米投資ファンドのベインキャピタルは、傘下の買収目的会社BCJ‐80(東京都千代田区)を介して、キャンプ用品を製造販売するスノーピーク<7816>をTOB(株式公開買い付け)で買収する。
スノーピークがMBO(経営陣による買収)によって株式を非公開化する取引の一環で、TOB成立後はベインキャピタルが役員数人を派遣し、海外事業の拡大やM&Aによる非連続な成長を支援するという。
ベインキャピタルとはどのようなファンドなのか。
日本企業31社に投資
ベインキャピタルは1984年設立の投資会社で、運用資産は約1750億ドル(約26兆2500億円)に達し、約300社(追加投資を含め約1150社)に投資を行ってきた。
日本には2006年に進出し、これまでに東芝メモリ(現キオクシア)や日立金属(現プロテリアル)、キリン堂ホールディングス、ニチイ学館、昭和飛行機工業、エビデント(旧オリンパスの科学事業を承継)など31 社に投資している。
事業会社やコンサルティング会社などでの経験を持つ専門家が、資本や財務面の支援だけでなく、当該企業の事業を現場レベルで支援するのが特徴だ。
海外展開やM&Aを支援
今回のMBOの交渉過程でベインキャピタルはスノーピークに対し、さらなる成長を実現するには、既存のブランド力を高めるだけでなく、海外展開やM&Aの活用を通じた非連続的な成長が必要と提案。
M&Aについては、海外を含めた投資先の選定やデュー・ディリジェンス(財務や法務、労務などの精査)をはじめ、成長計画の具体化や、PMI(M&A後の統合プロセス)など、一連のプロセスを支援する。
海外については、旗艦店の出店や、認知度向上のための販売チャネル開拓などに取り組むことを想定しているという。
スノーピークはベインキャピタルの提案が、同社が目指す方向性と近いとし、ベインキャピタルが持つ経営やM&Aに関するノウハウをはじめ、人材や資金などを活用することで、競争力の確保や企業価値の向上が可能になると判断した。
ベインキャピタルの出番は近い
スノーピークは巨大なキャンプ市場がある米国と、今後キャンプ市場の拡大が見込まれる中国を重視しており、すでに米国では直営のキャンプ場を開設し、ファンづくりに取り組んでいる。
今後、中国でもキャンプ場を開設するほか、卸売事業の拡充やEC(電子商取引)事業の立ち上げなどを進める計画だ。
こうした事業を迅速に実行するのに、M&Aの活用を見込んでおり、ここでベインキャピタルのノウハウや資金などが活きることになる。ベインキャピタルの出番は近そうだ。
文:M&A Online