本記事は、徳吉陽河氏の著書『結果を出す人はどんな質問をしているのか?』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

自信
(画像=Robert Kneschke / stock.adobe.com)

質問力とは自信とスキル

質問力は特別な能力ではなく、スキル(技術)として習得できるものです。
そのため、言葉や方法論として認識していなくとも、すでに無意識で行っている人もいるでしょうし、独自のメソッドを意識的に行っている人も多いと思います。

ここで示すメソッドは、コーチング心理学やポジティブ心理学で活用されている科学的な手法です。はじめは、抵抗があっても、実践してみることで質問のスキルが身につきます。
そして、経験が積み重なるといつのまにか、質問力が高まっている自分自身に気がつくはずです。まずは行動あるのみです。
メソッドを知っただけで満足せずにスキルとして自分のものにしていきましょう。

では、質問力が高まると、どのような質問ができるようになるのでしょうか。

ここで、私が「問う力がすごい」と思う人の特徴をいくつか紹介します。
最もわかりやすいのは、状況を判断し、的確な質問ができる人が挙げられます。相手の表情や姿勢、トーンなどから、その人の状態を読み取ったり、会話の流れや文脈から相手の関心事や悩みを推測したりできる人です。
また、そのような人は相手の反応を見極め、「こうやったら、こういう結果になってしまうのでは」と予期する能力が高いともいえます。
そして、相手の長所に焦点を当て、相手に肯定的な感情を抱いてもらったり、相手の自己肯定感を高めたりすることもできます。

他にも相手が主体的に物事を考えられるような「問い」を投げかけられる人や、相手が積極的に行動できるように質問で促せる人、相手の気づきを促すような質問をする人、多角的な視点から質問ができる人も同様に私は「問う力がすごい」と感じています。
つまり、質問力が高い人は状況や相手について考えて、相手の価値観を尊重し、理解を深める質問ができる人なのです。

相手に対して、興味や関心をもつと同時に、相手のためになる質問をすることで、相手自身の考えが深まったり、相手が行動しようとする意識を高めたりするなど、相手を良い方向に促すことができます。これが、「質問力」です。

このような質問力を身につけるために必要なことは、質問のメソッドを知識(技術)として認識して、それを理解して実践経験を積むことです。
そして、これに付随して大切なことは、「自信」です。
それも、自分が「相手を質問で正しく導ける」という自信です。

少し唐突かもしれませんが、プールの監視員を思い浮かべてみてください。
私は学生時代、プールの監視員のアルバイトをしていたことがあります。監視員には「泳げる」「救助できる」という技術と、「相手を助けることができる」という自信の両方が必要です。
この2つがなければ、目の前に溺れた人が現れたときに、咄嗟とっさに身体が動いてプールに飛び込むことができないからです。泳ぎがいくら得意でも、「相手を助けることができる」という自信がない初心者には、どうしても躊躇ちゅうちょが生まれてしまいます。
どちらか片方だけでは不十分で、両方を一緒に高めていくことが重要なのです。

これは何も、質問力やプールの監視員に限った話ではなく、プロフェッショナルのスキル、すべてにいえることです。技術だけが頭の中にあっても、行動として現れなければないに等しいですし、自信だけしかなければ、行動することができたとしても闇雲やみくもに動いているだけになります。
つまり質問力が身につくとは、スキルと自信の2つをもっているということです。

この自信は、科学的な根拠(エビデンス)に関わる前例、法則があれば、より強い自信につなげることができます。
客観的根拠に基づいたエビデンスで行動したほうが、成果が出る可能性が割合い的にも高まります。
実際、私自身も科学的にエビデンスがある「ファスティング」という断食ダイエットを試したところ、22キロのダイエットに成功しました。

同じように、成功している人をモデリング(模倣)することも有効です。
私が中学生だった頃、マラソンが不得意でしたが、試しに、先頭集団の走り方のマネをして、その集団についていこうと走ったところ、普段よりも良い成績を得ることができました。
このようにうまくいっている人をよく観察し、モデリングすることは成功の確率を高めます。

もし、エビデンスやモデリングする対象などがない場合は、まず、思い切って行動することで経験を増やし、自分の中で根拠や事例を構築することもできます。

頭の中で勝手にできないと思っていたことが、実際に行動をすると意外とできることもあります。
やらないよりはやったほうが成功率が高まるのは当然です。
つまり、これまでの根拠や事例がなくても、自分自身で行動することで道を開くきっかけになるのです。

『結果を出す人はどんな質問をしているのか?』より引用
(画像=『結果を出す人はどんな質問をしているのか?』より引用)
『結果を出す人はどんな質問をしているのか?』より引用
徳吉 陽河
一般社団法人コーチング心理学協会代表理事・講師
一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会代表理事・講師
専門分野はコーチング心理学、ポジティブ心理学、キャリア心理学、認知科学など。資格は、コーチング心理士、公認心理師、キャリアコンサルタント、ポジティブ心理療法士、認定心理士(心理調査)など多数。クライアントやコーチ・カウンセラーがお互いに前向きになるようなウェルビーイングや能力の向上、自己成長の支援を行っている。さまざまな海外における研修や学会などに参加し、心理学、心理療法、コーチングを学ぶ。大学・看護学校などでの講師を経て、現在は現場に役立てるため、主に社会人に向けて「コーチング心理学」や「ポジティブ心理学」に関わる実践・研究、普及の活動を行っている。航空保安大学校(国土交通省)など、大学、高等学校、教育支援センターなどの教育関係、若者サポートステーション、就労支援施設、社会福祉協議会、リハビリテーションなどに関わる医療機関などの講師。外資系・国内大手製造業、販売・接客業、人材サービス業の団体などでの新人研修、管理職研修なども担当している。
海外の心理尺度の翻訳、実用的な心理テストや性格診断の開発をし、WEBサイト『ペルラボ』にて、心理学とデータ解析に基づいた心理尺度、ストレス研究などを行う。

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『結果を出す人はどんな質問をしているのか?』
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