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(画像=光フードサービス株式会社)
大谷 光徳(おおたに みつのり)
光フードサービス株式会社代表取締役社長
1980年名古屋市生まれ。2000年、京都に本社を置く老舗の焼肉チェーン店に入社、25歳で取締役に就任。 2008年には個人事業主として立呑み業態「立呑み焼きとん大黒」を創業し、翌年に光フードサービス株式会社を設立する。 サービスの満足度を高める「接近戦」、ついハシゴしたくなる「ドミナント戦略」、スタッフのやる気を向上させる「人材育成手法の確立」などの取り組みを始め、類稀なる力を発揮し、業界内外から注目を集めている。
光フードサービス株式会社
2009年に設立。名古屋を地盤に、立呑み居酒屋「焼きとん大黒」、「天ぷら魚椿」など、4ブランドで58店舗(2024年5月末現在)を展開。10坪の小箱を上手く活用した席数を限定しない立呑みスタイルで、「365日いつでも気軽に立ち寄れる場」を提供している。新型コロナウイルスの影響を受けるも、2023年にはコロナ前実績を上回るV字回復を遂げ、2024年2月東証グロースと名証ネクストに重複上場を果たす。

目次

  1. 創業時からの事業変遷
  2. コロナ禍を乗り越えられた理由
  3. 今後の事業戦略や展望
  4. 今後のファイナンス計画や重要テーマ
  5. ZUU onlineのユーザーに⼀⾔

創業時からの事業変遷

ーー 創業から現在に至るまでの事業変遷をお聞かせください。

大谷:当社は2009年に飲食店として創業しました。僕が27歳の時に1号店を創業し、翌年に法人化しました。創業から16年かけて、名古屋、東京、仙台、広島の一都三県を中心に出店数を増加させて成長して、最終的に上場することができました。

ーー その中で何かここがターニングポイントだったというところがございましたら、いくつかご紹介いただければと思いますがいかがでしょうか?

大谷:直近で一番大変だったのはコロナですね。営業ができない状況やお酒の提供ができないといった制限があったことで、大変振り回されました。また、上場準備のタイミングが重なったので、これはちょっと厳しかったです。会社が潰れるんじゃないかというような状況になりましたが、そこが大きなターニングポイントになったと思います。

会社経営はいいときもあれば、大変な時期も何度かありました。本当にジェットコースターのような15年でした。その中でも、やはり一番コロナの3年間(2020年から2022年)は非常に大変だったというふうに思っています。

コロナ禍を乗り越えられた理由

ーー コロナ禍においても積極的に出店拡大されてきたとIRの資料でも拝見していましたが、どのような戦略でコロナ禍を切り抜けられたのでしょうか?

大谷:新規出店ももちろんしましたが、私たちが得意としている新規出店の仕方はドミナント展開と言いまして、一つのエリアで複数店を出店していくのが得意な勝ちパターンです。コロナ禍でも実際に出店していたのは、このドミナント展開による店舗の増店でした。要するに、私たちの勝ちパターンを一生懸命磨いていた最中でした。

私たちのビジネスモデルは居酒屋でありながら、既存店の売上が伸び続けていく非常に稀なもので、常連のお客様のライフタイムバリュー(LTV)が非常に高いです。お客様がどんどん常連になっていくことで、来店頻度が上がっていくのです。

そのための重要な施策の一つとして、ドミナント展開を強めていくことが非常に重要であり、コロナ禍でお客様が居酒屋に行けない、お酒が飲めない状況になった時に、既存のお客様をいかにつなぎ止めるかということを大切にしてきました。

営業時間の制約やお酒が出せないといった状況の中で、コロナ禍が永遠に続くわけではないと考え、アフターコロナで成長できるための種植えとして、常連のお客様をつなぎ止めることと、来店頻度を高めるために必要な出店ということで、ドミナント展開の増店を継続して行っていました。

光フードサービス株式会社
(画像=光フードサービス株式会社)

ーー その中でもコロナ禍を切り抜けるという意味では、どのような施策や工夫があったのでしょうか? 補助金などもあったかと思いますが、一番の決め手としてはどのようなことをされて続けられたのでしょうか?

大谷:やはり既存店の売上をなるべく早く戻すことが重要でした。資料は創業店の売上の推移で、私が創業者で初代店長だった時の売上が約300万円からスタートし、16年かけて1,000万円近くまで伸びています。これが1号店のトレンドで、他の店舗も同様のトレンドを辿っています。

コロナ禍が終わった後、どのようなトレンドをたどるべきかと考えたとき、私たちのビジネスモデルの強みである常連のお客様のLTVの高さや来店頻度に着目し、右肩上がりのグラフを1日も早く回復できるような方法を考えました。そのために重要なKPIとして常連様の来店頻度などに注力しました。

光フードサービス株式会社
(画像=光フードサービス株式会社)

今後の事業戦略や展望

ーー ありがとうございます。常連客数という独自のKPIがIR資料にも記載されているのを拝見しました。今後、このKPIを追いかけて伸ばしていくことが基本の成長戦略になっていくのでしょうか。また、コロナが明けてインバウンド需要もある中で、今後の成長の可能性や展望についてお伺いできればと思います。

大谷:そうですね。今後の成長の展望としては、既存店の売上が16年経ってもまだ伸び続けていることがあります。また、若い1年生、2年生、3年生という店舗もたくさんある状況です。飲食店なので物理的な制限もありますが、まだ若い店舗を中心に、常連様の数を増やしていくことで既存店の売上が伸び続けるトレンドが続くと考えています。

既存店の売上を110%に伸ばしていきながら、新しいエリアの新規出店やドミナントエリアの増店も重ねていく予定です。現在(2024年5月末)58店舗あるので、年間で6件ぐらい出店し、80店舗になれば8件ぐらい出店し、いずれ100店舗になれば10件出店し、200店舗になれば20件出店するようなペースで成長していくつもりです。

このように、既存店も新規出店も110%成長ぐらいを見込んで、複利が効いて120%の成長を粛々と重ねていこうと考えています。急激な成長を狙うのではなく、これまで通りの経営資源を使って、複利で120%成長を5年、10年と手堅く続けられるという自信があります。

今後のファイナンス計画や重要テーマ

ーー 今回光フードサービスが株式市場に上場されたことで、資金調達の選択肢が広がったと思いますが、このあたりのファイナンスについての考えをお聞かせいただけますでしょうか?

大谷:そうですね。今回のIPOでは公募のみで売り出しをせずに資金調達したので、会社に約8億円が入りました。これを全て新規出店の投資に当てていくつもりです。一件あたりの新規出店コストは、おおよそ2,300万円ほどで、約35店舗分の資金を調達できたと言えます。

今後の信用力や知名度を活用して、新規出店の精度を高めつつ、既存店の売上が継続的に成長していけるように、優秀な人材の確保に努めていきます。まずは、見えている新規出店という部分を積み重ねていくという方針です。

ZUU onlineのユーザーに⼀⾔

ーー それでは、最後の質問に移りたいと思います。ZUU onlineの投資家に向けたメッセージは何でしょうか?

大谷:当社はあまりバズらせることも、流行りに乗ることもなく、急成長も目指していません。地道にコツコツと1.1倍程度の成長を続けることを大切にしています。そのため、リスクマネーを求める方からすると、退屈な会社に見えるかもしれません。

しかし、例えば10年間1.1倍の成長を続けると、売上は約2.5倍になります。収穫の秋になると、その成長は決してバカにできないものになります。急成長株がお好きな方には退屈に映るかもしれませんが、ぜひ応援していただけると嬉しいです。

また、私自身はあまり表に出るのが好きではありませんが、IR活動には積極的に取り組んでいます。機関投資家だけでなく、個人投資家の方ともコミュニケーションを取りたいと考えています。

ーー 本日はお時間いただきまして、誠にありがとうございました。

氏名
大谷 光徳(おおたに みつのり)
会社名
光フードサービス株式会社
役職
代表取締役社長