2025年は折しも「昭和100年」、「戦後80年」。この節目の年、社名変更に踏み切る上場企業は現時点で30社を数える。売上高が1兆円を超えるようなビッグネームは見当たらず、企業規模はやや小粒だが、顔ぶれは多彩だ。
設立40年で黒谷は「MERF」に
1月1日をもって新社名でスタートしたのは6社。銅インゴットの販売・回収を手がける黒谷は設立40周年に合わせて「MERF」に改めた。Metal(金属)、Recycle(リサイクル)、Future(未来)の頭文字を組み合わせたもので、国内外での認知度向上とグローバル展開を含めた事業拡大が狙いだ。
ネット広告代理店のGMOアドパートナーズはGMOインターネットに社名を変更した。親会社のGMOインターネットグループが1月1日付で持ち株会社に移行し、同社の関連事業を引き継いだのに伴う。
認可幼稚園運営を主力とするSmile Holdingsは従来のKids Smile Holdingsから「Kids」を外した。昨年6月に策定した中期経営計画で、少子化や女性の社会進出などの社会課題の開設を後押しする総合パーソナルケアサービスへと事業領域を広げる方針を打ち出した。
残る3社は持ち株会社制移行に伴うもので、グリー、システムサポートはホールディングス、売れるネット広告社はグループを社名に加えた。
プラント工事などの富士古河E&Cは富士電機による完全子会社化を受け、2月3日付で富士電機E&Cとなる。これに先立ち、1月30日に東証スタンダード市場への上場が廃止となる。
4月、早くも17社がスタンバイ中
1年を通じて社名変更が最も多いのが年度替わりの4月。早くも17社がスタンバイ中だ。
キノコ製造で知られる雪国まいたけは、ユキグニファクトリーに社更を予定している。海外進出やキノコを使った代替肉の開発など、事業領域の広がりに対応する。同社は2015年に不適切会計問題でいったん上場を廃止し、米投資ファンドの傘下で経営を立て直し、2020年に再上場を果たした。
東洋機械金属は創業100周年にあたり、TOYOイノベックスに改める。同社は1925年に繊維機械を製造する「紡機製造」として発足し、戦後は事業を転換し、今日、射出成形機、ダイカストマシンを主力とする。現在の東洋機械金属は1962年以来の社名だが、次の100年に向けた飛躍を新社名に託す。
パソコン周辺機器のメルコホールディングスは、パソコン周辺機器を手がける中核子会社のバッファロー(名古屋市)を吸収合併するのに合わせ、そのブランド名である「バッファロー」を社名とする。これにより、2003年以来の持ち株会社体制を解消する。昨年10月、メルコ傘下で製麺業のシマダヤがスピンオフ(分離・独立)上場し、IT関連グループとしての企業イメージを前面に押し出す狙いもある。