影をひそめる本格的な日本企業買い

もちろん、過去には中国企業による本格的な日本企業買いが勢いづいたこともある。しかし、近年は動きがぴたりと止まった感がある。

中国がGDP(国内総生産)で日本を抜いて世界第2位になったのは2010年。この頃、業績不振に苦しむ日本企業買いが相次いだ。

ラオックス(09年)、本間ゴルフ、レナウン、三洋電機の白物家電事業(いずれも10年)、NECのパソコン事業(11年)などが次々に中国企業の軍門に下った。

さらに、2016年に東芝の白物家電事業、2018年には富士通のパソコン事業を中国企業が買収した。2017年に負債総額1兆円超を抱えて経営破綻したエアバッグ大手のタカタの主要事業を買い取ったのも中国企業傘下の米国企業だった。

足元の2024年1~3月の対中M&Aは6件。このうち4件は日本企業による売却で、買収を上回る。中本パックス、トヨタ紡織、サカタインクス、三洋化成工業がいずれも中国子会社を現地の従業員や企業に手放すことを決めた。

文:M&A Online