国税庁(画像=show999/stock.adobe.com)

2024年(令和6年)12月16日(月)、国税庁が 20周年を迎えたe-Tax(国税電子申告・納税システム)の利便性や新たな機能の認知拡大を狙って、「令和6年分確定申告に関する記者説明会」を開催した。

今回の説明会は主にウェブ系メディアに向けて実施されたもの。「確定申告時に申請できる各種控除」や「e-Tax推進の経緯や目標」「e-Tax推進における現状の課題」などの説明が行われた。

e-Taxの20年の歩みと現状

国税庁職員(画像=e-Taxについて解説する国税庁職員)

e-Taxとは、国税に関する申告、申請・届出、納付の手続きを自宅やオフィスに居ながらオンラインで行うことができるシステムで、令和5年分の所得税の確定申告では、約7割の人がe-Taxを利用。

国税庁では、令和8年度におけるe-Tax利用割合を8割まで伸ばすことを目標とし、利便性向上のために様々な取り組みを進めている。

その中でもこの説明会では、3つの取り組みについての説明があった。

YouTubeなどでサポートコンテンツの配信
e-Taxでの確定申告の操作手順や、申告書の作成手順などをわかりやすく解説している。
参考:国税庁動画チャンネル

24時間対応チャットボット「税務職員ふたば」
確定申告に関する質問や疑問を24時間(メンテナンス時間を除く)対応するAIチャットボットの「税務職員ふたば」が導入されている。

マイナポータルとの連携による自動入力の強化
マイナンバーカードを利用しマイナポータルと連携することで給与等の収入に関する情報や、医療費、住宅ローン、ふるさと納税等の控除に関する情報を一括取得し自動入力することができる。また、利用者用電子証明書のパスワード(数字4桁)については、スマホの生体認証機能を利用することも可能だ。


令和5年分の確定申告では190万人がマイナポータル連携を利用しており、利用者は年々増加している。

また、自動入力により納税者のミスを減らし、加算税や延滞税などの不利益が発生しないようにできるほか、行政の効率化に繋がる。

このような3つの取り組みの目的として国税庁の個人課税課長の大柳氏は「行政者の工数削減も目的だが、特にマイナポータルとの連携による自動入力対象の拡大に注力している」と説明。

YouTube動画や、24時間対応チャットボットによって、システムや手続きをいつでもわかりやすく確認することができ、マイナポータル連携の自動入力によって、利用者の手間とミスの発生を防ぐことができる。

今後の展望

国税庁大柳課長(画像=記者からの質問に答える大柳氏)

令和6年度の確定申告に際して新たに行われる取り組みとして、以下の2点が発表された。

e-Taxページがスマホ画面に対応
e-TaxページはPC用にデザインされていたが、UI/UXの改善を目的にスマホ用のページデザインが新たに追加された。

スマホ用電子証明書に対応
スマホ用電子証明書を利用することでマイナンバーカードをスマホで読み取らなくても申告書の作成・e-Tax送信ができるようになった。

また、利用者用電子証明書のパスワード(数字4桁)もスマホの生体認証機能を利用できるようになった。
※Androidのみ対応。iOSについては、2025年分の確定申告に向け順次対応予定。

大柳氏は、「デジタルツールを活用することで、税務署に行かずにあらゆる税務手続きが完了する社会を目指していきます。もちろん、パソコンやスマホの扱いに慣れていない方や、ネットリテラシーが高くない方、お年寄りのサポートも疎かにするつもりはありません。税務署の窓口や電話による相談の対応は引き続き行っていきます。e-Taxをなるべく多くの方に使っていただけるよう、納税者の目線で、どこに使いにくいところがあるのか、随時見直しを行っていきます」と語った。

今後、よりe-Taxの機能が充実し、確定申告の手間が省けることが期待される。