動画配信期間:公開日から2週間

動画の内容をギュッと要約

トランプ関税問題の現状と市場への影響

関税騒動が収まらず、昨日さらに激化する展開となった
日米の株価が関税問題の影響を受けて大きく下落している
イーロン・マスク氏は「最終的にはゼロ関税を目指す」という立場を表明した
中国がアメリカの34%関税に対して報復関税を課すと表明
これに対しホワイトハウスは中国への関税をさらに引き上げ、104%にすると強硬姿勢を示した
日経平均株価は一度2000円近く上昇した後、960円下落して戻るという乱高下を見せた
このような状況下で、ドル円はボリンジャーバンドの3シグマ近辺まで下げる不安定な相場展開となっている

今回の「経済危機」懸念の性質と分析

過去の経済ショックとは異なり、今回は「人間同士の喧嘩」「意地の張り合い」のような様相を呈している
経済理論的には比較優位論に基づく自由貿易・低関税が経済合理性があるとされるが、トランプ大統領は米大統領選で勝利しており、その公約に基づいて行動している
アメリカが鎖国的な方向へ向かう可能性が懸念されており、世界貿易に大きな影響を与えている
日本や韓国を含む70カ国が関税引き下げの交渉を希望している状況だが、統一的な対応は難しい
中国・カナダなどは報復関税で対抗し、イギリスは報復措置を取らないと表明、EUは報復関税の準備を進めるなど、各国の対応は分かれている
10%程度の関税を課される国は比較的落ち着いた対応を見せているが、20%以上の関税を課される国々は危機感を強めている

米ドル/円相場の動向

米ドルは米雇用統計の良好な結果と、パウエルFRB議長の利下げに慎重な姿勢、ベッセント財務長官の「強いドル」発言を受けて一時上昇した
しかし、中国への104%関税を課すと発表したことで、ドル円は再び下落に転じた
リスク回避の動きが強まる中、円とスイスフランが「安全資産」として買われる傾向が強まっている
市場では、FRBの利下げ観測が強まっており、5月の利下げ確率は77%に達している
アメリカの関税政策による貿易混乱が続く限り、ドル安圧力が継続すると予想される
市場参加者の多くは様子見姿勢を強めており、大きな流れが決まるまでは慎重な取引が続くと見られる

トランプ政権の政策方針と経済への影響

トランプ大統領は鉄鋼などの製造業をアメリカに戻すと発言しているが、大型工場の移転には長い時間と多額のコストが必要
多くの企業は短期的には工場をアメリカに移す意向はないと表明している
関税率を過度に引き上げると輸入が減少し、税収はむしろ減少するリスクがある
同時に世界経済も深刻な打撃を受け、アメリカの輸出にも悪影響が出る可能性が高い
トランプ大統領の公約は「物価を下げて金利を下げる」というものだったが、逆説的に関税政策によって経済減速懸念が生じ、その結果として物価と金利が下がっている
この状況に対してもトランプ大統領は成功として主張しており、方針転換の可能性は低いとみられる

日本経済と日本銀行の対応

植田日銀総裁が挨拶を行う予定
日銀は主に物価動向を注視しているが、景気指標が芳しくないため金融緩和に踏み切る可能性も検討されている
日本の一人当たりGDPは34位と先進国の中では低迷しており、2050年頃には45位程度まで落ちる見通しが出ている
昨日発表された景気ウォッチャー調査の結果も良くなく、今後も良い経済指標の発表は期待しにくい状況
関税問題の長期化により、日本の輸出産業にも深刻な影響が出る可能性がある

欧州の経済状況

欧州:財政拡大とウクライナ情勢に関わる軍事費増加による景気回復期待もあるが、米国の関税政策などリスク要因も増えている
英国:トランプ関税負荷率が10%程度であり、報復措置も取らない方針で比較的落ち着いた対応を見せている

結論と今後の見通し

関税騒動はトランプ大統領の姿勢次第であり、簡単に終結する見込みは薄いと考えられる
この「トランプショック」は経済的には不必要な混乱だが、米大統領の任期は4年あり長期化する可能性が高い
世界経済全体への悪影響が懸念され、根本的な解決策はトランプ氏の方針転換しかないという厳しい現実がある
多くの投資家は様子見のスタンスを取りつつあり、市場の不安定性は当面続くと予想される
FRBの金融政策も経済への悪影響を考慮して、利下げに傾く可能性が高まっており、5月の利下げ確率は77%に上昇している
今後の数カ月間は、関税問題の展開次第で市場の変動性が高まる可能性があり、慎重な投資判断が求められる

野村雅道
野村雅道氏
FX湘南投資グループ代表 1979年東京大学教養学部を卒業後、東京銀行(現三菱UFJ銀行)入行。82年ニューヨーク支店にて国際投資業務(主に中南米融資)、外貨資金業務に従事。85年プラザ合意時には本店為替資金部でチーフディーラーを務める。 87年米系銀行へ転出。外資系銀行を経て欧州系銀行外国為替部市場部長。外国為替トレーディング業務ヴァイスプレジデントチーフディーラーとして活躍。 財務省、日銀および日銀政策委員会などの金融当局との関係が深く、テレビ・ラジオ・新聞などの国際経済のコメンテイターとして活躍中。為替を中心とした国際経済、日本経済の実践的な捉え方の講演会を全国的に行っている。現在、FX湘南投資グループ代表。

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