本記事は、徳吉陽河氏の著書『結果を出す人はどんな質問をしているのか?』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

女性
(画像=deagreez / stock.adobe.com)

うまくいっている人は他者視点で自分を見ている

自分に問いかけることがうまい人は自分を俯瞰視できているともいえます。
メタ認知」という言葉を最近よく聞くようになりました。
メタ認知ができる人は、仕事や人間関係がうまくいっているともいわれています。

メタ認知とは、自分の視点より一段上の立場から物事を見ることを指します。軍師のように、「今自分がどういった状況にいて、どのような行動をしていけばいいのか」を俯瞰して、判断するということです。

たとえば、自分が今ネガティブで「何にもやりたくない」という状態にいるとします。メタ認知ができる人は、そういう自分を客観的に見て、「今日は少しこれをやってみよう」と行動して、状況を変えていくことができます。
今置かれている自分の状況を冷静にとらえられるという意味です。
また、物事を俯瞰的にとらえたときに、肯定的に常識を疑い、より最適な方法はないか検討できます。先入観をもたず、「〜かもしれない」と考えることで、物事についての可能性を考えられるようになります。

『結果を出す人はどんな質問をしているのか?』より引用
(画像=『結果を出す人はどんな質問をしているのか?』より引用)

なかなか客観的にとらえることができない人は、ゲームの主人公を自分に見立て、その主人公をコントロールしているつもりで行動するとよいです。
コントロールする前に、まず自分の現在のレベルやステータスを考えます。「自分はどんなスキルや特技をもっているのか?」と自分自身に質問してみます。

反対に、「自分はどんなことが苦手で、他のメンバーとどんなふうにパーティを組んでいけばいいのか?」などと、弱点から考えるのもよいと思います。
RPGのゲームでは、勇者、戦士、僧侶、魔術師など、それぞれに役割があります。「自分はどんな役割で、どういったメンバーと仲間になっていけばいいのか」を考えるのです。
置かれている状況や自分自身の強み、弱みなどをまずは俯瞰して全体像を掴んでから戦略を考えていきましょう。
考えて行動し、自分の人生のハンドルを自分で握って、自分でコントロールしていくということです。

感情とバイアスに振り回されない

メタ認知の知識を手に入れ、これから実践で身につけていくために注意しなければいけないことがあります。
それは感情です。
なぜなら、人間はとかく感情に流されやすい生きものだからです。

たとえば、「自分が今本当にしなければならないこと」よりも、「自分のやりたいこと」に目を向けてしまった経験のある人は多いのではないでしょうか。
子どもの頃、つい宿題よりもゲームをしてしまった経験があると思います。それは感情に流されているということです。
このように、感情が入ると客観的に物事を見るのが難しくなってしまうので、判断する前に一度立ち止まり、感情と事実を分ける習慣をもつことが大切です。

さらに人の考えには、「現状維持バイアス」も働きます。
「自分たちの会社はずっとこうしてきたのだから、ひとまず現状を維持したい」、「ずっとこういう政治をやってきたのだから、法律を変えたくない」などと言う人を見たことがあるはずです。会社や国レベルですらそうなのですから、個人が「現状維持バイアス」を打破するのはなかなか難しいことです。

他にも、集団でいると大勢の意見が正しいと思ってしまう「集団バイアス」、自分に都合の良い情報ばかりに目を向けてしまう「確証バイアス」、自分だけは大丈夫だと思ってしまう「ポジティビティバイアス」、ネガティブなニュースを知らずに見てしまう「ネガティビティバイアス」など、私たちの視点はこのようにバイアスという思い込みだらけなのです。
自分をも含めて俯瞰視することで、思い込みに気づき、「本当に今何が重要なのか」を考え、周りの人と議論して行動に移していくことが大切です。

この思い込みに気づくためには、人間の特性や社会、業界、分野、組織について、広く情報収集をすることが必要です。
また、「クリティカル・シンキング」や「リフレーミング」「メタ認知」も非常に役立ちます。
視野を広げて、物事の一部ではなく、より多くの部分を見られるようにしましょう。「私」「役割」「他者」「社会的集団」「文化」「教育」「時代」などさまざまな観点から、自分の状況の本質を見極め、把握して、状況を改善できるように行動していくのです。
きっと、現在や未来に展望が開けるようになります。

『結果を出す人はどんな質問をしているのか?』より引用
徳吉 陽河
一般社団法人コーチング心理学協会代表理事・講師
一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会代表理事・講師
専門分野はコーチング心理学、ポジティブ心理学、キャリア心理学、認知科学など。資格は、コーチング心理士、公認心理師、キャリアコンサルタント、ポジティブ心理療法士、認定心理士(心理調査)など多数。クライアントやコーチ・カウンセラーがお互いに前向きになるようなウェルビーイングや能力の向上、自己成長の支援を行っている。さまざまな海外における研修や学会などに参加し、心理学、心理療法、コーチングを学ぶ。大学・看護学校などでの講師を経て、現在は現場に役立てるため、主に社会人に向けて「コーチング心理学」や「ポジティブ心理学」に関わる実践・研究、普及の活動を行っている。航空保安大学校(国土交通省)など、大学、高等学校、教育支援センターなどの教育関係、若者サポートステーション、就労支援施設、社会福祉協議会、リハビリテーションなどに関わる医療機関などの講師。外資系・国内大手製造業、販売・接客業、人材サービス業の団体などでの新人研修、管理職研修なども担当している。
海外の心理尺度の翻訳、実用的な心理テストや性格診断の開発をし、WEBサイト『ペルラボ』にて、心理学とデータ解析に基づいた心理尺度、ストレス研究などを行う。

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『結果を出す人はどんな質問をしているのか?』
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