本記事は、吉野 創氏の著書『自分ものさし仕事術』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
感謝があなたの行動を強くし、行動だけが人生を変える
「上司から指示されたこと以外のことはやらない」
「なるべくミスをしないように余計なことはやらない」
こんな働き方をしている人を見かけたことはないでしょうか。
実は私自身も、こんな働き方をしていた時期がありました。
新卒で入社したばかりの私は、
「ミスをして問題を起こしたらどうしよう」
「上司から怒られるのがこわい」
こんなことばかり考えて、とにかく「自分から何か行動を起こすのはやめよう」と、とても消極的な働き方をしていました。
しかし、今、このような過去の自分に何か言えるとすれば、
「ミスを恐れて何もしない人生にどれほどの価値があるのか」
と、伝えたい、と心から思います。
なぜなら、仮にミスをしたとしても、そこから必ず何かを学び取ることができるということが、実体験から身にしみてわかったからです。
そうなれば、それはもはや「ミス」ではなく「成長」と言ってもいいぐらいです。
アメリカ合衆国の元大統領セオドア・ルーズベルトの言葉に、
「ミスをしない人間は、何もしない人間だけだ」
とあるように、何もしなければミスもしませんが、その代わり何の成長も得られないということになるのです。
別の側面から考えると、「何もしない人生」というのは、周りの環境に依存した人生とも言えないでしょうか。
周りの環境に頼り、全ての判断をゆだねていれば、自分は何も考えず、何もしなくていいのですから、無理に自分から動く必要もありません。
しかし、「自分理念」を持つと、そうした消極的な依存状態の中では、自分自身の人生を主体的に生きていくことができない、ということがよく理解できると思います。
自分で考え、実際に行動することだけが、人生を変えていくことができるのです。
では、自分から行動を起こせるようになるには、どんなことが大切なのかを考えた時に、私が最も大切だと思うことを1つだけ挙げるならば……
それは「感謝」です。
この「自分理念」をつくっていく過程では、さまざまな気づきを得られるようになります。その中の最も大きな気づきは、おそらく自分自身が周りから助けられて「生かされている」ということになると思います。
今の自分が周りに依存していて、その上で、さまざまに助けられていることに気づくこと、そしてそのことに感謝することができれば、成長への大きな一歩となります。
会社が存在していること、自分が働く場所があること、上司が仕事を助けてくれること、同僚が一緒に働いてくれること、お客様がいること、家族がいること……、よくよく考えていくと、これらは決して「当たり前」のことではありません。
その存在に感謝することを改めて意識していくだけでも、仕事の捉え方も、これからの生き方も変わってくるはずです。
そんな存在に生かされていることに感謝の念を持ちつつ、その人たちのためになる行動を、1つでも多く自分から起こしていくように心がけていくと、自分の変化に気づくことでしょう。
そして、行動を起こし続けていけば、5年後あるいは10年後、何もしなかった人との結果に大きな差が出てくることは、間違いありません。