収益物件とは?種類や利回り相場、購入するメリット、リスク、選ぶ際のポイント
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丸山 優太郎
丸山 優太郎
日本大学法学部新聞学科卒業のライター。おもに企業系サイトで執筆。金融・経済・不動産系記事を中心に、社会情勢や経済動向を分析したトレンド記事を発信している。

不動産には「居住用物件」と「収益物件」があります。このうち収益物件は投資用として購入するものなので、きちんと利益が出る物件を選ぶことが大切です。本記事では、収益物件の種類や利回り相場、購入するメリットやリスク、選ぶ際のポイントまで詳しく解説します。

目次

  1. 1.収益物件とは?
  2. 2.収益物件の種類と利回り相場
  3. 3.収益物件を購入するメリット
  4. 4.収益物件の購入に伴うリスク
  5. 5.収益物件を選ぶ際のポイント
  6. 6.収益物件は自分で住むことも可能
  7. 7.収益物件を個人が買うなら新築ワンルームマンションがおすすめ

1.収益物件とは?

収益物件とは?種類や利回り相場、購入するメリット、リスク、選ぶ際のポイント
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「収益物件」とは、人に貸し出して家賃収入を得るための物件のことを指します。

自分が住むための「居住用物件」の場合は住宅ローンを組んで購入しますが、収益物件は不動産投資ローンを組みます。住宅ローンは給与収入から返済しますが、不動産投資ローンは家賃収入で返済するのが大きな違いです。

収益物件はどの程度の需要があるか未知数のため、居住用物件より金利が高めで、金融機関の融資審査も厳しい傾向があります。

2.収益物件の種類と利回り相場

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収益物件は主に3つの種類があります。投資金額や立地、空室リスクなどそれぞれメリット・デメリットがあるので、比較検討して選ぶことが大切です。

2-1.住居系(マンション・アパートなど)

アパート、マンション、一戸建てを中心とした最もオーソドックスな物件タイプです。

アパートは基本的に一棟所有のため、投資金額が大きいのがデメリットです。半面、1~2室空室が出ても収入が途絶えることがないというメリットがあります。

区分所有マンションは初心者でも無理のない範囲で購入できるのがメリットです。物件タイプもワンルームからファミリータイプまで豊富な種類があります。半面、空室が出ると収入が途絶えるのがデメリットです。

一戸建ては共同住宅と異なり、入居者が管理を行うので手間がかからないのがメリットです。独身者が一戸建てを借りることは考えにくいので、子どものいるファミリー世帯がターゲットになります。

2-2.事務所系(オフィスビルなど)

企業向けに貸し出すオフィスビルが中心になります。投資金額が大きいので、富裕層の投資家でない限り、個人で購入するのが難しいというデメリットがあります。

半面、企業が本社として入居する場合、比較的長期間契約してくれるため、収益が安定するメリットがあります。住居系に比べて家賃の単価も高いため、収益性では優位に立ちます。

また、駅近でなくても、幹線道路沿いであれば入居の需要が見込めます。

2-3.テナント系(店舗や倉庫など)

飲食店やコンビニなどの店舗が入るテナントビルや、企業の倉庫として貸し出す物流センターなどが該当します。テナントビルが複数の店舗で構成されるのに対し、倉庫は単一の企業に貸し出すケースが多いのが特徴です。

テナントビルは人通りが多いことが条件のため、立地が限られるデメリットがあります。入居店舗の入れ替わりも多いです。半面、収益性が高く、駅近のビルであれば満室経営が期待できます。

倉庫は郊外でも良いので、立地を問わないメリットがあります。その一方で、単一企業に貸し出している場合、その企業が退去した空室期間における収入減の影響が大きいというデメリットがあります。

2-4.利回り相場

一般財団法人日本不動産研究所が行った「第50回不動産投資家調査」(2024年4月)によると、物件形態別の利回り相場は以下のとおりです。

住居系ワンルームタイプ:3.8~5.1%(東京都と主な政令指定都市)
ファミリータイプ:3.8~5.2%(同)
事務所系東京都:3.2~3.9%、主な政令指定都市:4.0~5.2%
テナント系都心型高級専門店:3.4~5.6%(東京都と主な政令指定都市)
郊外型ショッピングセンター:5.4~6.5%(同)

「期待利回り」のため、諸経費を差し引いた「実質利回り」はもう少し低くなるので注意が必要です。

3.収益物件を購入するメリット

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収益物件を購入するメリットとして、以下の4つが挙げられます。

3-1.安定的な収入を得られる

収益物件は入居者がいる限りは毎月安定した家賃収入が入ります。店舗のように月によって売り上げが変動することがないため、収支の予算を立てやすいというメリットがあります。ただし、退去者が出てもすぐに次の入居者が見つかる需要の高い立地を選ぶ必要があります。

3-2.レバレッジを活かした投資ができる

レバレッジは「てこの原理」という意味で、少ない(小さな)自己資金(力)で大きな物件を購入する(動かす)という例えで使われる言葉です。全額自己資金で購入するよりも、融資を受けて購入した物件のほうが収益が多かった場合は、レバレッジを活かした投資といえます。

3-3.年金代わりや生命保険の役割をはたす

収益物件は「年金代わりになる」「生命保険の役割をはたす」という2つのメリットがあります。

ローン返済中はほとんど手元にお金が残りませんが、完済した後は毎月の諸経費を差し引いて多くが手元に残るようになります。公的年金に家賃収入を上乗せすることで、個人年金保険に加入していたのと同じ効果があります。

また、物件購入のために不動産投資ローンを組む際に、ほとんどの金融機関は団体信用生命保険(団信)への加入を条件にしています。団信に加入すれば契約者が死亡または高度障害状態になったとき、ローンの残債が保険金から支払われます。収益物件を持つことが生命保険の役割をはたすといわれる理由です。

3-4.税金対策になる

収益物件を税金対策として購入する投資家もいます。不動産投資では通常初年度は物件購入の諸費用が多くかかるため、赤字になる可能性が高いです。

不動産所得が赤字になった場合は、課税給与所得から赤字分を差し引けるため、所得税や住民税を節税できます。

4.収益物件の購入に伴うリスク

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収益物件の購入はリスクも伴います。以下のようなリスクがあることを心得たうえで購入を決める必要があります。また、リスクに備えた対策も必要です。

4-1.経済リスク

経済リスクで最も心配なのは金利の上昇です。2024年に日本銀行の金融政策変更があり、これまでのゼロ金利政策から金利のある世界へとチェンジしました。毎月ローンを返済して収支トントンのキャッシュフローであれば、利息の増加で赤字になることが懸念されます。

対策としては、資金に余裕があるときに繰上返済しておくのが有効です。元金を減らすことで支払う利息も少なくなります。

4-2.運営リスク

運営リスクで収益に最も影響が大きいのが空室リスクです。一棟物件なら10室の物件で1室が空室になっても全体に与える影響は小さいですが、区分所有で空室が出ると家賃収入が入らなくなります。また、家賃の滞納も空室リスクと同じく収入の減少をもたらします。

対策としては家賃保証会社と契約することによって、空室や滞納があっても契約した金額の家賃を受け取ることができます。設定家賃から手数料が引かれるものの、確実に賃料が入るので安心です。

4-3.建物リスク

建物リスクで避けられないのが経年劣化です。経年劣化が進むと修繕リスクも高くなります。分譲マンションの場合、外壁など建物全体の大規模修繕は毎月支払っている長期修繕積立金で賄えますが、賃貸マンションやアパートはオーナーが修繕に対応しなければなりません。

対策としては、建物リスクの少ない区分マンションを購入する、室内の修繕発生に備えて毎月修繕費を積み立てておくなどの方法が考えられます。

また、近年では自然災害も大きなリスクです。2024年以降は自然災害の発生頻度が多くなっています。これから物件を購入するなら、国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」で危険な地域をチェックして、災害リスクが小さいエリアの物件を選ぶことが対策になります。

5.収益物件を選ぶ際のポイント

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収益物件を選ぶには、以下に挙げるポイントに着目して判断する必要があります。マンションを例に考えてみましょう。

5-1.立地条件と将来性の見極め

収益物件の選択基準は、いま立地条件が良いだけでなく、将来も発展する見込みのある物件であることが大切な要素になります。

例えば、いまスーパーが近いことで賃貸需要が多くても、将来撤退すれば立地の魅力は弱くなります。逆に近い将来大学が移転する予定があるなら、ワンルームマンションの入居者増加が見込め、明るい見通しが立ちます。周辺情報は不動産会社からある程度得られるでしょう。

5-2.新築・中古の選択基準

新築と中古にはそれぞれメリット・デメリットがあるので、比較検討して選ぶ必要があります。新築マンションと中古マンションの違いは以下のとおりです。

新築マンション中古マンション
物件価格高い安い
購入時諸費用少ない(仲介手数料が原則無料)多い
入居者確保容易物件による
利回り中古より低い高い
修繕費用当初数年は発生しない発生しやすい
減価償却期間長い(RC造、SRC造で47年)新築より短い
設備最新設備物件による
耐震基準安全1981年以前の建築物件は不十分

総合的に判断すると新築が優位という印象です。特に初心者がマンション経営を行う場合は、入居者の確保が容易で、しばらく修繕が発生する心配のない新築のほうが経営しやすいでしょう。

5-3.収益性と維持コストのバランス

収益物件を選ぶ際は、収益性だけでなく維持コストも併せて判断し、バランスのとれた物件を選ぶことが大切です。

自分が住むための居住用物件であれば、ローンの支払いは本来かかるはずの家賃と相殺になるので、維持コストまでこだわる人は少ないでしょう。

これに対し、収益物件は利益を出さなければならないので、維持コストも極力抑える必要があります。管理費や長期修繕積立金が相場より大幅に高いなどのケースは要注意です。

5-4.実質利回りの確認と経費管理

中古マンションの不動産広告に記載されている利回りはほとんどが「表面利回り」です。「年間の家賃収入÷物件購入価格×100」の計算式で算出します。

これに対し、諸経費も含めて計算するのが「実質利回り」です。「(年間家賃収入-年間諸経費)÷(物件購入価格+購入時諸経費)」の計算式で算出します。諸経費まで含めるので、より正確な利回りを計算できます。

購入後のランニングコストとして考えなければいけない経費は、家賃収入の20~30%が目安といわれています。上記計算式の年間諸経費に当たる部分です。

5-5.需要が高い物件の選定

安定した賃貸経営を行うには、需要が高い物件を選ぶことが最も重要なポイントです。需要が低い物件を買ってしまった場合、空室が発生すると次の入居者が決まるまでの空室期間が長くなり、ローンの支払いに支障が出ます。

需要が高い物件の条件としてコンセンサスになっているのが、「都心・駅近」という立地です。人口減少が進む中で、特に東京都はまだしばらく増加が続く見込みで、将来的には東京一極集中がさらに進むとの見方もあります。

5-6.耐久性のある建物構造の選択

建物は経年とともに劣化していくので、耐久性のある建物構造の物件を選ぶ必要があります。マンションはほとんどがRC造(鉄筋コンクリート造)またはSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)なので耐久性に優れています。

木造アパートは建築費が安いというメリットはありますが、火災が起これば全焼する危険もあります。構造で選ぶならマンション一択です。

5-7.現地見学と実物確認の実施

収益物件を購入する際は、現地見学と物件の実物を確認することが必須です。現地を見学することで、物件だけでなく、周囲の環境もわかります。

もちろん、内覧はするので一度は現地を訪れますが、場所がわかれば前もって見ておくことで、不動産会社の説明に誇張がないかチェックできます。

5-8.余裕を持った資金計画

ローンを組んで物件を購入する場合、余裕を持った資金計画を立てることが大切です。どのような投資でも余裕のない資金で行うと失敗の原因になります。

特に不動産投資には空室リスクがあるため、家賃収入がない月のローン返済は、預貯金や給与から支払う必要があります。空室が出ても数ヵ月間はローン返済を行えるだけの運転資金を用意することが望ましいです。

5-9.信頼できる不動産会社の選定

不動産投資において不動産会社の選定は極めて重要です。賃貸経営は物件を買って終わりではなく、毎日の積み重ねで長く行っていくものです。経営上の問題を気兼ねなく相談できる信用の高い不動産会社と付き合う必要があります。

とはいえ、ホームページを見ただけでは会社の雰囲気まではわかりません。そこで有益なのが、不動産会社が主催する「不動産投資セミナー」です。不動産経営について学べるだけでなく、面談によって会社の雰囲気や、社員の質などがわかります。ほとんどが無料で参加できるので、機会があれば参加してみるのも良いでしょう。

6.収益物件は自分で住むことも可能

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収益物件を買ったからといって、必ず人に貸し出さなければいけないわけではありません。所有権が自分にある限り、収益物件に住むことは可能です。収益物件に自分で住む場合のメリット・デメリットを確認しておきましょう。

6-1.収益物件に住むメリット

収益物件に住むメリットは、空室が長く続き、自宅と収益物件の両方の維持費がかかる場合、自宅を売却して収益物件に住めば、全体的な住居への支出を抑えられることです。

また、自宅が郊外で収益物件が駅近のエリアにある場合、引っ越すことで生活の利便性が高くなります。

6-2.収益物件に住むデメリット

収益物件に住むデメリットは、自分で住むと以降の家賃収入を得られないことです。特に家賃収入を老後の年金の足しにしようと計画していた場合は、目的に反する結果となります。

もう1つは、節税効果がなくなることです。減価償却費は事業用で使っているからこそ経費になるので、自分で住んだ場合は節税メリットがなくなります。

6-3.収益物件に住めないケースもある

収益物件に住みたいと考えても、以下の2つのケースでは難しいと考えたほうが良いでしょう。

6-3-1.入居者がいる場合

いつから収益物件に住みたいと計画しても、入居者がいる場合は自己都合で退去してもらうことはできません。借地借家法で居住権が保証されているからです。よほど高い転居費用を支払わなければ難しいでしょう。

6-3-2.不動産投資ローンの残債がある場合

不動産投資ローンは収益物件を購入する目的で融資を受けたので、目的外に使用することは金融機関が認めない可能性があります。ローンの残債がある場合は難しいので、どうしても住みたい場合は、一括返済して担保を解除して住むのも1つの方法です。

また、金融機関が転用を認めた場合でも、住宅ローンより高い金利でローン残債を払い続けることになるので、金銭的には割高となります。

7.収益物件を個人が買うなら新築ワンルームマンションがおすすめ

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収益物件をさまざまな角度から分析しましたが、事務所系とテナント系の物件は個人では購入しにくい印象を受けます。

収益物件を個人が買うなら、入居者が付きやすく、減価償却期間も長い新築ワンルームマンションがおすすめです。

都心の駅近物件なら人口減少社会であっても十分に需要が見込めるので、まずは不動産投資セミナーに参加することから始めてみてはいかがでしょうか。

(提供:Dear Reicious Online



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