アクティビストの攻勢も一因か

TOB件数を押し上げている要因の一つと考えられるのが資本コストと株価を意識した経営の実現に向けた対応への東京証券取引所の要請だ。PBR(株価純資産倍率)1倍割れ企業は買収の標的になりやすいうえ、アクティビスト(物言い株主)の介入を誘発する一因となる。

このため、目先の業績や株価にとらわれずに抜本的な事業構造改革を進めやすくするためや、場合によってはアクティビストの影響力を排除するために、株式の非公開化を選択する動きが広がりを見せている。その際、将来の再上場も念頭に、頼る先が投資ファンドという流れができつつある。

独立系システム開発大手の富士ソフトは経営の足かせとなっていた海外のアクティビストと決別するため、ベインキャピタルによるTOB提案を受け入れて、株式を非公開化することを決めた。

ただ、9月初めに始まった富士ソフトのTOBをめぐっては別の米国投資ファンドのKKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ)が対抗TOBの意向を表明し、海外勢による異例の争奪戦に発展しそうな雲行きだ。

M&A Online
(画像=「M&A Online」より引用)

文:M&A Online