収益の柱に育つ成長の芽を見出す
―今回大阪で養殖場を作られます。その他の地域はいかがですか。
まずは大阪の養殖場を成功させて、ノウハウを得ながら各地に広げていきたいと考えています。具体的な計画を立てているわけではありませんが、JR西日本のエリアにとらわれず、全国展開する計画です。
―全国展開は今回と同じように出資をすることで実現するのですか。
まずは陸水さんとの関係をしっかり持ちながら、陸水さんが成長し拡大していく中で、我々の事業も拡大していくというイメージです。いろんな企業に出資をする考えはありません。
ただ、一緒に養殖場を整備したり、生産拡大に取り組んでいただけるような企業が現れれば、もちろん歓迎します。陸水さん以外の企業とはまったくやりませんということではありません。地域の活性化や、持続可能な社会の実現に向かって一緒にやれる企業であれば大歓迎です。
―養殖以外の分野での投資もお考えですか。
まず養殖事業を拡大することに力を入れています。その中でサプライチェーンや、加工、物流などで足りないところがあれば、そこを補ってくれる相手とアライアンスを組むことは積極的に検討していきたいと思っています。
また養殖事業を通じて得られる知見を生かしながら、さらにそこから成長するような分野などが見えてくれば、そこに対しても力を入れていくことになると思っています。
―ところで御社はCVCでありながら自社で事業にも取り組まれています。なぜ、このような形になったのでしょうか。
弊社は2016年にCVCからスタートしました。外部の技術やノウハウを積極的に活用することで鉄道事業の課題を解決することが狙いでした。
この方針に沿って、鉄道事業の生産性向上につながるような分野や、MaaS(次世代の交通サービス)、地域ビジネス、エネルギーなどの分野で投資を行ってきました。
ところがコロナ禍の中、JR西日本の収入が大きく減少したため、2021年に新たなミッションとして、収益の柱に育つ成長の芽を見出していく事業が加わりました。
種まきを行い、成長の柱となりそうな事業に育て、その後、JR西日本がM&Aなどを行い、将来の収益の柱に育てていくという流れです。
CVCの事業は従来通り続け、これに自社で営む事業が加わり現在の形になったのです。
春名隆志(はるな りゅうじ)氏
1995年、西日本旅客鉄道(JR西日本) 入社
2009年、大阪支社森ノ宮電車区助役
2012年、鉄道本部車両部検修課担当課長
2018年、金沢支社金沢総合車両所長
2021年、ビジネスデザイン部勤務(JR西日本イノベーションズ出向)
1969年生まれ、大阪府出身
文:M&A Online