分散投資のメリットとは?リスクやおすすめの分散投資の方法を解説
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投資に興味がある、投資を始めたい、と考える方は「分散投資」という言葉を目にしたことがあるのではないでしょうか。

分散投資は、簡単にいうと投資のリスクを減らす方法の一つです。

この分散投資のメリットを解説します。また、投資におけるリスクにはどのようなものがあるのか、その種類も解説します。

さらにはおすすめの分散投資の方法を紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事でわかること
  • 分散投資にはリスクを軽減する効果があり、安定した資産運用ができる
  • 分散投資は短期的なリターンを期待するものではない
  • 分散投資に向いているのは積立投資

目次

  1. 分散投資とは資産・地域・時間などを分けて投資する方法
  2. 分散投資のメリット2つ
  3. 分散投資の注意点2つ|短期リターンは難しく管理に手間がかかる
  4. おもな分散投資の種類3つ|資産の分散・地域の分散・時間の分散
  5. 分散投資が簡単にできる3つの投資方法
  6. 分散投資をしても損失を被る可能性がなくなるわけではない
  7. 少額からできるおすすめの不動産投資3つ
  8. まとめ|分散投資でリスクを抑えながら資産を増やそう

分散投資とは資産・地域・時間などを分けて投資する方法

分散投資のメリットとは?リスクやおすすめの分散投資の方法を解説
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分散投資とは、資産、地域、時間などを分けて投資することでリスク※を減らす方法です。

たとえば一つの投資先だけに投資をしたとしましょう。投資先の資産は価格が日々変動します。

投資先の業績や経済状況の影響を受けて、資産の価格が大きく下落する可能性がないとはいえません。

企業の株式であれば、その企業が倒産するなどの場合は、運用していた資金はなくなってしまいます。

分散投資の手法を取り入れて、異なる投資先にも投資して資産運用をおこなっていれば、すべての資金を失ってしまう可能性は低くなります。

また、他の投資先で、目減りした資金を挽回するチャンスを得られるかもしれません。

分散投資は、価格変動による投資のリスクを抑えて、安定したリターンを目指すことに適している投資方法です。

※リスク:一般的に、「リスク」は、「危険なこと」「損失」「避けるべきこと」という意味で用いられることが多く、そのように理解している方も多いことでしょう。

資産運用の分野でいう「リスク」は、「リターンが予測できない」「振れ幅」のことを意味しています。

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分散投資のメリット2つ

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分散投資を実践すると得られるメリットは大きく分けて次の2点です。

1.投資のリスクを軽減する効果がある

分散投資のメリットは、価格変動によるリスクを軽減しやすいという点です。

投資をおこなう際には、主に次のリスクが考えられています。

1. 価格変動リスク|購入価格よりも値上がりすることが確実ではない
2. 信用リスク|投資先がずっと存続しているか確実ではない
3. 流動性リスク|希望する価格や希望するタイミングで売却することができない
4. 為替変動リスク|為替レートの影響を受けるので為替差損益が確実ではない
5. カントリーリスク|国や地域の政治や経済状況の影響で生じる信用リスク

・1.価格変動リスク|購入価格よりも値上がりすることが確実ではない

売却するときに、購入したときの価格より値上がりすることが確実ではないことをいいます。

代表的なものに株式があります。債券は、途中で売却する際には市場価格の変動があります。

投資信託は、組み入れられている株式や債券の価格変動にともなって価格変動リスクがあります。

・2.信用リスク|投資先がずっと存続しているか確実ではない

信用リスクとは、借り手や発行体が約束通りに元本や利息の支払いをおこなわないリスクを指します。

簡単にいうと、資金を投資した会社などがずっと存続しているかは確実ではない可能性のことです。

投資した会社が倒産すれば、株式の場合は価値がなくなります。

信用リスクが高まると、投資家は元本を失うリスクが増し、投資の収益性が低下します。

・3.流動性リスク|希望する価格や希望するタイミングで売却することができない

流動性リスクとは、投資家が保有している金融商品を、希望する価格で、希望するタイミングで売却することができないリスクのことを指します。

現金は流動性が高いですが、金融商品に変えることで、希望するときや希望する価格で現金に換えられない可能性があるので、流動性は低くなります。

一般的に、不動産投資は高額なため売買契約が成立するまでに時間がかかるので、流動性リスクが高めです。

・4.為替変動リスク|為替レートの影響を受けるので為替差損益が確実ではない

外国の金融商品を購入し換金する際は、為替レートの影響を受けるので為替差損益が確実ではないことをいいます。

外貨で取引される金融商品は、為替レートの変動によって、円に換金するときに、購入したときの価格を上回る場合もありますが下回る場合もあります。

・5. カントリーリスク|国や地域の政治や経済状況の影響で生じる信用リスク

会社などがある国や地域の政治や経済状況の影響で生じる信用リスクのことです。

外国の金融商品を購入する場合は、カントリーリスクも考慮する必要があります。

カントリーリスク情報は、国内外の各付け会社などから発表されているので確認することができます。

分散投資は、これらのリスクに対応するために有効です。

2.安定した資産運用が期待できる

前年度の収益の様子から判断し、一度に多額の株式を購入しても、その後に値下がりして大きな損失を被る可能性もないとはいえません。

また、投資で短期的に収益を得ようとすると、常に値動きの状況を把握し、購入時期や売却時期を見極めなければなりません。

分散投資をおこなって、国内の株式や外国の株式、国内の債券や外国の債券など、バランスよく少しずつ長期的に購入し保有すると、安定した資産運用・収益が期待できます。

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分散投資の注意点2つ|短期リターンは難しく管理に手間がかかる

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分散投資は、投資のリスクを軽減し、安定した資産運用を期待できる方法ですが、その一方で、注意しておくべきこともいくつかあります。

主な注意点を紹介します。

1.短期間で大きなリターンを得ることは難しい

分散投資はリスクを低減する一方で、短期間で大きなリターンを得ることは難しいです。

なぜなら、複数の投資先に資金を分けることで、一部の投資先が大きなリターンを生んでも、他の投資先の低リターンや損失が相殺されるからです。

分散投資の主な目的は、安定したリターンを目指し、価格変動によるリスクを抑えることです。

分散投資は、短期間に大きな収益を得たい方には適していません。

2.投資先が多くなり管理に手間がかかる

分散投資では、管理しなければならない投資先が多くなります。たとえば、複数の金融商品を購入する手続きが必要です。

分散投資をおこなうには、投資するそれぞれの金融商品の安全性や収益性を考慮しながらアセットアロケーションを考えて、ポートフォリオを作成します。

アセットアロケーションとは、大まかに決めた資産配分のことです。

ポートフォリオとは、自身が保有する金融資産の具体的な組み合わせを決定し、どの銘柄でどのくらい保有するか、その配分をまとめたもののことをいいます。

金融商品は資産の種類によってそれぞれ値動きが異なるので、種類ごとに値動きを把握することが必要です。

おもな分散投資の種類3つ|資産の分散・地域の分散・時間の分散

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分散投資には、「資産の分散」「地域の分散」「時間の分散」の3つがあります。

それぞれを詳しく解説していきます。

1.資産の分散|特性の異なる資産を組み合わせる

資産の分散とは、特性の異なる資産を組み合わせて投資をおこなう方法です。

特性の異なる主な資産は次のとおりです。

預貯金 株式 債券 投資信託
貯蓄型の生命保険 不動産 コレクション

・ 預貯金だけで保有するのではなく投資を始める。
・ 株式投資をやっているので債券投資もやってみる

などど、組み合わせて分散投資をおこないます。

たとえば、株式と債券は、資産の安全性や利益の得られ方において違った特性があるので、一般的に価格が逆の動き方になります。

株式 債券
景気が良いとき
(金利が高いとき)
上昇する 下落する
景気が悪いとき
(金利が低いとき)
下落する 上昇する

投資するお金を株式と債券に分散して保有することで、デメリットを補い合う投資が可能になります。

・異なる業種の株式を購入する

また、株式を保有する際に異なる業種の銘柄を選んで購入することも分散投資といえます。

異なる業種とは、たとえば通信、金融、製造、商社などで、値動きの異なる銘柄を組み合わせると、リスクを抑えながら相場が上昇する場面にも対応可能です。

2.地域の分散|複数の国や地域を組み合わせる

地域の分散は、複数の国や地域を組み合わせて投資をおこなう方法です。

投資の対象としているものがある国は、その地域の状況などによって価格に影響を受けます。

地域を分散して投資をおこなうことで値動きのリスクを軽減することが可能です。

一つの国や地域だけに投資をおこなっていると、もしもその国や地域に災害や戦争、景気後退などが発生すると、その影響で大きく資産価値が減少してしまうかもしれません。

日本企業の株式と外国企業の株式を保有している場合は、日本で景気が悪くなったときに外国で好景気なら、大きな損失を被るリスクを回避できるでしょう。

・複数の通貨を組み合わせる

通貨を複数組み合わせることも分散投資の一つです。

円、米ドル、ユーロ、など通貨の種類を分散して投資すると、価格の変動を抑えることができます。

それぞれの国の株式や債券、通貨は、その国の状況や為替レートの変動で値動きが異なるので、値下がりした部分を値上がりした部分でカバーすることができるからです。

3.時間の分散|商品購入や売却を時間差で複数回に分けておこなう

時間の分散は、商品を購入や売却する時期を時間差で複数回に分けておこなうことです。

投資したい資金を一度に使って購入するのではなく、資金や購入する時期を分散して投資をおこないます。

株式を例にすると、価格は常に変動しています。

価格が安いときに購入して高くなったときに売却できるのが理想的ですが、簡単なことではありません。

購入するタイミングを分けて少額ずつ投資することで、価格変動による損失を軽減することができます。

長期的な視点で見れば、価格が上がる時期も下がる時期もあるでしょう。

購入時期を分散すると、購入時期を見極める必要はありません。

1回の投資額は平準化され損失の程度を抑えることが可能となり、値上がりしたときの収益を期待することにもつながります。

毎回一定額を一定間隔で投資していく方法をドルコスト平均法といいます。この方法は投資の王道ともいえる方法として知られています。

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分散投資が簡単にできる3つの投資方法

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ここでは簡単に分散投資ができる3つの方法を解説します。

1.積立投資|株式・投資信託・外貨などさまざまな金融商品を購入する

積立投資とは、定期的に一定金額で購入していく方法です。

コツコツと金融商品を購入して資産を積み立てていく投資です。

投資対象は、株式や投資信託、金、外貨など、さまざまな資産でおこなうことができます。

金融機関で銘柄を選んで設定をすれば自動的に積み立てられていきます。

普段忙しい方であっても手間がかからないので続けやすいでしょう。

・初心者はバランスファンドを選択する

「自分で商品を選ぶのは難しそう」「なんだか面倒だな」と思う方もいらっしゃるでしょう。

そんな方には、一つの投資信託の中に複数の資産が組み込まれている、バランスファンドを選択するのはいかがでしょうか。

バランスファンドは投資信託の一種で、複数の資産への分散投資や、細かい配分の調整をすべて運用のプロに任せることができます。

2.NISA|つみたて投資枠でコツコツと分散投資をおこなう

上述した積立投資で得た利益には税金がかかります。しかしNISAならば非課税です。

NISAは2014年1月からスタートし、2024年1月から新制度としてリニューアルされました。

NISAの概要は以下のとおりです。

通常は、金融商品から受け取った配当や売却して得た利益には約20%の税金がかかります。

しかし、金融機関にNISA口座を開設して投資した場合は、購入した金融商品から得た利益は非課税になります。

2024年1月からの新制度では、制度が恒久化、非課税で保有できる期間が無期限になり、より使い勝手が良くなりました。

つみたて投資枠は、その名のとおり積立投資向きです。

投資信託やETFは、それ1つに複数の銘柄が含まれているので、1つ購入するだけですでに分散投資になっています。

3. iDeCo|老後資金を自助努力で準備するための制度

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で積立て、運用する年金制度です。

掛金は所得控除され、運用益は非課税、受取時には税優遇があります。

原則として60歳までは、拠出した掛金と運用益は引き出すことはできません。

iDeCoは、投資信託のほかに元本が保証されている定期預金や、保険などの中から商品を選ぶことができるので、分散投資が可能です。

一定の条件はありますが、基本として20歳以上65歳未満のすべての方が活用することができます。

分散投資をしても損失を被る可能性がなくなるわけではない

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分散投資をしても損失を被る可能性がなくなるわけではありません。

値動きのある金融商品には価格変動リスクがあり、元本割れを起こすこともあることは忘れないようにしましょう。

また、投資信託の場合は、一般的に購入時手数料、信託報酬、信託財産留保額、解約手数料、その他の費用・手数料がかかります。

価格の値動きだけでなく、購入時や運用期間中、売却時などにどのようなコストがかかるのかも確認しておきましょう。

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少額からできるおすすめの不動産投資3つ

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分散投資をおこなう際には、ポートフォリオを組んで異なる値動きの資産を組み合わせることが大切です。

不動産投資なども、ポートフォリオに組み込んでもいいでしょう。

しかし、資金が限られている場合、不動産投資に興味はあっても資金が準備できないという方もいらっしゃることでしょう。

不動産投資には、少額から取り組めるものもありますので、以下でご紹介します。

1.不動産クラウドファンディング|1万円から投資が可能

不動産クラウドファンディングは、インターネットを通じて多くの投資家から少額ずつ資金を集め、不動産プロジェクトに投資する仕組みです。

投資家は少額から不動産投資が可能で、物件の賃貸収入や売却益からリターンを得られます。

運営会社が物件の選定や管理を行うため、投資家は手間をかけずに投資できます。

分散投資がしやすく、リスクの軽減や安定した収益が期待できます。

2.REIT(不動産投資信託)|数万円から投資が可能

REITは投資信託の一種です。

REITを発行している不動産投資法人は、多くの投資家から集めた資金で多様な不動産を購入します。

投資から得られた賃料収入や売買益などを原資として投資家に分配します。

J-REIT(日本の不動産投資信託)は、不動産を投資対象とする信託です。

投資家から集めた資金を用いてオフィスビル、商業施設、住宅などの不動産を購入し、その賃貸収入や売却益を投資家に分配します。

上場しているため、株式と同様に証券取引所で売買できます。

投資家は少額から不動産投資が可能で、分散投資によるリスク軽減や安定した収益を期待できます。

3.不動産小口化商品|数万円・100万円から投資が可能

不動産小口化商品は、多数の投資家が少額の資金を出し合って不動産を共同所有する仕組みです。

各投資家は持分に応じた収益を受け取り、不動産の賃貸収入や売却益から利益を得ます。

この仕組みにより、大規模な資金がなくても不動産投資が可能となり、投資リスクを分散することができます。

さらに、プロの運営会社が物件の選定や管理を行うため、投資家は物件管理の手間を省けます。

流動性が比較的高く、売却時にも市場価格に基づいた取引が可能です。

まとめ|分散投資でリスクを抑えながら資産を増やそう

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分散投資の主な対象は、資産の分散、地域の分散、時間の分散の3つです。分散投資は、リスクを抑えた投資をおこないたい方に向いています。

投資初心者の方は、積立投資がおすすめです。

積立投資で少額からコツコツと投資を継続すると、価格の変動があっても損失の程度を抑えながら、収益を期待できる可能性があります。

ご自身で分散投資をおこなう場合は、金融商品を管理する手間がかかります。

自分で商品を選ぶのが難しいと感じる方は、金融機関のサービスや簡単に実践できる金融商品を選択することもできます。

税制優遇制度も検討され、納得できる資産運用をおこなってください。

(提供:ACNコラム