この記事は2024年6月12日(水)に「羊飼いのFXブログ」で公開された「西原宏一氏の現在の相場観とFXトレード戦略」を一部編集し、転載したものです。


FXトレード戦略
(画像=wetzkaz/stock.adobe.com)

2024年6月12日(水)の午前11時すぎに、現役トレーダーの西原宏一さんから聞いた最新の相場観と戦略を紹介する。

西原宏一
青山学院大学卒業後、1985年に大手米系銀行のシティバンク東京支店へ入行。1996年まで同行にて為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後、活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラーなどを歴任後、独立。ロンドン、シンガポール、香港など海外ヘッジファンドとの交流が深く、独自の情報網を持つ。

現在の為替相場の傾向や相場観

昨日11日(火)のNY市場での注目は米アップル社だった。Apple株は前日比7.3%高の207.15ドルと、1日としては2022年11月以来の大幅上昇。わずか一日で7.3%も暴騰(米ドル/円が一日に7.3%も上がるということは、朝起きたら168円という世界を意味する)。

昨日11日(火)のメルマガで紹介したようにAppleがWWDC(世界開発者会議)で発表したAI(通常のAIの意味ではなくApple Intelligenceの略)に西原氏含め一部の参加者が期待したような革新的なものがなく、セル・ザ・ファクトもあり、一昨日10日(月)のAppleは一時下落。

ただ、AIはAppleらしく「あらゆる段階でプライバシーに配慮」しており、基本的にはオンデバイスで動作すること。仮にオンデバイスの能力が足りない場合は、Apple独自のプライベートクラウドの演算能力を利用するとしたことが評価された。

そして決定的だったのは、このAIは、iPhone15 Pro、iPhone15 ProMax、M1以降を搭載したiPadとMacしか使用できないということだ。つまりAIを使いたければ、iPhoneは最新型に買い替える必要がある。

例えば、西原氏のようなマカー(アップル愛用者)でも、現時点では、Apple Vision Proを買うより、仕事上Copilot+PCのパソコンの購入を検討しているぐらい、AIに対しては革新的でないという意味で期待はずれ。しかしAI自体は使いたいため、Appleのハードは買い替えざるを得ないということになる。

加えて、最近のiPhoneはカメラしか進歩していないので、数年に渡って買い替えていない顧客も今回は買い替えのタイミングになると考えている。つまりiPhoneを中心としたApple関連の買い替え需要が高まることを期待され、Appleは急騰したわけだ。

今後生成AIを活用しようとすると、CPUとGPU(CPUの目的は汎用的な処理を行うこと、GPUの目的は高速な画像処理を行うこと)に加え、NPU(=人工知能AIを高速処理するために設計されたプロセッサ)を積んだPCやMacの買い替え需要が高まることが予測される。

これはまたAI関連の株高につながることはもちろん、生成AI関連の会社はほぼ米企業であるためデジタル赤字につながり、ドル高・円安につながるのではないかと考えている。この意味において円安は続きそうだ。

現在の為替相場の戦略やスタンス

今週は、米CPI、FOMC、日銀金融政策決定会合、日経のメジャーSQとイベントが多く、マーケットは乱高下するのだろう。

戦略的には、スイスフラン/円、米ドル/円の押し目買いスタンス継続で臨みたい。

▽米ドル/円 日足チャート

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(画像=羊飼いのFXブログ)

*:当記事は、投資一般に関する情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。