本記事は、大原昌人氏の著書『ハッタリの作法 自分を最高値で売る「見せ方」と「辻褄合わせ」の技術』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

お金
(画像=MdKamrul / stock.adobe.com)

貧乏でもハッタリをかませ。お金は使った分だけ入ってくる

お金の使い方というのは、その人のハッタリ力がもっとも試されるところです。前澤友作さんはよく「お金は使えば使うほど増える」ということをおっしゃっていますが、私もまったくその通りだと感じています。

貧乏学生だった頃は、割り勘で3,500円のところ4,000円払うのは大変なことでしたが、それでお金に困った記憶はありません。人より500円多く払った後は、不思議とそれ以上の収入がある。「金は天下の回り物」というように、ハッタリでもいいからお金をしっかり使っている人のところには、お金がどんどん回ってくるようになっているのです。

だから私は、独立したばかりでお金がないときでもバンバンお金を使いました。海外に行って見聞を広めたり、友達が飲食店を開業したと聞けばお祝いに駆けつけて高価なシャンパンを開けたりと、ちょっと無理をしてでもお金を使いました。そういうお金の使い方は無駄にはならず、むしろ何倍にもなって返ってくることを感覚的に知っていたからです。

もし私が「今はお金がないから節約しよう」と考え、最低限のお金しか使っていなかったら、間違いなく今の成功はなかったでしょう。節約一辺倒ではハッタリが利かないだけではなく、お金の回りも悪くなって、今ごろは会社を畳んでいたかもしれません。

現代は、その人がどんなお金の使い方をしているかがSNSで可視化される時代です。その人がしっかりお金を使っているか、ケチケチした使い方をしているかは、投稿を見ていれば何となくわかります。いいお金の使い方をしていれば「成功しているすごい人」と思われていい話が舞い込みますが、しみったれた話ばかりしていたら「お金がない=成功していない=実力がない」とみなされ、信用も低下してしまいます。

少し前の日本なら、金満ぶりをアピールする人や、お金を使いまくる人は叩かれるような風潮がありましたが、ここ数年で風向きは大きく変わりました。ヒカキンさんの20億円豪邸がウケているように、たくさん稼いでたくさん使うことが肯定される時代になってきました。これはとてもすばらしく、ハッタリ屋にとって追い風となる変化だと思います。

言うべきことを言わないとき、あなたの価値は下がる

「人の価値というのは、何か言ってはいけないことを言ってしまったときではなく、言うべきことを言わないときに下がるものだ」

これは私が尊敬する営業マンがSNSでつぶやいていた言葉で、とても共感を覚えたので紹介させていただきました。

日本では、その場の空気を読んで発言を控える人が多くいますが、それで当人の価値が上がるかといえば、そんなことはありません。少なくともビジネスの世界では、沈黙は明らかなマイナスです。

「黙っていれば失言がないのだから、少なくともマイナスにはならないはずだ」と思うかもしれませんが、その認識は間違っています。なぜなら先に紹介した営業マンの言葉のとおり、言うべきことを言わないと、人の価値は下がってしまうからです。逆に、言いたいことを言わない日本だからこそ、人が言いにくいことをズバッと言えば「コイツはすごい」と、大きな加点につながるのです。

「言いにくいこと」というのは、たとえばお金の話です。営業マンにとって金額の交渉は日常的な仕事ですが、自社商品をものすごく値上げするときや、相手の条件を悪くするときなどは、なかなか切り出しにくいこともあるでしょう。でも、そんな大事な話を後回しにしていたら、結局は自分も相手も困ることになり「あいつはダメだ」という評価になってしまいます。

あるいは、毎回のように10分くらい遅刻してくるクライアントがいたとします。やめてほしいと思っても、多くの人は「相手はクライアントだし、波風立てるのは得策ではない」と考え、沈黙を貫くのではないでしょうか。しかし、何も言わなければ相手の遅刻癖が改善されないばかりか、「コイツは待たせても文句を言わないから大丈夫」と思われて、この先もずっと10分間待たされ続け、大事な時間を浪費させられることになります。

私なら、たとえ相手が大事なクライアントでも、遅刻が2回以上続くようなら「お互いの時間ですから大事にしたいですね」という感じで軽く注意します。これくらいの言い方なら相手が気を悪くする可能性は非常に低いし、むしろ「この人に失礼なことはできないな」と思われて、以後は遅刻に気をつけてもらえます。

人から一目置かれるというのは、そういうことなのだと思います。

クライアントや目上の人には注意しにくいという人は、言ってあげた方が相手のためになると考えてみてください。

楽天の三木谷さんは時間に厳しい人で、出張先のホテルで集合時間に遅れてきた役員に、その場でクビを言い渡したことがあるそうです。遅刻癖があるクライアントも、いつそんな地雷を踏むかわかりません。遅刻が無礼であることをきちんと指摘してあげることは、相手にとってもすごくいいことなのです。

そういえば、つい先日こんなことがありました。深夜1時くらいに新宿の富士そばでおそばを食べていたら、ちょっとガタイのいいコワモテのおじさんが入ってきて「トッピングはどこにあるんだ!」などと言って、店員さんに怒鳴りだしました。それがあんまりしつこくてうるさかったので、私が自分の席から大声で「こらっ!」と叫んだら、おじさんはびっくりした顔で5秒くらい固まった後、困ったような笑顔を浮かべて「すみませんね」と謝ったのです。

深夜の新宿で怖そうなおじさんが店員に絡んでいるなんて、ふつうなら「嫌だな」と思いながらも、なるべく目を合わせないようにしてスルーするシチュエーションでしょう。

でも意外とそういう場面でも、言うべきことを言えば何とかなるもので、これもある種のハッタリの力だと思い、余談としてご紹介させていただきました。

『ハッタリの作法』より引用
大原昌人(おおはら・まさと)
元「楽天市場」プロデューサー/株式会社ダニエルズアーク代表取締役

慶應義塾大学環境情報学部卒業。楽天市場全体のビジュアルを統括するWebプロデューサー・ディレクターとして、数々のヒット企画に参画する。2016年4月、熊本地震発生直後に4万4000人を巻き込む一大プロジェクト「買って応援企画」を達成し、同年「楽天市場 MVP 賞」を受賞。2017年からは、国内最大級の流通額を誇る「楽天スーパーSALE」の総合プロデューサーに当時最年少で就任。4万8000店舗の統括を行いながら、流通総額600億円強の売上最高記録を生み出した。
2018年、株式会社ダニエルズアークを設立し、代表に就任。コカ・コーラ、サムスン、花王など、大企業からの引き合いが絶えず、YouTube・TikTokプロデュース事業では、コンサルティング実績200チャンネル以上。累計391万チャンネル登録を超えるYouTube・TikTokチャンネルのプロデュースに関わっている。
2023年にリリースした高級アイスクリーム自社ブランド「Cellato」では「世界で最も高額なアイスクリーム」としてギネス世界記録を取得し、世界中のテレビ・新聞・ラジオ等で反響を呼んでいる。
著書に『4000万人の購買データからわかった! 売れない時代にすぐ売る技術』(サンマーク出版)『すべての仕事を2分の1の時間で終わらせる ガチ速仕事術』(ぱる出版)『これからの集客はYouTubeが9割』(青春出版社)など多数。

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