本記事は、大原昌人氏の著書『ハッタリの作法 自分を最高値で売る「見せ方」と「辻褄合わせ」の技術』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
ハッタリの反対語は「正直」「謙虚」ではなく「保身」「自虐」
ハッタリができる人とできない人とでは、できる人が評価される。
ハッタリの利いた商品とそうでない商品とでは、ハッタリの利いた商品が売れる。
こうした疑いようのない事実を突きつけられてもなお「自分には無理だ」と言ってハッタリを実践しない人がいます。
ハッタリの有用性を認めているのに自分ではやろうとしない理由は何かといえば、1つには相手への礼儀や配慮が考えられます。たしかに相手との関係性によってはハッタリを控えた方がいい場面はあり、私だって時と場合によってはハッタリを封印して謙虚にふるまうこともあります。
ただ私が見る限り、ハッタリを実践しない人の多くは、相手を尊重するためにハッタリを控えているのではなく、単に「自分が変な目で見られたくない」「目立ちたくない」という理由で口をつぐんでいるにすぎません。それは謙虚というよりも保身であって、別に褒められるようなことではありません。
もう1つの理由として、コミュニケーションの基本が「自虐」になっている人もいます。
日ごろから自虐的なジョークやコメントによって他者との関係構築を図っている人は、ビジネスの場でもつい自虐癖が出てしまい、ハッタリをかます流れが作れないのです。
しかしビジネスでもプライベートでも、自虐キャラを演じて得をすることはほとんどありません。
一例を挙げると、私の知り合いのベテランカメラマンのもとに、あるとき〝おいしい仕事〞が舞い込みました。新規のクライアントから撮影の依頼があり、しかもその撮影料というのが、普段その人がもらっているギャラの約2倍の額だったのです。彼は喜んでその依頼を引き受け、張り切って撮影にのぞみました。
問題は、そのときの彼の言動です。本当であれば精一杯のハッタリを利かせて、自分がいかに有能であるかをアピールすべきところ、彼はあろうことか「僕みたいなカメラマンにこんな高額なギャラを払ってもらってすみません、ありがとうございます」と言ってしまったのです。
それを聞いたクライアントは「そう言われちゃうと僕ら不安になりますね」と苦笑いし、当然のことながら、2回目以降の発注はありませんでした。
カメラマンの彼は「僕みたいなカメラマンに……」とへりくだることで「謙虚で感じのいいカメラマン」を演出しようとしたのでしょう。けれどもクライアントは腰の低いカメラマンを求めているわけではなく、予算内で一番腕の立つカメラマンに撮ってほしいと思って発注しているのです。その期待に応えるためにも、彼は「この業界では僕がトップですよ」というくらいの態度で撮影にのぞみ、クライアントを安心させてあげるべきでした。
この例からもわかるように、ハッタリは決して悪いことではなく、ハッタリをかました方が相手のためになる場面も多々あります。もしもカメラマンが変な自虐に走らず、自信に満ちたそぶりで対応していたとしたら、クライアントは大船に乗った気持ちで安心して見ていられたでしょうし、本人も気前のいいクライアントから信頼を獲得してWinーWinの関係ができていたはずです。
9割の人が知らずに損している「運がイイ人」のトリック
ハッタリはビジネス上のチャンスを呼び込むだけでなく、目に見えない運気まで引き寄せます。
調子が悪いとき、多くの人はその不調をそのまま受け止めて「最近調子が悪いな」「運が落ちているな」などと言ってしまいがちですが、大きく成功している人は、そういうネガティブな言葉を一切口に出しません。たとえ手痛い失敗や不運があったとしても、そのできごとを前向きにとらえなおし、ポジティブな言葉に変換して口にします。
たとえば年末に事業でよくないことが起きたとして、ふつうの人なら「うわっ、年末にこれかよ。悪い締めくくりになっちゃったな」と嘆くところ、成功者は「年末に運の調整ができたから、来年は期待できそうだ」というように、マイナスの要素もプラスに解釈して発言するのです。
これには2つの効果が期待できます。
まず1つは対外的な効果で、愚痴ばかり言っている人よりは、調子が悪くても笑顔を忘れない人と一緒にいたいと思うのが人情ですから、ポジティブにハッタリをかませる人はそれだけで人脈とチャンスが広がります。
もう1つの効果は自己暗示です。自分の口から出る言葉を一番近くで聞いているのは自分なので、「調子が悪い」と言い続けていたらどんどん気分が落ち込みます。反対に、たとえハッタリでも「いいぞ、いいぞ~」と口にしていれば、それが自分への言い聞かせとなって気持ちも上向いていきます。言葉に力が宿る「言霊」の正体は、こういうことなのだと思います。
ハッタリで発した言葉が現実になっていく例を1つご紹介します。
日本では少し前からポーカーブームが来ていて、ハマる経営者が続出しています。自分の持っているチップをどう使うか、どこで勝負をかけ、どこでアクセルを踏みこむかなど、ポーカーには経営の縮図のような一面があるからでしょう。
ポーカーの大会は世界中で開催されていますが、国内の大会は賞金が低いので、プレーヤーの多くは海外で覇を競います。そんな中、最近めきめきと頭角を現してきたポーカープレーヤーに清水望さんという方がいます。彼は20代でIT企業を創業し、イグジットを果たした経歴を持つバリバリの経営者です。ポーカープレーヤーとしての経験は浅いものの、昨年は日本人トップとなる約2億円の賞金を得て「日本プレーヤーオブザイヤー2023」にも選ばれました。
彼がすごいのは、ポーカーの技よりも言葉のパフォーマンスで、プレー中には常に「引ける! 波動!」などと叫んで自分を奮い立たせ、本当に目当てのカードを高確率で引き当ててしまうのです。強いポーカープレーヤーには多かれ少なかれこうした一面があり、たとえ負けるはずがないような局面で負けてしまったとしても、決して泣き言は言わず、ポジティブな言動をつらぬきます。
ポーカーは運のゲームだと思われがちですが、強運のポーカープレーヤーは運を天にまかせるのではなく、ポジティブなハッタリをかますことで、みずから運を引きこんでいるのです。
ビジネスの成功も、プライベートの充実も、ギャンブルで勝つための運さえも、ハッタリをかますだけで手に入るのだから、やらない手はないでしょう。
ハッタリは、ちょっとしたコツさえ知っていれば誰でも実践でき、すぐに効果を実感できる、最高にコスパのいいビジネス戦略であり処世術です。
慶應義塾大学環境情報学部卒業。楽天市場全体のビジュアルを統括するWebプロデューサー・ディレクターとして、数々のヒット企画に参画する。2016年4月、熊本地震発生直後に4万4000人を巻き込む一大プロジェクト「買って応援企画」を達成し、同年「楽天市場 MVP 賞」を受賞。2017年からは、国内最大級の流通額を誇る「楽天スーパーSALE」の総合プロデューサーに当時最年少で就任。4万8000店舗の統括を行いながら、流通総額600億円強の売上最高記録を生み出した。
2018年、株式会社ダニエルズアークを設立し、代表に就任。コカ・コーラ、サムスン、花王など、大企業からの引き合いが絶えず、YouTube・TikTokプロデュース事業では、コンサルティング実績200チャンネル以上。累計391万チャンネル登録を超えるYouTube・TikTokチャンネルのプロデュースに関わっている。
2023年にリリースした高級アイスクリーム自社ブランド「Cellato」では「世界で最も高額なアイスクリーム」としてギネス世界記録を取得し、世界中のテレビ・新聞・ラジオ等で反響を呼んでいる。
著書に『4000万人の購買データからわかった! 売れない時代にすぐ売る技術』(サンマーク出版)『すべての仕事を2分の1の時間で終わらせる ガチ速仕事術』(ぱる出版)『これからの集客はYouTubeが9割』(青春出版社)など多数。※画像をクリックするとAmazonに飛びます。
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