事業承継が難しい企業はなにを考えるべきか
事業承継が難しい企業は、どのような対策を考えればよいだろうか。特に経営者が高齢に差しかかっている企業は、早急に計画を立てる必要がある。
そのヒントとして、以下では優先的に考えたい3つのポイントを解説する。
後継者が見つからないときの選択肢を増やす
身内や社内で後継者が見つからない場合は、視野を広げて選択肢を増やしたい。特に事業承継型M&Aは、どのような中小企業でも存続の可能性を高められる手法だ。
また、古い慣習を廃止して新たなものをとり入れると、事業承継に興味を示す後継者が現れるかもしれない。前述のアトツギベンチャーは、その分かりやすい例と言えるだろう。
後継者難の企業が事業承継を進めるには、これまでとは異なる視点をもつ必要がある。自社が置かれている状況を客観的に分析し、なにを優先すべきなのか今一度考えてみよう。
自社にコミットする専門家を探す
事業承継は難しいからこそ、自社にコミットする専門家を探すことが重要になる。
例えば、事業承継型M&AではM&A仲介会社を頼ることが多いが、相談先によって実績や得意分野は異なる。中小企業に特化した業者や大規模なM&Aに強い業者などがいるため、自社の規模・業種に合った相談先を見つけることが必要だ。
特に事業承継税制を活用する場合は、制度に詳しい専門家を見つけたい。相談をする企業側も最低限の知識をつけた上で、気になる点や疑問点を積極的に質問してみよう。
公的な支援制度を活用する
事業承継の支援制度は、前述の事業承継税制だけではない。国が実施するものに限定しても、以下のような制度がある。
<事業承継・引継ぎ補助金>
設備投資や販路開拓、設備廃棄、専門家への依頼などにかかる費用を補助する制度である。「経営革新事業」「専門家活用事業」「廃業・再チャレンジ事業」の区分があり、区分によって採択条件などが異なる。
参考:事業承継・引継ぎ補助金事務局「事業承継・引継ぎ補助金」
<経営資源集約化税制>
M&Aによって生産性向上を目指したり、経営力向上計画の認定を受けたりした場合に、設備投資分の減税措置を受けられる制度である。株式譲渡の場合は、投資額の70%以下の金額を積み立てられる「準備金の積立制度」も用意されている。
参考:中小企業庁「経営資源集約化税制(中小企業事業再編投資損失準備金)の活用について」
上記のほか、企業によっては日本政策金融公庫から融資を受けたり、税金の特例を利用したりすることも可能だ。国や自治体の公式サイトを確認し、メリットの大きい支援制度は積極的に活用しよう。