1977年生まれ、奈良県出身。大学卒業後は100円均一にて店長や管理部門の財務を経験。その後、上場企業2社で財務に携わり、(株)やる気スイッチグループにて取締役就任。2017年、株式会社ジンジブの代表取締役佐々木との出会いを機に、同社に参画する。2018年に取締役、2023年に常務取締役に就任し、経営企画部を統括する。「夢は、18才から始まる。」をスローガンに若者支援事業に日々奔走している。
創業時からの事業変遷
ーー 創業時からの事業の変遷についてターニングポイントを簡単にご紹介いただけますか。
新田 :弊社は1998年に創業した当初、携帯業界の広告代理店として業務を行っていました。その後、携帯電話の販売代理店への広告代理店事業を手掛けるようになりました。経営理念としては、「人」と「未来」を大切にすることを掲げています。創業者である佐々木が独立する際、倒産した会社の経験から、人を大事にし、将来を見据えた経営判断を行うことが重要だと考えました。そのため、当時の会社名である「ピーアンドエフ」は「ピープルアンドフューチャー」の頭文字を取りました。その中で、従業員の夢を実現する「マルチドリームカンパニー」を目指し、事業の多角化・拡大に力を入れるようになりました。
当時、中小企業では若手人材不足が問題となっていました。佐々木自身が高卒であったことからも、高卒の採用がこれからの労働力不足を解消する手段として有効であると考え、株式会社ジンジブを立ち上げ、2015年にジョブドラフトNaviを始めました。また、2019年からはリアルな合同企業説明会(ジョブドラフトFes)も開催しています。
今後も、高校生をドメインに据え、人材不足の解消に向けた事業を展開していきます。また、「若者に希望を与えるNo.1企業」を目指し、さらなる事業の拡大を進めていく予定です。
上場を目指された背景や思い
ーー やはり、高卒人材の採用を重視したことが大きなポイントだったのですね。
新田 :そうですね。広告代理店事業も順調に推移しており、高卒就職支援事業も始めていました。上場を具体的に意識したのは2016年頃からでした。当時はグループ全体で上場を検討しており、事業子会社を統括するホールディングカンパニーでの上場を考えていましたが、事業が複数あることで株価のディスカウント評価を受ける想定もあり、焦って上場する必要性もないと考え、一度は中止しました。
ーー その後の転換点は何だったのでしょうか?
新田 :2019年に、高卒就職支援事業に事業を一本化し、グループ組織再編にて1社に合併する意思決定をしたことは大きな転換期となりました。これにより、広告代理店や人材紹介事業を捨て、未来ある高卒就職支援事業に一本化しました。実際には2020年1月にグループ組織再編を行っています。
高校生の就職活動では、学校の先生から紹介された中から一定期間は1社だけに応募するルールがあります。面接の日程調整や合否の連絡も、企業は学校の先生に伝えることになっています。このようなルールがある就職活動において、高校生の将来を形成する支援を行い、若年層の社会活躍を実現するためには、何よりも「公からの信用、信頼」が必要だと感じ、そこで2022年から再度本格的に上場準備を始めました。
ーー 2019年から2020年の頭にかけて事業を一本化した際、実績のある事業も捨てたことで苦労があったと思いますが、社内の反応はどのようでしたか?
新田 :経営陣として意図をしっかり伝えた上で、メンバーも高卒就職支援事業の社会貢献性や社会課題解決力に期待してくれていました。ただ、広告代理店をやりたいというメンバーももちろんいました。彼らの人生や希望もあるので、無理強いするのではなく、将来の選択は従業員の皆さんに任せました。それでも結果的にほとんどのメンバーが残ってくれたことは非常にありがたかったです。
今後の事業戦略や展望
ーー それで、ビジョンに向かって再出発することができたということですね。これまでの成長の過程についてお話いただきましたが、今後の展望についても伺いたいと思います。今後の成長戦略における重要なポイントについて教えていただけますか?
新田 :はい、ありがとうございます。実は、2020年1月に1社体制にした後、コロナが発生しました。当然世の中の企業は将来投資である新卒採用への投資をとめていきます。この中でも、しっかりと高校生のすばらしさを伝えていきました。逆張り、ではないですが、こういう状況だからこそ、今までやってきたことを再度見直し、やり方を変えていきました。その結果、それ以降の順調な伸びも実現できたと思っています。
地方の高校生に対して、選択肢が限られていることから、地方の支援が求められていると感じています。現在、全国で10都市ほど直営展開をしています。直営エリアも中期経営計画上20拠点までは増やしていきますが、同時に地方代理店制度を展開することでエリアを拡大していきたいと考えています。当社は金融機関との提携が強みであり、現在80行以上の金融機関とビジネスマッチング契約を結んでいます。継続的に商談リードを確保できる体制があることは、地方代理店を運営していただくパートナーにとってもプラスに働くものと考えております。
今後の成長戦略としては、新卒採用を主とした当社人員体制、及び広告宣伝活動を強化し、直営エリア拡大・地方代理店拡大を行うことで、生産性を向上させ、利益確保を実現していきます。また、高卒社会人の転職支援など、若年層に寄り添ったサービス展開を拡充することで市場性を広げていきたいと考えています。
ーー ありがとうございます。銀行から安定的にリードが供給されることは、地方の企業も困っていることを示していますね。
新田 :はい、現在中小企業は人手不足が深刻です。当社を頼って声をかけて頂くケースは増えています。
今後のファイナンス計画や重要テーマ
ーー ファイナンス計画と重要テーマについて伺いたいと思います。今後、御社が急成長し、成長確度を上げていく中で、人的投資や広告投資が重要だと思いますが、それ以外にもM&Aの実施などで非連続的な成長を目指されているのでしょうか。この辺りのファイナンス計画や考え方、活用方法などをお聞かせいただけますでしょうか。
新田 :M&Aや事業提携も手段の1つとして、高校生の進路支援強化や新たな就職の道を整備することが重要だと考えています。例えばIT業界の高卒求人は、高卒求人全体の1%未満となっています。他の業界においても、高卒求人にはなかなかない業種・職種というものは存在します。そういった分野で道を作ってあげるためにも、同じ志を持って頂ける企業との協働を増やしていきたいと考えています。その手段の1つとして、M&Aや事業提携も、もちろん積極的に検討していきたいと考えています。
ーー なるほど、ありがとうございます。すべて高校生の選択肢を増やすことに集中して今後も取り組まれるということですね。
新田 :はい、そうです。それが最優先です。
ZUU onlineのユーザーに⼀⾔
ーー 最後にZUU onlineのユーザー様へ一言お願いできますか?
新田 :わかりました。我々はまだ小型の案件ですので、なかなか注目していただけないところもあると思いますが、やはり実績をしっかりと作っていくことが、株主の方に歓迎される最短の道だと考えています。
また、日本の就職文化を高卒のレベルで改善していきたいと真剣に考えている会社ですので、ぜひ期待していただきたいですし、応援していただく意味合いでも、株式にご注目いただければありがたいと思います。
ーー 本日はお時間いただきありがとうございました。
- 氏名
- 新田 圭(にった けい)
- 会社名
- 株式会社ジンジブ
- 役職
- 常務取締役