 月足、2σ下限近辺で推移。1月-2月の上昇ラインを下抜く。12月-2月の下降ラインが上値抵抗。
年足、9年連続陰線。その間52円から4円台へ沈む。去年当初は僅かに陽転していたが3月から陰転。今年1月は陽線も3月で円に抜きさられ最下位へ。

トルコリラ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

メルハバ

EU離脱後の英国がトルコとの通商交渉に乗り出す

 英国とトルコは、経済のサービス部門を対象としたEU離脱後の自由貿易協定について協議を開始した。
 英国政府は、トルコは経済協力開発機構の中で最も急速に成長している経済国の一つであり、両国間の貿易総額は260億ポンド相当であり、英国企業にとってトルコへの輸出には「大きなチャンス」があると述べた。
 

英政府は、デロイト、ディアジオ、ボーダフォンを含む英国企業が、夏に予定されている詳細な協議の第1ラウンドを前に、意見を公募することで交渉目標の形成に貢献したと述べた。
 英国の消費者はナッツ、ブルガー小麦、トマトなどのトルコからの輸入品へのより良い選択肢とアクセスが得られる可能性があると述べた。

情報提供元:FX湘南投資グループ
本レポートは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたしま す。また、本レポートに記載された意見や予測等は、今後予告なしに変更されることがございます。 なお、本レポートにより利用者の皆様に生じたいかなる損害についても、FX湘南投資グループグならびに株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承願います。