ID為替レポート
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「太陽政策から秋風、北風政策、先富論から共同富裕へ向えば円高株安デフレだ」

ドル円=140-145、ユーロ円=157-162、ユーロドル=1.09-1.14

通貨ごとの注目ポイント

*円「通貨9位(9位)、株価5位=12位?(6位)、太陽政策から秋風、北風政策、先富論から共同富裕へ向えば円高株安デフレだ」
(石破自民党総裁誕生で経済危機のようなリスク回避行動が起こったことは事実)
 ドル円や株価の上伸は短命に終わった。高市総裁誕生期待でドル円146.50、日経平均が39829円まで上昇したが、現実は石破総裁誕生でドル円は142.06(4.44円=3.03%下落)まで下落、日経平均は先物で37440(2389円=6%下落)まで下落した。まるで経済危機が起きたようだ。石破氏は不満のようだが、相場は往々にして自分がどう考えているかではなく、世間がどう考えているかで動く。

(太陽政策から秋風、北風、大雪政策となれば円高株安デフレ)
 2024年6月までは、円安、企業最高益、最高税収で日本経済は回復してきた。政府は7月から為替介入、利上げで円高・株安政策へ舵を切った。7月の介入から一時、株価時価総額で約140兆円、対外純資産で約60兆円、日本は約200兆円の国富を失った。景気対策や災害対策で使われる金額は数千億円から大きいもので10兆円程度だ。日本政府は自ら景気減速、税収減収による増税策をとった。これが続けば円高株安も続く。ただ需給面では円急騰を招く貿易黒字ではなく縮小しているとはいえ貿易赤字なので、昔ほどの円のパニック買いはない。しかし株暴落はその保証はない。

(マイナス成長、世界38位の一人当たりGDPの自覚を)
 OECDは2024年の日本の成長予想をマイナス0.1%と前回から0.6%下方修正した。日銀の基調的なインフレ3指数は2つが1%台、もう一つは0.7%だ。日本の一人当たりGDPは世界の38位。それゆえに政府もデフレからの脱却の看板を下ろしていない。それでも円買い介入と利上げを行ったのはまったくもってわけがわからい自滅策だ。主婦層から「物価が高い、どうしてくれる」という声が政治家に届けば、政府を通して行動するのだろうが、数兆円で済むインフレ対策をせずに200兆円を失う政策は理解しがたい。

(北風と太陽、先富論か共同富裕か)
人を説得しようとした際には、北風のように強引に言い聞かせようとしたり怒鳴っても、相手を意固地にさせたり反発を食らうだけである。太陽のように、穏やかに暖かな感情で話しかけることが肝心であると説かれている。太陽とは、「親切」「友愛」「感謝」の心であり、世の一切の怒声よりもたやすく人の心を変えることが出来ると、カーネギーは説明している。

 中国経済は長く低迷している。習近平主席が「先冨論」から万人に優しいと思える「共同富裕」に政策変更して以来だ。先週は漸くその誤りを正したようだ。儲けるリーダーがいないと全体的には儲からない。日本は中国が犯した過ちをこれから追っていくようだ。石破氏は誠実な人に見えるだけにそういう方向へ向かいがちだが、先行きは思わしくなくなるだろう。

*米ドル「通貨8位(5位)、株価(NYダウ)11位(8位)、パウエル議長の宣言通りの展開。問題は大統領選挙」
(パウエル議長の宣言通りの展開)  8月のジャクソンホールでパウエル議長が「政策調整の時期が到来した」と宣言したことが実行されている。米金利低下と株高が進む。ただ経済指標は若干弱いもの、ハードランディングを予想するほどでもない。GDPナウは3.1%、CPIナウは2.25%、サプライチェーンインデックスは0.2で健全だ。ドル安が少し進んでいるが、物価が下がっている中なので問題なく、製造業、インバウンドにはメリットとなる。 (トランプ大統領なら市場は混乱)  やはり焦点は大統領選挙だ。トランプ氏のような変わった政策を語る人はいるが、それに一定程度の支持が集まっているのは驚きだ。もしトランプ氏が大統領になれば、経済システム、グローバル展開が一気に変わってしまう。ただ一気に変えるシステム構築には時間がかかる。性急に変えれば混乱が起きる。鎖国的な政策をとれば、物価は上り、財政赤字は拡大、金利は上昇する。一方、米国の輸出を伸ばすためにドル安志向する。  ハリス氏が大統領になれば、これまで通りの民主主義、市場主義、海外との協調主義を継続するので安心は出来る。 (雇用統計、パウエルFRB議長発言) 今週は米雇用統計がある。またパウエルFRB議長発言もある。ISM製造業・非製造業景況指数も注目したい。 (イエレン財務長官、為替は市場が決める米経済はソフトランディングへ) イエレン財務長官は、インフレ率は米金融当局目標の2%に向かう道筋を進んでいると指摘。利下げに伴い、労働市場は安定化するとの期待を示した。かなりの期間にわたってコスト上昇の最大要素となっている住宅コストが下がると想定しており、2%のインフレが可能になるとの見方を示した。米経済はソフトランディングへの軌道に乗っていることが示されている」とした。  現在の米雇用市場については、「スラックがやや増えた」と指摘。米金融当局が政策面で行動する中で、労働状況が安定化することを期待しているとした。為替レートをモニターしているかとの質問に対しては、「もちろん、ドルの価値を観察している」と述べた。「米国は為替市場への介入を長らく行っていない、市場があまりに無秩序になり、介入が必要になるという状況は想像し得るが、通常の場合、ドルは市場によって決定され、世界の金利差がその重要な要因となってきた」と続けた。
*ユーロ「通貨5位(4位)、株価7位(6位)DAX)、10月利下げか」
(9月のユーロはやや弱い)
12通貨中、先週は11位、9月はここまで8位、年初来は5位。株価(独DAX)は年間7位の16.25%高とまずまず。長期金利(独10年国債)は2.13%。

(今週は9月CPI)
今週はユーロ圏、独の9月の消費者物価が発表される。前年比でユーロ圏は1.9%の上昇予想I(前月は2.2%)、独は1.7%上昇予想(1.7%)。インフレ低下が継続。

(インフレ期待が低下)
 ゴールドマン・サックスやJPモルガンなどはECBの金利見通しを修正し、10月の利下げを織り込んだ。
ユーロ圏消費者の今後12カ月間のインフレ期待が低下した。8月は、今後12カ月間の物価上昇率の予想中央値は2.7%で、2021年9月以来の小さな上昇率で、7月の2.8%を下回った。
ここ数年での最低水準は、ECBが物価コントロールの戦いに勝利しつつあることを示すさらなる証拠である。消費者期待調査は、インフレ率を目標の2%まで引き下げることができると家計が信じているかどうかを測定するもので、それが支出や貯蓄、昇給要求などの消費者の行動に影響を与える可能性がある。消費者はまた、今後3年間のインフレ期待を2.4%から2.3%に引き下げ、6月以来の低水準となった。

(弱いドイツ)
 IFOの9月のドイツ業況指数は85.4で、前月の86.6から予想以上に悪化した。4カ月連続の悪化となり、ドイツが景気後退入りした可能性を示唆している。 予想は86.0。「ドイツ経済は一段と圧力を受けている。ドイツ経済は下降スパイラル間際だ」とIFOは指摘。2Qに縮小した経済が3Qにはさらに縮小する可能性がある。ドイツの主要経済研究所は秋季合同経済予測で2024年のGDP予測を0.1%減に下方修正した。
25年のGDP予測も1.4%増から0.8%増に修正した。

*ポンド「通貨2位(2位)、株価14位(14位)、ポンド上昇、中銀は物価上昇を示唆」
 先週は対ドルで上昇、対円で下落。ポンドは年初来2位で強い。株価は高い金利で弱い。英中銀がは政策金利を5%で据え置き、利下げに漸進的なアプローチを取ると表明した。

(英成長予測を大幅上方修正)
OECDは、今年と来年の英国の経済成長予測を大幅に上方修正した。今年の予測は1.1%、来年の予測は1.2%。従来予測はそれぞれ0.4%、1.0%だった。
従来はG7で成長率が最低になると予想していたが、今回の上方修正により、他の大半のG7諸国に近い水準となった。英経済は今年上半期に大方の予想を上回る成長を記録。英中銀も予想を上方修正している。OECDは英国について、債務の対国内総生産比を5年間低下傾向にするといった自主的なルールを変更する必要があると主張。こうしたルールにより長期の大型公共投資が妨げられる一方、債務全体の増加に歯止めをかける効果も出ていないと述べた。英国には投資拡大が必要で、そのためには財政余地を作る必要があるとした。
英国のインフレ率はG7諸国で最も高くなる見通し。今年のインフレ予測は平均2.7%、来年は平均2.4%。

(英中銀ベイリー総裁は緩やかな利下げ)
英中銀ベイリー総裁は、緩やかな利下げが可能だとの認識を示した。総裁は、インフレ率が約2年前に記録した11.1%から鈍化していることに「非常に勇気づけられる」とし「金利の道筋は緩やかに下向きになると考えている」と述べた。8月の消費者物価は前年同月比2.2%上昇だったが、サービス価格と賃金は5%以上上昇しており、中銀の懸念要因となっている。

*豪ドル「通貨4位(6位)、株価13位(11位)、豪ドル堅調。格付け最上級維持、中国訪問」
(年間4位へ上昇)
 FRBの利下げもあり豪ドルは上昇。年間では4位まで上昇。株価は年初来8.27%高。10年国債利回りは3.93%で欧米より高い

(政策金利を7会合連続据え置き)
RBAは、政策金利を4.35%に据え置いた。2023年12月以来7会合連続。
 中銀は「インフレ率は依然として目標を上回っており、その持続性も証明されている」とした。目標とする消費者物価指数(CPI)上昇率は2-3%であるのに対し、4〜6月の上昇率は前年同期比で3.8%増だった。
中銀は、インフレ率は低下傾向にあるとしたが「26年まではインフレ率が政策目標まで戻るとはみていない」と述べた。8月の失業率は4.2%と依然として低い。労働参加率も記録的な高水準で推移している。中銀は「インフレ率を目標に戻す決意に変わりはなく、必要なことを行っていく」と強調した。

(しかしCPIは低下)
8月の消費者物価は前年比2.7%上昇し、3年ぶりの低い伸びとなった。政府による電気料金の補助やガソリン価格の下落を受けた。7月は3.5%上昇していた。
コアインフレ率の指標として注目されるCPIのトリム平均値は、前年比3.4%上昇と前月の3.8%上昇から減速し、2022年初め以来の低水準だった。ただ、目標とする2-3%はなお上回っている。

(最上級の格付け維持)
S&Pは豪の格付けをAAA/A-1+に据え置き、見通しは安定的

(最大の貿易相手国の中国を訪問)
チャーマーズ豪財務相は先週、投資や貿易、脱炭素化における協力推進で中国側と合意したと明らかにした。財務相は、中国が打ち出した刺激策に「非常に満足している」と語った。豪財務相の訪中は7年ぶり。中国は鉄鉱石の最大の輸出先で中国需要の変動に影響を受けている。鉄鉱石は政府の主要な収入源となっている。

*NZドル「通貨6位(8位)、株価16位(16位)、10月は利下げか」
(年間6位へ浮上、FRBの利下げでNZドルは上昇)
 FRBの利下げでNZドルは上昇。年間では一時円に抜かれていたが、抜き返し6位、NZ50株価指数は年初来5.84%高、10年国債は4.25%、先進国ではNZだけが4%台。

(10月は利下げか、キウィー銀行予想)
 NZは長期にわたる不況が続いている。3Qに再び縮小することを示唆している。
不況が始まってから2年が経ったことになる。金融政策は制限的で、さらなる金利引き下げが予定されている。高金利は痛手であり、経済はさらなる緩和を求めている。
NZ中銀は遅ればせながら真剣に対応している、10月の利下げはほぼ確定事項だ。実際、0.25%か0.5%の利下げについてのみ議論すべきだと主張する。

 一般の投資家は現在、10月9日に政策金利を次回見直す際に0.5%の利下げを実施する可能性は50%未満とみている。FRBは米国経済を下支えするため、0.5%の利下げで金融緩和サイクルを開始した。NZが追随するかどうか

(今週は2つの企業信頼感指数)
 今週は9月ANZ企業信頼感指数、3QNZ経済研究所の企業信頼感指数などの発表がある。

(8月は貿易赤字)
8月は22億NZドルの貿易赤字となった。輸出は49.7億NZドル、輸入は71.7億NZドル。輸出は肉類、アルミニウムの減少があった。輸入は自動車の減少があった。NZの主要輸出市場は中国、豪、米国であり、主要輸入相手国は中国、EU、豪である