本記事は、菊原 智明氏の著書『うまくいく人の時間の使い方』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

締め切りカウントダウン
(画像=pattozher / stock.adobe.com)

1分集中で「過去の後悔」と「未来の不安」から解放

あなたも仕事中に「あぁ、昨日の商談は失敗だった……」「あぁ、来週の会議での発表が心配だなぁ」などと余計なことを考えてしまうことがないでしょうか。これでは、目の前のやることに集中できず、仕事がはかどりません。こういった時間は効率が悪く、無駄な時間になってしまうのです。

とはいえ、人は常に無意識に雑念が湧き出してくるものです。ある説では「人は1日に6万回思考する」といったものもあります。6万回ということは、寝ても覚めても脳はいろいろなことを考えているということになります。朝起きてすぐに何かを考えながら行動し、朝食も何かを考えながら食べたりします。家族と話をしているときはもちろんのこと、仕事相手の目を見ながら打ち合わせをしているときですら会話の内容とは全く関係のない仕事のことを考えていたりする訳です。

私はこのことを〝生きる上でのBGM〟と呼んでいます。

BGMとは〝背景に流す音楽〟のことで、この音楽によって目の前の状況や雰囲気が変わります。

例えば、飲食店でリズムのいいBGMを流せば活気のある雰囲気になりますし、リラックスしたBGMを流せば落ち着いた雰囲気になるものです。

ということは、どんなBGMを頭の中に流せばいいのかということが、仕事を効率よくする上でとても重要な要素になると思えるのです。

過去の私は常に〝悪いBGM〟を流していました。

会社に行く前から「あぁ、営業したくない」とネガティブに考え、仕事中は「アイツのせいでうまくいかなかったんだ」などと逆恨みします。やっとのことで仕事が終わり、ホッとするのかと思えば「あれはもっとこうすればよかった」と後悔するのです。

常に〝未来への不安・愚痴・過去の後悔〟という悪いBGMが流れていたのですから、いい仕事ができる訳がありません。

過去の私も含め、多くの人は1日の9割以上をネガティブな悪い妄想に費やしているといわれています。しかも、その内容は毎日ほぼ変わらないというのですから、自分がなかなか成長できないのもうなずけます。無意識に仕事をしていれば、ほぼ成長せず何年も何十年も過ぎ去ってしまうということです。これは恐ろしいことです。

時間術を高めたいと思ったなら、このBGMを最適化する必要があります。

やり方はとてもシンプルです。過去の後悔でもなく、未来の不安でもなく「目の前の1分間」に集中するように心がけるのです。

「悪いことを考えないようにしよう」と思えば思うほど、逆に考えてしまったりします。そうではなく「この1分間だけ集中しよう」と考えるのです。

パソコンでメールを送るなら「こう伝えたら喜ぶだろうな」と相手のことを考えながらキーボードを打ちます。ランチを食べる際も「これ、本当においしいな」と味わうのです。

目の前の1分間に集中することを繰り返していけば、良い精神状態の時間が少しずつ増えていきます。

感謝、喜び、快楽などなど……。心地のいいBGMが流れる時間帯が長くなったとき、驚くほど仕事のスビートが上がっていることでしょう。

余計なプロセスをすべてカットせよ

仕事が早い人は、無駄なことを極力カットして「すぐやる」という特徴があります。仕事が早い人にとっては当たり前のように聞こえるかもしれませんが、これがなかなか難しいと思う人も多いでしょう。

過去の私も含めてですが、「すぐに重要なことから取り掛かる」ことをよくよく意識していないと、あっという間に他のところへ意識をもっていかれてしまうのです。

あなたも忙しい状況でありながらネットやメールを見ていて「あれ? こんなの見ている場合か?」と我に返った思いをしたことはないでしょうか?

ちなみに、私が時間をロスする場合、このようなパターンにハマっています。

パソコンの前に座る

まずはウォーミングアップのためにネットやメールチェックをしよう

面白そうな記事を見つけ他のサイトに飛ぶ

かなりの時間、目の前の仕事と関係のないことに時間を割く

これで結局、何をしようとしていたのかということすら忘れてしまいます……。こうして、時間というものはあっという間に30分、1時間と過ぎていくのです。時間が経つにつれ「まあ今日はゆっくりスタートすればいいか」となってしまいます。

このように無駄なことをして遠回りしてはいけません!

こんな余計なプロセスをすべてカットして、真っ先に仕事に取り組んでください

パソコンの前に座る

重要な仕事に真っ先に手をつける

プロセスはこれだけです。これでかなりの時間短縮になります。

仕事もそうですが、他のことについても言えることです。

例えば、あなたが読書をしようとしたとします。

「でも、その前に腹ごしらえをしておこう」と思って、何かを食べたりします。その流れで「そうだ、食べた物をXで投稿しよう」となることも……。投稿しようとスマホを触り、タイムラインで興味のあるものが目に入って見ているうちに「今日は読むのをやめて、明日まとめて読めばいいや」となってしまうのです……。

無駄の極致です。

うまくいく人の時間の使い方
菊原 智明(きくはら・ともあき)
関東学園大学経済学部講師/一般社団法人営業人材教育協会理事
群馬県高崎市生まれ。
群馬大学機械科卒業後トヨタホームに入社、営業の世界に入る。
7年間、苦しい営業時代を過ごすが、お客様へのアプローチを訪問から営業レターに変えたことをきっかけに4年連続トップ営業となる。約600名の営業トップとなり、社のMVPを獲得。
2006年に独立、営業サポート・コンサルティング株式会社を設立。現在は、経営者や営業向けのセミナー、研修、コンサルティング業務を行い、これまで15000名以上を指導。
2010年より関東学園大学講師も勤めている。
主な著書に、『「稼げる営業マン」と「ダメ営業マン」の習慣』(明日香出版社)、『トップセールスが使いこなす!“基本にして最高の営業術”総まとめ 営業1年目の教科書』(大和書房)、『思考・行動・結果が劇的に変わる 営業力の基本』(総合法令出版)など。2024年までに80冊を出版。ベストセラー、海外での翻訳も多数。
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