医療法人社団SO
(画像=医療法人社団SO)
近藤 惣一郎(こんどう そういちろう)――理事長
1963年 岐阜市生まれ 医学博士。 1988年京都大学医学部卒業後 脳外科専門医として20年余り脳卒中、脳腫瘍、頭部外傷の臨床・研究に勤しむ。2007年、40代半ば、脳外科医として培った医療知識と技術で、人々の容姿コンプレックスを治療する美容外科・美容医療をスタート。2010年、東京と大阪にSOグレイスクリニックを開設。マグロやカンパチなど大物沖釣りのプロアングラーとしても知られるロンリー侍ドクター。
「医療で笑顔を創り出す。医療で人生を豊かに」 東京品川・大阪江坂で2010年より、患者の容姿の悩みを負担侵襲の少ない治療で改善する治療を続ける。大手美容外科が複数の医師を雇用し、多店舗展開する中、開院以来14年、一貫して全ての患者を院長自らがカウンセリング&施術。初診のカウンセリングは1人1時間半行われ、一人一人の悩みの原因を医学的、解剖学的に分析する。顔のリフトアップ術・チタンペックリフトⓇは脳外科医として独自が開発した、顔にメスを入れず、頭皮に糸を入れる若返り手術。目の下のクマ・たるみに対し、美容外科業界で現在広く普及した「切らない目の下のたるみ取り」(顔にはメスを入れず下まぶたの裏側・眼瞼結膜より脂肪を減らす手術)治療の命名者・創始者でもある。

目次

  1. これまでの事業変遷について
  2. 自社事業の強みについて
  3. ぶつかった壁やその乗り越え方
  4. 医者でありながら経営者という立場で意識していること
  5. 今後の経営・事業の展望

これまでの事業変遷について

—— まずは貴院の理念について教えていただけますか。

医療法人社団SO 理事長・近藤 惣一郎氏(以下、社名・氏名略) 質の高い医療を通じて、人々の笑顔を創り出し、人生を豊かにすることが私たちの願いです。素敵な人は周囲の人に笑顔を与え、自分自身も輝きます。外見だけでなく内面も磨きたいという向上心を持つ患者さまに、私たちのクリニックが力になれればと思っています。

—— 近藤さんのご経歴についてもお聞かせください。

近藤 私は京都大学医学部を卒業後、医師として37年目になります。44歳までの約20年間は脳外科専門医として活動し、その経験を美容医療に活かすため、2007年に美容外科医に転身しました。2010年にSOグレイスクリニックを開設し、14年が経ちました。

—— 美容医療の分野に転身されたきっかけは何だったのでしょうか。

近藤 脳外科医として命に向き合う中で、医療とは病気を治すだけではないと気づきました。美容医療は、顔や体のコンプレックスを解消し、人々の人生を豊かにすることができると考えたのです。そこで、40代半ばで美容外科医に転身する決断をしました。

—— 美容医療にはどのような可能性を感じていますか。

近藤 医療技術で生まれつきや加齢による悩みを解決することで、より多くの人々の笑顔をつくることができると信じています。美容医療は、自由診療ゆえに商業的側面もありますが、私は患者一人一人と向き合い、質の高い医療を提供することに専念しています。

—— 具体的な施術についても教えてください。

近藤 目の下のたるみをマイクロサージャリーで治療する「目の下の切らないクマ・たるみとり」や、糸を使ったリフトアップ術「クイックチタンペックリフト®」など、独自の手法を開発しました。また、顔全体のバランスを整える注射治療法も確立しています。

—— クリニックの特徴についてもお聞かせください。

近藤 当院は、すべての患者さまを私自らがカウンセリングし、施術をおこなっています。初診のカウンセリングは1時間半から2時間かけて、悩みの原因を分析し、最適な治療法を提案します。東京品川院は、外国の大使館公使の邸宅をリフォームしたもので、プライバシーを重視し、居心地の良い空間を提供しています。

正しく、安全で質の高い美容医療を提供し続けることが私の使命です。患者さまの期待に応え、さらに多くの人々の人生を豊かにできるよう努力して参ります。

自社事業の強みについて

—— 近藤さんの医師としてのキャリアと脳外科医としての経験が、美容医療にどのように活かされているのでしょうか。

近藤 私が医師になってから20年、脳外科医としての経験は非常に大きなものです。脳外科専門医として習得した顔面や頭頸部の解剖学的知識、そして治療技術は、他院とは異なる美容医療を実践する上での大きな強みです。そして当院が多くのリピーターさまに支持されている理由は、一般医療と美容医療を同じ視点で捉えているからだと考えています。病気か否かという違いはあっても、患者さまの悩みを改善するという点で、医療行為は同じだと常に考えています。

—— なるほど、一般医療と美容医療を同じ視点で捉えるというのは興味深いですね。美容医療が抱える社会問題についてはどのようにお考えですか?

近藤 美容医療は、人の願望を叶え、人生を豊かにする素晴らしい医療です。しかし、自由診療であるがゆえに、利益を追求するクリニックが増加し、誇大広告や偽情報で患者を誘導する問題が生じています。このようなクリニックでは、高額な治療費を請求したり、劣悪な施術がおこなわれることもあります。自由診療は価格設定も治療方法の選択も自由ですが、それが問題を引き起こす要因にもなっています。

—— そうした問題に対して、近藤さんのクリニックではどのように対応しているのでしょうか?

近藤 当院では、初めて訪れる患者さまへのカウンセリングを非常に重視しています。治療の持続効果や治療後の状態について説明する前に、まず悩みの原因を分析し、説明することが重要だと考えています。これは脳外科医時代に、疾患の知識を持たないご家族に対しておこなっていた説明と同じです。患者さまが悩みの原因を理解することで、適切な治療法を選択できるようになると考えています。

—— そのために、初診カウンセリングに時間をかけているのですね。クリニックの経営についてもお伺いしたいのですが、どのような理念で運営されているのでしょうか?

近藤 クリニックが健全に運営されることは必要条件ですが、医療は患者さまのためにあるものだと考えています。大手美容外科が多店舗展開をおこなう中で、当院では私自身が全ての患者さまのカウンセリングと施術、アフターケアをおこなっています。これは一般医療では当たり前のことであり、美容医療でもそれを当たり前におこなうことが当院の強みです。

—— そのような一貫した姿勢が、多くの患者さんに信頼される理由なのかもしれませんね。

近藤 そうですね。私を信頼して来院される患者さまに対して、私と理念を共有するスタッフが一対一の医療を提供し続けることが、当院の使命です。これからも、末端まで私の目が届く範囲で、患者さまに寄り添った医療を続けていきたいと考えています。

ぶつかった壁やその乗り越え方

—— 美容医療業界は、ここ数年で急速に変化していますね。特にコロナ前後から競争が激化していると聞きますが、そのあたりについてどうお考えですか?

近藤 美容医療のクリニックは確かに増えています。特にSNSやネットを活用した広報と集客が主流になっていますね。大手美容外科はもちろん、新規参入のクリニックもさまざまな戦略を打ち出しています。私も集客がうまくいかない時期には、競合のPR方法が気になることがありました。しかし、若い医師たちがSNSを駆使している中で、同じ手法では大手や新規クリニックには勝てません。

—— なるほど。では、近藤さんのクリニックはどのように差別化を図っているのでしょうか?

近藤 当院は、私自身が20年以上の脳外科専門医の経験を活かして、美容治療をおこなっています。これは業界でも珍しいことです。また、東京品川にあるクリニックは隠れ家的な洋館で、駅近くのビルに入っている一般的な美容クリニックとは異なります。一人あたり2時間近いカウンセリングをおこない、原因分析に基づいた治療選択をしています。脳外科の技術を応用した独自の治療法も特徴です。

—— そのような独自性を持つことで、どのような影響がありますか?

近藤 多くのクリニックが流行に乗って似たようなことをしていますが、当院は医学的根拠に基づいた結果の出る治療をおこない続けています。オンリーワンであることを一貫してPRしています。震災やコロナなどの社会的な出来事があると、美容医療は一般医療とは違い、生きるために絶対に必要なものではないため、集客に影響が出やすいです。しかし、私は医師免許を持ちながらも、保険診療に頼らず、自由診療の世界に挑戦しています。

—— 自由診療に挑戦することは、大きな試練ですね。

近藤 そのとおりです。患者さまから全額をいただく自由診療に飛び込むことは、試練でもあります。しかし、それだからこそ、患者さまに本当に価値のある治療を提供する責任があり、それを実現できると考えています。

医者でありながら経営者という立場で意識していること

—— 近藤さんは医師としての一面もありながら医療法人社団SOの経営者という一面もお持ちですよね。その観点で意識していることはありますか?

近藤 私たちが続けてこられた理由は、正しいことをやり続けているからです。時代の流れや流行りの治療法もありますが、特に私は顔に傷を作らず、負担の少ない方法で確実に結果を出すことを重視しています。患者さまにとっては少ない負担で大きな治療効果がでることが一番ですからね。これを非侵襲あるいは最小侵襲治療と呼んでいます。病気ではないことを治す美容医療だからこそ、目立つ傷を作ってしまうことは避けなければなりません。それが非侵襲・最小侵襲治療です。

—— 非侵襲・最小侵襲治療というのは具体的にはどのような施術をおこなっているのでしょうか?

近藤 まず「切らない目の下のたるみ取り」はその代表例です。皮膚には傷を作らず、下まぶたの赤目結膜から、目の下のたるみ・膨らみの原因になっている眼窩内脂肪を取り除くこの治療は、私が美容外科医に転身した2007年に命名し、スタートしたものです。あれからおよそ20年で、この治療法は世に広まり、今では「切らない目の下のたるみ取り」は美容業界では一般的な名前になっています。また、顔には傷を作らず、頭皮に糸を挿入し、フェイスライン引きあげる顔のリフトアップ治療・クイックチタンペックリフトは脳外科医の私が開発した独自の美容外科手術で、商標登録もおこなっています。また、このような手術治療だけに頼らず、レディエッセという顔のバランスを整える注射も活用し、患者さまの負担を抑えた中で、確実な若返り・美容効果を引き出す治療法をおこない続けているのです。

—— なるほど、非常に専門的ですね。他のクリニックとはどのように差別化しているのでしょうか?

近藤 実際、私たちは他のクリニックとは競っていません。ですから開院以来14年間、治療価格もほとんど変えていません。結果が出ているからこそ、自分たちがおこなっていることが正しいと感じています。流行や社会の変化を感じとることは必要ですが、いたずらに新しいことを取り入れるよりも、結果が出ていることをより安全で確実に高いレベルのでおこない続けることを重視しています。その結果、リピート率や紹介患者さまが増えています。医療は患者さまのためにあるものであり、ビジネスにするものではないという信念があります。

今後の経営・事業の展望

—— 美容医療の今後の展望について、どのように感じていらっしゃいますか?

近藤 実際に美容外科医として働く中で、外見の悩みを解決し、笑顔を取り戻す患者さまと接することで、美容医療の素晴らしさを実感しています。注射や手術で外見のコンプレックスが解決された方々は、自分に自信を持ち、積極的に人と接する「素敵な人」になっていきます。美容医療は、そんな「素敵な人」を創るものだと思っています。そして、素敵な人が増えれば、社会も明るくなると考えています。

外見の悩みは、アイデンティティや自己肯定感に大きな影響を与えます。見た目が美しくなることで、人生に変化が現れるのです。特に高齢社会を迎えた我が国では、中高年者の労働力が重要になりますが、加齢による外見のコンプレックスがあると、引っ込み思案になりがちです。しかし、ちょっとした美容医療で自信を取り戻し、再び活き活きと働けるようになります。これは、その人の人生だけでなく、日本の社会にも貢献することになるのです。

—— 美容医療が予防医学としての役割を果たすことについて、どうお考えですか?

近藤 2000年以降、我が国では病気にならないための予防医学の重要性が叫ばれるようになりました。そのためには食生活の改善や運動習慣、薬での血圧や血糖、コレステロール値の管理は必要不可欠です。ただし顔や身体のコンプレックスが改善することで人々は、若々しく健康に生きるモチベーションを高めることを私は実感してきました。その観点から「美容医療は究極の予防医学」だと、私は考えているのです。

—— 最後に、今後のビジョンについて教えていただけますか?

近藤 医師になっておよそ40年。私は脳外科医、美容外科医として目の前の患者さまの治療に専念してきたといえます。それがロンリー侍ドクターと言われる由縁です。ただ62歳を迎えるこれからは、経営者として組織をしっかりと作り上げなければならないとも考えています。私は「健康の上になりたつ美」を大切にしています。高齢社会を迎えた我が国において、健康維持、疾病予防は国家が取り組むべき大きな課題です。脳外科医としての20年、美容外科医としての20年、そして人生の集大成となるこれからの20年は、美容医療に加え、病気にならない医療、つまり「予防医学」に活動の幅を広げ、より社会に貢献してゆきたいと考えています。これまでの自らの長所でもあり短所でもあった、医療の職人気質を超え、経営者として成長し、多くのドクターや他業種の方々と協力し、発展する組織作りを目指していきたいと夢を膨らませています。

氏名
近藤 惣一郎(こんどう そういちろう)
社名
医療法人社団SO
役職
理事長

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