
総括
FX「米国の対中関税はついに125%、それでも人民元はドルと変動を共にする」人民元見通し
(通貨9位、株価11位=上海、香港ハンセンは首位)
予想レンジ 人民元/円 19.7-20.2
(ポイント)
*米国の対中関税はついに125%
*中国の報復関税は現在84%
*ドルは年初来8位、人民元は9位と為替操作している
*それでもベッセント財務長官は人民元の切り下げを批判
*トランプ大統領は中国の為替操作を批判
*今日は米中消費者物価の発表
*金融は緩和見通し
*米中貿易の詳細は
*中国は、米国と「どんなタイプの」戦争も戦う用意がある
*中国からの低価値輸入品に対する免税デミニミス措置を廃止
*台湾海峡緊張
*3月PMIなど改善傾向
*特別行動計画で家計支援
*成長目標5%前後維持 財政出動で内需拡大
(125%関税、対中国)
トランプ米大統領は4月9日、米国に報復措置を講じていない国・地域に対して、高水準の相互関税を90日間停止することを承認したと明らかにした。一方、中国に対しては関税を125%に引き上げた。
相互関税の発動を受けて金融市場がさらに混乱し、リセッション懸念も強まり、トランプ政権に対しては経済界や投資家から政策を見直すよう求める圧力が強まっていた。
ただ中国が交渉を拒否しているとして関税を引き上げると説明。「世界の市場に対する中国の敬意の欠如を踏まえ、米国は中国に課す関税を125%に引き上げる。即時発効だ」と述べた。
中国は既に報復措置を発表。中国政府は米国から輸入する製品に対する関税を84%に引き上げると発表した。
(ベッセント財務長官、人民元について)
ベッセント財務長官は中国が米国による中国製品への関税引き上げに対する報復措置を発表したことについては、「中国がするべきでないのは、切り下げによってこの状況を打開しようとすることだ」と警告した。
(トランプ大統領=「中国が為替操作」)
トランプ大統領は、中国が米国の関税の影響を相殺するために為替操作を行っていると非難した。 全国共和党議会委員会のイベントで述べた。
*私見=実際、人民銀行はそうしているのだろう。ただその水準はドルが上れば元も上り、下がれば下がって、その変動率は似通っている。米国も批判し難いバスケット制度に基づく操作だ。
(大幅関税引き上げで騒ぐほど人民元は対ドルで動いていない)
中国への、大幅関税引き上げで騒ぐほど人民元は動いていない。4月間では元は10位、対円2.52%安。年間では9位6.16%安。米ドルはそれぞれ6位1.47%安、8位6.04%安。年間ではドルにピッタリ寄り添っている。寄り添られると批判し難い。
上海総合指数は年初来4.92%安、香港ハンセン指数は1.02%高で数少ない年初来プラスの株式市場だ。10年国債利回りは1.65%で金融緩和観測もあり低下している
(今日は米中消費者物価の発表)
今日は3月消費者物価の発表。予想は前年比0.1%の上昇。2月は0.7%低下だったが、これは2024年の春節が2月だったので、その反動で低下した(今年の春節は1月)。ただ中国のディスインフレ傾向は続く。今夜は米国の消費者物価が発表される。
(金融緩和見通し)
中国富裕証券は4月に預金準備率引き下げが行われる可能性は高く、金利引き下げの可能性も一定あると予想している。 10年国債の金利が1.6%程度なので、「高所恐怖症」になる必要はない。中銀のその後の緩和指針とマクロ経済予想のさらなる修正により、市場が1.50%以下で取引されるのは妥当である。