ひと口に不動産投資といっても「新築アパート一棟もの」「中古区分マンション」「中古戸建て」「商業ビル」などさまざまなスタイルがあります。そのなかでも新築ワンルームマンション経営にはどんなメリットがあるのでしょうか。本記事では新築ワンルームマンション経営ならではのメリットを8つ解説いたします。
目次
1.新築ワンルームマンション投資とは?
ワンルームマンション投資とは、分譲マンションの一室を購入し、それを賃貸物件として貸し出す形で運用する投資方法です。
近年、都市部などのワンルームマンションは空室率が低く、資産価値が下がりにくいという点から、堅実な資産形成の手段として注目されています。
ワンルームマンション投資における収益は「インカムゲイン(賃貸収入)」と「キャピタルゲイン(売却益)」の2種類に分けられますが、多くの人がインカムゲインを得ることを目的に投資を行っています。
2.新築ワンルームマンション投資のメリット
新築ワンルームマンション経営のメリットは以下の8つになります。
2.新築は設備が最新のため、しばらくは大きな修繕がない
3.建物としての寿命が長い
4.金融機関の融資が通りやすい
5.少ない手持ち資金で始められる
6.減価償却費を経費として計上し節税できる
7.複数戸所有すればリスク分散
8.いざとなったら売りやすい
一つひとつ詳しく解説いたしますので確認していきましょう。
2-1.新築ワンルームマンションは客付けがしやすい
新築ワンルームマンションは、以下の2つの理由から客付けがしやすいとされています。
・新築限定で探している人が多い
日本では「新築信仰」が根強く、新しい建物や設備での生活が好まれる傾向にあります。
また、セキュリティや防音、耐震性などの性能面でも新築物件が優れており、新築限定で探す人が多いです。そのため、早期に契約が決まることが多いです。
・都心部では単身世帯が増加する
東京や名古屋などの大都市では単身世帯が増加し続けると予想されています。
東京都では2025年から2040年にかけて単身世帯が約18.3万世帯増加し、名古屋でも2,000世帯の増加が見込まれています。
西暦 | 世帯数 |
---|---|
2025年 | 351.4万世帯 |
2030年 | 358.6万世帯 |
2035年 | 364.8万世帯 |
2040年 | 369.7万世帯 |
西暦 | 世帯数 |
---|---|
2025年 | 26.8万世帯 |
2030年 | 27.3万世帯 |
2035年 | 27.4万世帯 |
2040年 | 27.0万世帯 |
これにより、都心の新築ワンルームマンションは高い需要を維持しています。
2-2.新築は設備が最新のため、しばらくは大きな修繕がない
不動産投資における大きなコストの一つが修繕費です。
区分マンションの場合は、共用部の修繕費は管理組合に納める修繕積立金によってまかなわれます。しかし、専有部の修繕費はそれぞれの区分所有者が負担します。
専有部の修繕費としては、退去時の原状回復費用や設備が故障した際の修理費などが想定され中古物件の場合はこれらの修繕費がかさみます。
特にキッチンやお風呂、給湯器、各種配管などの設備が壊れたりリフォームしたりすれば、費用負担は10万~200万円程度です。
新築マンションであれば完成から10年程度は過度な老朽化の心配をする必要はありません。よって、ランニングコストが不要となるケースが多いです。
退去が発生したときの原状回復もフローリングの張り替えなど多額の費用がかかる工事は発生しにくいため、場合によってはハウスクリーニングをしただけで次に人に貸せることもあります。
2-3.建物としての寿命が長い
設備だけでなく建物の寿命が長いことも新築マンションのメリットの一つです。
RC造の建物の法定耐用年数は47年ですが、これは使える期間が47年ということではありません。法定耐用年数は税法上減価償却の計算をするうえで使用する年数のため、実際は法定耐用年数よりも長期にわたって利用できることが一般的です。
コンクリートの寿命は100年以上という説もありますが、実際にどれくらいの期間使えるかは、構造と新築後のメンテナンス次第です。
区分マンションの場合は管理組合が主体となって定期的な大規模修繕工事を行いますが、これをスケジュール通りにきちんと実施すれば長い寿命を保つことができます。
2-4.金融機関の融資が通りやすい
客付けがしやすく、しばらくは大きな修繕が発生しにくいため、収益物件のなかでも手堅い運営ができるのが新築ワンルームマンションの特徴です。
また投資額も比較的低い傾向で、リスクが限定されているため金融機関からの評価も高く、融資審査に通りやすいというメリットもあります。場合によっては自己資金をほとんど投入しないフルローンを組むことも可能です。
借入期間は金融機関によって異なりますが、一般的には35年程度の長期ローンを組める場合もあります。
ローンは短期よりも長期で組んだほうが毎月の返済負担は少なくできることがメリットです。
返済負担が少なければ、手元のキャッシュフローが良化して資金繰りの改善が期待できるでしょう。
ただし同じ金利の場合、長期になればなるほど総支払額がアップしてしまうことは念頭に置いておく必要があります。
2-5.少ない手持ち資金で始められる
一般的に不動産投資のローンで必要な自己資金(頭金)は物件価格の1〜3割程度といわれます。
一例では、自己資金比率が1割で物件価格が2,500万円なら用意する自己資金は250万円で済みます。このように、少ない自己資金で大きな金額を動かすことで「最終的なリターンを最大化」できるのも不動産投資の魅力です。
不動産投資のなかでも、都心の新築ワンルームマンションは物件価値が高いため金融機関の貸し倒れが少なく、より少ない自己資金で始めやすいといわれます。
オーナーの属性(社会的信用力)が高ければ、手持ち資金をほとんど使わずにマンション経営を始めることも可能です。
2-6.減価償却費を経費として計上し節税できる
「減価償却費を計上することで節税しやすい」これもマンション経営の大きな魅力です。
減価償却費とは、建物や住宅設備の購入費用の一部を毎年一定額、継続的(法定耐用年数の間)に経費計上できる仕組みです。
前述の通り、新築マンションの建物の耐用年数は47年です。つまり、半世紀近くも減価償却費を計上し続けられるのです。
一方、同じ不動産投資でもアパートや戸建てなどの木造住宅は、新築でも耐用年数が22年しかありません。
また、中古マンションだと築年数が経つほど耐用年数が減っていきます。このように比較すると、新築マンションが節税面で有利ということがわかります。
2-7.複数戸所有すればリスク分散
マンション経営の一番のリスクとしてはやはり「空室リスク」があります。
都心のワンルームマンションは単身世帯数の増加によって空室リスクが極めて低いですが、それでも何が起こるかわかりません。
可能性は低いですが、自殺や孤独死などで事故物件になって長期空室になったり、家賃収入が減ったりする可能性もゼロではありません。
このようなリスクの軽減に有効なのが「複数のワンルームマンションを所有すること」です。
たとえばワンルームマンションを1物件所有していて、この部屋が空室になれば「空室率100パーセント」になります。
これに対してワンルームマンションを5物件所有していれば、この部屋が空室になっても空室率は20パーセントでしかありません。
つまり、所有する物件数が多いほど、1物件が空室になったときのダメージが軽減されるわけです。
2-8.いざとなったら売りやすい
・流動性が高い
区分所有ワンルームマンションは他の収益物件と比べても人気の投資スタイルなので市場において活発な取引が行われています。
したがって「売却したい」となったときも比較的早く現金化することが可能です。ワンルーム以外の不動産投資に比べて流動性が高いこともメリットの一つです。
・新築物件はキャピタルゲインが発生しやすい
一般的に国内の不動産投資は、インカムゲイン(家賃収入)重視で行うのがセオリーとされています。ただ、都心の新築・築浅マンションにおいては、キャピタルゲインが発生するケースもあります。
不動産投資におけるキャピタルゲインとは、収益物件を売却したときの売却益のことです。購入価格から売却価格を差し引いた「利益の部分」がキャピタルゲインになります(厳密には経費を含めて計算)。
都心の新築・築浅マンションだとキャピタルゲインが発生しやすい理由は、都心は住宅価格上昇の傾向が強いためです。
東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県で去年1年間に発売された新築マンションの1戸あたりの平均価格は8,101万円で、一昨年と比較して28.8%上回り、3年連続で過去最高を更新しています。(不動産経済研究所)
なかでも東京23区の平均価格は初めて1億円を超え、1億1,483万円となりました。
また、名古屋の中古マンションの成約価格は2024年の1〜3月で2,867万円で、前年比12%増加となっています。
そして、同じ都心の区分マンションでも中古よりも新築・築浅のほうが流動性が高いので売却がスムーズなケースが多いのです。
そのため、新築マンションをキャピタルゲイン狙いで購入し、出口戦略(売却までの計画)を組む投資家もいます。
3.新築ワンルームマンション投資のデメリット
新築ワンルームマンション経営のデメリットは以下の3つがあります。
・過去のデータがない
・マイホームが買えなくなる可能性がある
3-1.期待していた売却値が得られない可能性がある
新築ワンルームマンションは、新築時は高い需要があるものの、築年数が経過すると価値が下がりやすい傾向があります。
特に、周辺の新築物件が増加すると、競争が激化し、売却時に期待した価格が得られない可能性が高まります。
また、経済状況や不動産市場の変動も影響し、予測が難しいことが多いです。
さらに、物件の管理状態や立地条件が悪化すると、資産価値の減少が加速します。
これらの要因により、売却時に期待していた利益が得られず、投資リターンが低下するリスクがあります。
これらのリスクを軽減するために物件購入前にきちんと市場調査を行うことが大切です。
3-2.過去のデータがない
新築物件は過去の入居率や賃料推移などのデータが存在しないため、将来の収益を予測するのが難しいです。
これにより、収益計画やリスク評価が不確実になり、実際の運用が期待外れになる可能性が高くなります。
3-3.マイホームが買えなくなる可能性がある
新築ワンルームマンションの購入には数千万円が必要で、通常は不動産投資ローンを利用します。
この借金により、借入総額や年間返済額が銀行の基準を超えると、住宅ローンを組むことができなくなる可能性があります。
多くの銀行では、借入総額は年収の7~10倍以下、年間返済額は年収の3割以下が条件です。
例えば、年収1000万円の人でも借入限度額は約1億円です。
既に複数のワンルームマンションに投資していると、住宅ローンの借入可能額が大幅に減少する可能性があります。
そのため、不動産投資ローンを組むときは計画性を持って検討することが大切です。
4.新築ワンルームマンション投資を成功させるためのポイント
4-1.立地を重視する
安定したワンルームマンション経営を行うためには、長期的に賃貸需要が続く立地を選ぶことが重要です。
例えば、都心部で駅から徒歩10~15分以内に位置し、通勤や通学に便利で生活環境が整っている場所が理想的です。
このような立地は利便性が高いため、常に多くの入居希望者が集まりやすく、空室リスクが低いため、安定した経営が可能です。
さらに、都心部は他の地域に比べて圧倒的に人口が多いため、入居希望者の層が広いことも大きなメリットです。
4-2.正確なリスクシミュレーションを行う
ワンルームマンション投資は、曖昧な予測や甘い期待では成功しない投資です。
顕在的なリスクだけでなく、潜在的なリスクや市場の変動要因を理解し、それらが物件価格や不動産市場に与える影響を正確に予測する必要があります。
さらに、すべての要因を考慮したシミュレーションを何パターンも行うことが重要です。
具体的には、市場の需要と供給の調査、特定エリアの不動産価値のリサーチ、複数のシナリオに基づく分析、そしてキャッシュフローの詳細な分析などが含まれます。
これらの作業は投資成功の鍵を握る重要なステップです。
4-3.物件選定を徹底する
投資物件を購入する決意が固まると、運用をなるべく早く始めたいと思いますが、優良な投資物件と出会うことは非常に稀です。
成功する投資家は時間を惜しまず、さまざまな情報源やメディアから物件を探し出し、徹底的なリサーチと分析を行います。
その結果、「優良な物件」と出会うことができます。
ただし、物件探しにあまりにも多くの時間とエネルギーを費やしてはいけません。
事前に明確な目標を持って探すことが大切です。
ワンルームマンション投資では、通常は築浅の物件を狙いますが、不動産市場全体の価格上昇により、理想的なタイミングでの購入が難しいケースもあります。
そのため、物件価格の下落が一段落してから15~20年程度の中古物件をターゲットにするのも1つの方法です。
4-4.適切な不動産会社の選定
ワンルーム投資を成功するためには、適切な不動産会社の選定が重要です。
まず、「定期的な報告や連絡」「コミュニケーションが迅速で円滑なこと」「運用計画に関する共有」ができることが第一条件です。
また、不動産会社はプロとして手数料などの費用が発生しますので、その設定が適正かどうかも重要です。
自分の目指すゴールに向けて信頼できる不動産会社を選ぶためには、複数の会社を徹底的に比較し、納得のいく選択をすることが必要です。
4-5.修繕計画を立てる
ワンルーム投資の成功は、修繕計画をきちんと立てているかに大きく左右されます。
物件の価値を維持し、トラブルを予防するために、先を見据えたメンテナンスが不可欠です。
定期的な点検や予防的な修繕を行うことで、将来的な大規模な修繕や損害を避けることができます。
長期的な視点で予算を立て、修繕費用を適切に配分することが必要です。
適切なメンテナンスは将来の収益に直結するため、メンテナンスのコストは投資の一環として捉えるべきです。
4-6.低金利の借り入れ先を探す
低金利の借入を行うことで、投資物件の購入や運営に伴う費用を効率よく抑えることができます。
金利が低くなれば、収益率が向上し、高額な返済が必要となるリスクが軽減され、投資の安定性が高まります。
長期的な視点で見ても、低金利で借り入れることで経済的に安定することができると言えます。
4-7.長期入居者の確保
ワンルームマンション利用者には比較的短期の入居を希望するケースもあります。
しかし、空室になる期間を少しでも減らし、家賃収入を最大化させるためには長期で入居できるサラリーマンや学生などが理想です。
長期入居者を獲得することで、より安定したワンルームマンション投資を実現することができます。
5. 新築ワンルームマンションのメリットを押さえて将来の戦略を描こう
最後に新築ワンルームマンションのメリットをおさらいしておきましょう。
2.設備が新しいため、しばらくは大きな修繕がない
3.建物としての寿命が長い
4.金融機関の融資が通りやすい
5.少ない手持ち資金で始められる
6.減価償却費を経費として計上し節税できる
7.複数戸所有すればリスク分散
8.いざとなったら売りやすい
このように、新築ワンルームマンションには多くのメリットがあります。そのため長期にわたる戦略を描きやすいのが大きな特徴です。
不動産投資の未経験者が第一歩を踏み出すにはリスクが低いスタイルだといえます。
メリットだけでなく、デメリットも踏まえたうえで新築ワンルームマンション経営を検討してみてはいかがでしょうか。
(提供:Dear Reicious Online)
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