本記事は、大原昌人氏の著書『ハッタリの作法 自分を最高値で売る「見せ方」と「辻褄合わせ」の技術』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

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(画像=Parradee / stock.adobe.com)

ハッタリをかますだけで、仕事もプライベートも3倍得する

ハッタリは商品やサービスをよく見せるだけではなく、自分自身をより有能に見せる「セルフプロデュース」にも必須のスキルです。

「仕事でハッタリをかましたら信用を落とすのでは」と思うかもしれませんが、そんなことはありません。なぜなら日本人は、他人に「謙遜すべきだ」と求めながら、謙遜してばかりの人のことは軽んじるという、相反する価値観を持っているからです。

そのため、謙遜ばかりして自己アピールが下手な人は、結局のところ評価されず、ハッタリがうまい人ほど出世していきます。実際、あなたの周りを見渡しても、出世が早い人はみんな、それなりのハッタリ力を持っているのではないでしょうか。

何を隠そう、私自身もハッタリでキャリアを築いてきた1人です。

私は新卒で楽天に入社し、『楽天市場』のビジュアルを統括するWebプロデューサーとして数々のヒット企画に参加しました。2017年には国内最大級の流通額を誇る「楽天スーパーSALE」の総合プロデューサーに最年少(当時)で就任するなど、約350名の同期の中でも出世頭だったと自負しています。

でも、それは私が優秀だったからではありません。ただただハッタリをかますのがうまかったからなのです。

たとえば私は上司から「こういう仕事があるけど、できる?」などと聞かれたら、絶対に「できます!」とか「余裕っすよ!」と即答していました。できるという確証がなかったとしても、ハッタリで即「できます!」と断言し、後から必死で辻褄を合わせる。それだけで上司は「コイツはちょっと違うな」と思ってくれました。

私以外の同期はどうしていたかというと「ちょっとスケジュールを確認します」などと即答を避け、少し考えてから「やってみます」「できそうです」と答える人がほとんどでした。煮え切らない返事になってしまうのは、できないかもしれないことを「できる」と言い切ってしまうのはマズイと思ってのことでしょう。

しかし、考えてもみてください。直属の上司が「頑張ってもできない仕事」を振ってくる可能性は低いですし、どんな仕事でも結局最後は頑張らざるを得ないのです。つまり「できます!」と即答しようが、上司を少し待たせたうえで「できそうです」とあいまいに答えようが、やることはたいして変わらないのです。

ならば、ハッタリでもいいから「できます!」と即答した方が、いいに決まっているではありませんか!

上司からすれば、自信なさげに「できそうです」と答える部下よりは、絶対にノーと言わず、いつも「できます!」と即答する部下の方を信頼し、評価するのは当然のことです。私はこのハッタリ技術のおかげで、まだ何も実績らしい実績がないうちから「コイツは違う」と錯覚してもらうことに成功し、早くから大きな仕事をまかされるようになったのです。

20代後半で独立・起業してからも、ハッタリは私の最大の武器であり続けました。

同時期に独立したフリーランス仲間の多くはクライアントに対してひたすら低姿勢で、「至らないことも多いかと思いますが、よろしくお願いいたします」というスタンスで契約を結んでいましたが、私は独立ゼロ日目から強気の営業を心がけていました。仕事がなくてお金に困っていたとしても、単価が安い仕事はすべて断り、「私は楽天でこれだけの仕事をやっていたので、大手企業か、それと同じくらい予算がある会社しか相手にしませんよ」という対応に徹していました。

その結果、どうなったか?

謙虚にふるまっていた知人は、クライアントから「ずいぶん自信がなさそうだけど、クオリティは大丈夫だろうか?」と疑われ、おまけに「こんなに下手に出るなら少しくらい無茶な要求をしても大丈夫だろう」とみなされて、低予算でこき使われるようになりました。かたや偉そうにハッタリをかましていた私のもとには、高単価で割のいい、良質な案件ばかりが舞い込むようになったのです。

仕事だけではなくプライベートでも、謙虚一辺倒よりはハッタリができる人の方が、確実に得をします。自分がさも大物であるかのようにふるまえる人は、飲食店でもホテルでも大切にもてなされますが、ペコペコしすぎる人は、どこへ行っても軽んじられて粗末な扱いを受けることになります。

人づきあいも同じです。親しい友人グループの間でも、みんなから一目置かれている人と、「コイツはぞんざいに扱っても大丈夫」とみなされている人がいるでしょう。その違いは何かといえば、ハッタリを言えるかどうかです。日ごろから言いにくいことをちゃんと言い、自分の哲学や価値観をしっかりと発信していると、友人間でも「この人のことは適当にあしらってはいけないな」という空気が醸成されていくのです。

だから私はことあるごとにFacebookやX(旧Twitter)で、人が言いにくそうな時事ネタや思想を発信するように心がけています。日本ではよく「政治と宗教と野球の話をするな」なんて言われたりしますが、むしろそういう当たり障りのある話題についてスタンスを明らかにすることで「格」が培われていくのです。

たとえば私はたまにFacebookで「信頼されたければ金払いを早くしろ」とつぶやいたりします。日本人はカネの話題は下品だとしてタブー視する傾向にありますが、だからこそあえて公の場で言っておく。これだけで、たとえば私が宴会の幹事をやるとき、みんなお金をすぐにきっちり払ってくれたりするのです。

世の中に何倍も優秀な人は存在しない。そう「思われている」だけ

私の古巣である楽天は、東洋経済オンラインの「入社が難しい有名企業ランキング」で花王やアサヒビールなどを抜いて第85位、エンジニア就活の「就職偏差値ランキング」では偏差値69と、星の数ほどある日本企業の中でも、特に入社が難しい企業と言われています。その狭き門を突破してきただけに、一緒に働いていた仲間はみんな、平均以上の能力の持ち主だったと思います。

でも、彼らがずば抜けて優秀だったかというと、そんなことはありません。英語ができたり、プレゼンが上手だったりと、みんな何かしら優秀な部分は持っていたけれど、人の何倍も仕事ができる人はいませんでした。

社長の三木谷さんだってそうです。社員の中には、三木谷さんをとてつもなく優秀な、自分が100年頑張っても届かない神様のような人だと崇めている人もいたようですが、私から見れば能力的にはふつうの人 ―― せいぜいほかの人より1.2倍とか1.3倍くらい優秀なだけ ―― で、言っては悪いけれど「私でもできそうだな」と思っていました。

三木谷さんに限らず、私がこれまで出会ったあらゆる経営者や有名人で、人の何倍も優秀な人は1人もいませんでした。平均値にくらべたら能力は多少高いかもしれませんが、あくまでも「ふつうの人」の範疇であって、常人の2倍、3倍の能力を有しているわけではないのです。

にもかかわらず、三木谷さんなどビジネスで成功している人の多くは「人の何倍も優秀な人」だと思われています。彼らに特別な才能があるとすればまさにこの部分で、とてつもなく優秀なわけではないけれど、ハッタリをかますことで「常人の何倍も優秀な人だ」と錯覚させているわけです。

「そんなはずはない。三木谷さんにしても世の社長たちにしても、見せかけだけではなく実績も残しているではないか」と思われるでしょうが、それもまたハッタリあっての実績です。なぜなら大きな実績を上げるためには、大きなチャンスが与えられなければならないからです。

同じくらいの能力の社員が複数いたとして、その中の誰に大きな仕事をまかせるかとなったとき、謙遜ばかりでアピール力に欠ける人よりは、自信満々に「できます!」とハッタリをかませる人にお鉢が回ってくる可能性は極めて高い。ハッタリがチャンスを呼び込み、実績の足掛かりになるのです。

私自身もそうでした。楽天では同期が350人ほどいて、その中には東大卒、京大卒の秀才もたくさんいました。ふつうの人の何倍も優秀とまではいかなくても、私より企画力がある人、私よりセンスがいい人、私より英語ができる人、私よりコミュニケーション力が高い人はたくさんいました。

でも、その350人の中で一番高く評価されたのは私でした。新卒社員のボーナスは、はじめのうちは全員同額で、入社2年目あたりから評価に応じた額になるのですが、その最初の差がつくボーナスのときに同期で最高額をもらったのが私だったのです。

私とほかの同期、何で差がついたかといえば、これはもう間違いなくハッタリのおかげです。みんな同じように仕事をして、同じくらいの成果を出す中、私だけが突出した評価をもらえたのは「見せ方」が抜群にうまかったからです。上司からの打診に「できます!」と即答したり、数字の切り出し方に工夫を凝らしたりすることで、「コイツはほかの新人と違う」と思わせることに成功したのです。

楽天だけではなく、どんな会社でも同じ結果になったと思います。

ためしに、あなたの会社で「上」にいる人たちのことをイメージしてください。彼らがほかの社員の何倍も能力が高いかといえば、そんなことはないはずです。上にいる人たちは2倍優秀なのではなく、2倍優秀に見せることでチャンスをつかみ、実績を上げて、今の地位を手に入れているのです。

『ハッタリの作法』より引用
大原昌人(おおはら・まさと)
元「楽天市場」プロデューサー/株式会社ダニエルズアーク代表取締役

慶應義塾大学環境情報学部卒業。楽天市場全体のビジュアルを統括するWebプロデューサー・ディレクターとして、数々のヒット企画に参画する。2016年4月、熊本地震発生直後に4万4000人を巻き込む一大プロジェクト「買って応援企画」を達成し、同年「楽天市場 MVP 賞」を受賞。2017年からは、国内最大級の流通額を誇る「楽天スーパーSALE」の総合プロデューサーに当時最年少で就任。4万8000店舗の統括を行いながら、流通総額600億円強の売上最高記録を生み出した。
2018年、株式会社ダニエルズアークを設立し、代表に就任。コカ・コーラ、サムスン、花王など、大企業からの引き合いが絶えず、YouTube・TikTokプロデュース事業では、コンサルティング実績200チャンネル以上。累計391万チャンネル登録を超えるYouTube・TikTokチャンネルのプロデュースに関わっている。
2023年にリリースした高級アイスクリーム自社ブランド「Cellato」では「世界で最も高額なアイスクリーム」としてギネス世界記録を取得し、世界中のテレビ・新聞・ラジオ等で反響を呼んでいる。
著書に『4000万人の購買データからわかった! 売れない時代にすぐ売る技術』(サンマーク出版)『すべての仕事を2分の1の時間で終わらせる ガチ速仕事術』(ぱる出版)『これからの集客はYouTubeが9割』(青春出版社)など多数。

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