本記事は、大原昌人氏の著書『ハッタリの作法 自分を最高値で売る「見せ方」と「辻褄合わせ」の技術』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

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(画像=gesrey / stock.adobe.com)

現実的な目標を「偉業」であるかのように錯覚させるハッタリ術

ビジネスの場面でも、期待値のコントロールができていれば相手にいい印象を残すことができますが、そこのハッタリができない人は損をしてしまいます。

たとえば私は、企業YouTubeチャンネルのプロデュースをするとき「目標は半年でチャンネル登録者1,000人です。ここまでいけたら全YouTubeチャンネルの上位1%だからスゴイですよ!」ということを必ず最初に伝えるようにしています。

なぜなら一般の人がYouTube登録者数と聞いて思い浮かべるのは「ヒカキン1,700万人」「はじめしゃちょー1,100万人」というレベルの世界なので、半年やって1,000人だと「全然成長していないじゃないか。コンサルを頼んでいる意味があるのか」と思われてしまうからです。

そんなクレームが発生しないよう「登録者数は半年で1,000人いったら大成功」というようにクライアントの期待値を低めに設定したうえで、半年後1,500〜2,000人にもっていけるようにプロデュースする。そして「1,500人達成ということは、上位1%を500人も超えて、上位1%の中でもトップクラスじゃないですか!」とお伝えすると、「大原さんにプロデュースをお願いしてよかった」と喜んでいただけるわけです。

同業者でも、こうしたハッタリの技術がない人はかなり苦戦しています。知り合いに何人かYouTubeコンサルを始めた人がいるのですが、どこで最初につまずくかというと、やはり「半年で1,000人」の壁なのです。

そもそもYouTubeのアルゴリズムでは、立ち上げたばかりの新参チャンネルは優遇されず、バズりにくいようになっています。なので、どんなに有望なチャンネルでも、最初の半年から1年くらいはコツコツと下積み投稿をする必要があります。私のYouTubeチャンネルも、今でこそ登録者数が12万人を超えていますが、最初はどうだったかというと、半年で1,000人、1年でようやく1,500人という感じでした。

コンサルティングを行うのであれば、そうした実情を最初にしっかりと伝え、クライアントがYouTubeに対して抱いている印象を上書きしておかないと、「あなたに頼んでいるのに全然伸びないじゃないか!」と思われてしまいます。実際、私の知人もそれでクレームになり、700万円の大型契約を途中で解約されてしまったということです。

こうした事態を回避するためには、実現可能な小さな目標を提示しつつ、「これは決してちっぽけな目標ではなく、達成できたらすごいことなのだ」と相手に思わせることが肝要になります。目標を明言せずに不言実行でやろうとするのも、反対に「半年で登録者数10万人を目指しましょう!」などと大きすぎるハッタリをかますのも、どちらも得策ではありません。

ハッタリというと、大きなことを言って相手を圧倒するイメージが強いかもしれませんが、それだけがハッタリではありません。大きなハッタリは、あくまでも目標や方向性を語って強い印象を残すためのパフォーマンスです。

実際のビジネスの場では、小さなハッタリ(現実的な目標)を、さもすごい目標であるかのように錯覚させながらコツコツ達成していって、「この人はハッタリを現実にする力がある」と思わせていくことの方が重要なのです。

この「大・小」の使い分けが巧みなのがキングコングの西野さんで、彼は「ディズニーを倒す!」という大きなハッタリを掲げて周囲を魅了しつつ、小さなハッタリ(創作活動)を積み重ねることで着実に目標に近づいています。あるいは漫画『ONE PIECE』の主人公ルフィは「海賊王になる」という大ハッタリをかましつつ、小さなハッタリ(バトルでの勝利)を積み重ね、周囲の信頼や畏敬を勝ち取っています。

ビジネスにハッタリを持ち込む際には、こうしたハッタリの「大・小」の使い分けも意識してみてください。

『ハッタリの作法』より引用
大原昌人(おおはら・まさと)
元「楽天市場」プロデューサー/株式会社ダニエルズアーク代表取締役

慶應義塾大学環境情報学部卒業。楽天市場全体のビジュアルを統括するWebプロデューサー・ディレクターとして、数々のヒット企画に参画する。2016年4月、熊本地震発生直後に4万4000人を巻き込む一大プロジェクト「買って応援企画」を達成し、同年「楽天市場 MVP 賞」を受賞。2017年からは、国内最大級の流通額を誇る「楽天スーパーSALE」の総合プロデューサーに当時最年少で就任。4万8000店舗の統括を行いながら、流通総額600億円強の売上最高記録を生み出した。
2018年、株式会社ダニエルズアークを設立し、代表に就任。コカ・コーラ、サムスン、花王など、大企業からの引き合いが絶えず、YouTube・TikTokプロデュース事業では、コンサルティング実績200チャンネル以上。累計391万チャンネル登録を超えるYouTube・TikTokチャンネルのプロデュースに関わっている。
2023年にリリースした高級アイスクリーム自社ブランド「Cellato」では「世界で最も高額なアイスクリーム」としてギネス世界記録を取得し、世界中のテレビ・新聞・ラジオ等で反響を呼んでいる。
著書に『4000万人の購買データからわかった! 売れない時代にすぐ売る技術』(サンマーク出版)『すべての仕事を2分の1の時間で終わらせる ガチ速仕事術』(ぱる出版)『これからの集客はYouTubeが9割』(青春出版社)など多数。

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