本記事は、吉野 創氏の著書『自分ものさし仕事術』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
「自分理念」をつくる3つの発想法
「自分理念」についてお伝えしてきましたが、ここからは、実際に「自分理念」をつくる方法を具体的に説明していきたいと思います。
とはいえ、「自分理念」は一朝一夕につくれるものではありませんし、一度つくったらそれで終わりというものでもありません。
行動に落とし込み、日々メンテナンスをしながらよりよいものにしていくものです。
ですから、「自分理念」づくりには完璧を求めずに、じっくり取り組んでみていただければと思います。
「自分理念」のつくり方の発想法には、実にさまざまなものがあります。その中でも今回は、私がこれまで学んで実践したり、考えたりしてきたものの中から、比較的取り組みやすいのではないかという、次の3つの発想法をご紹介したいと思います。
- 来し方(過去)からの発想
- 志からの発想
- 行く末(未来・ビジョン)からの発想
これら3つの発想法の詳細は、のちほど説明していきますが、どれからアプローチしていただいてもかまいません。自分のやりやすい方法を選んでみてください。
1つだけ選んで取り組んでみるのもいいですし、3つ全てを行ってみてもかまいません。この3つは相互に関連し合っているので、組み合わせながら取り組んでみると、自分が大切にしているものが見出される感覚があると思います。
可能であれば、この(1)過去→(2)志→(3)未来の順番で一通り取り組んで、文字にして客観的に見てみましょう。
自分の中に新しい発見があり、より本質的な「自分理念」につながると思います。
そして、つくったものを客観的に見て「なるほど、自分はこういうことを大事にしているのか」と自分の価値観を改めて知ることで、より意識した行動を選択できるようになります。
そんな感覚を得ることをまずは目標にして、気軽に取り組んでみてください。
ここでは、まずそれぞれの発想法の概要について、簡単に説明してみたいと思います。
(1)の「来し方(過去)からの発想」というのは、あなたがこれまでに育ってきた人生、生きてきた人生を振り返りながら考えていく方法です。
これは、言ってみれば、あなたを形づくっている土台や土壌のようなものです。
(2)の「志からの発想」は、土台の上に建つ建物のようなものと考えるとわかりやすいでしょう。あるいは、土壌の上に育つ木や、木が集まってできる森のようなものとも言えます。
これまで積み重ねてきた土台や土壌の上に、どんな建物を建てたいか、どんな木を育てどんな森をつくりたいか。そんなことから発想してみる方法です。
そして、あなたの生きるこの社会から求められていることは何なのか? あなたの今の仕事を通じてその課題を解決するために、良い土台があれば、良い建物を建てることができますし、良い土壌があれば、良い木や森を育てることができますので、それぞれ社会に貢献することができます。
(3)の「行く末(未来・ビジョン)からの発想」方法は、目的地のようなものと考えるとよいでしょう。
良い土台の上に良い建物が建ち、良い木や森が育てば、そこにどんな社会が実現されるでしょうか? どんな世界になっていくでしょうか? その時、あなたはどんな理想の自分になっているでしょうか?
ワクワクするようなイメージができれば、人はその目的地に向かって進んでいけるのだと思います。
「自分理念」は、「こうでなければならない」という決まりがあるわけではありません。
自分自身が最も自然体でいられて、こんな自分でありたいという、自分の内側から湧き上がってくる想いが感じられるものであればよいのだと思います。
言葉にしたら、ぜひ紙に書き出して貼り、日々眺めてみてください。それによって、自分自身が本当に大切にしているものをイメージしやすくなります。
そうして、少しずつでも、思考と行動を「自分の本当に生きたい人生」の方向に自分で変化させていく。それこそが、「自分理念」をつくる意義なのです。