主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年5月17日8時20分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼16日(木)の為替相場
(1):本邦GDP予想以上のマイナス幅
(2):豪雇用統計は内容が悪い
(3):NY連銀総裁 早期利下げに否定的な見解
(4):ECB高官 6月利下げを支持
(5):米輸入物価指数に反応
▼16日(木)の株・債券・商品市場
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:戻りを試す展開が続きそう/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
16日(木)の為替相場
期間:16日(木)午前6時10分~17日(金)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):本邦GDP予想以上のマイナス幅
日本1-3月期国内総生産(GDP)・速報値は前期比年率-2.0%と市場予想(-1.2%)を下回るマイナス成長となった。品質不正問題による自動車の生産・出荷停止の影響で消費や設備投資が落ち込んだ。GDPの半分以上を占める個人消費は前期比-0.7%で4四半期連続のマイナスだった。
(2):豪雇用統計は内容が悪い
豪4月雇用統計は、新規雇用者数が3.85万人増と市場予想(2.37万人増)を上回った一方、失業率は4.1%と予想(3.9%)を上回って悪化した。新規雇用者数の増加はパートタイマーがけん引したもので、正規雇用者は減少した。
(3):NY連銀総裁 早期利下げに否定的な見解
米NY連銀のウィリアムズ総裁は前日の4月消費者物価指数(CPI)について「過去数カ月間期待外れだったため、前向きな展開」と評価。インフレ圧力の段階的な低下という点では「全体的な傾向はかなり良好」としつつも「現時点で金融政策のスタンスを変更する理由があることを示す指標は見られない」「またインフレ率が2%の目標に向かって進んでいるという確信が近い将来に得られるとは予想していない」と述べて早期の利下げに否定的な見解を示した。その後、クリーブランド連銀のメスター総裁も「最新のCPIデータはインフレ抑制の兆しとして歓迎」としながらも「インフレ率が2%に向かうという確信を得るにはさらに時間がかかるだろう」との認識を示した。
(4):ECB高官 6月利下げを支持
仏中銀のビルロワドガロー総裁は「おそらく極めて近いうちに利下げを開始できるだけの十分な自信がわれわれにはある」として「6月6日の次回会合で利下げを実施する可能性は著しく高い」と述べた。これより前にはスペイン中銀のデコス総裁も「中心シナリオは6月の利下げ」と発言した。
(5):米輸入物価指数に反応
米新規失業保険申請件数は22.2万件と前週(23.2万件)から減少したものの、市場予想(22.0万件)は上回った。米4月住宅着工件数は年率換算136.0万件と市場予想(142.1万件)を下回った。米4月輸入物価指数は前月比+0.9%、前年比+1.1%とそれぞれ市場予想(+0.3%、+0.4%)を大幅に上回った。市場は米国のインフレ動向に敏感に反応。輸入物価指数の前月比の伸びが2年ぶりの高水準となったことを受けて米長期金利が上昇に転じるとドル買いが優勢となった。