本記事は、菊原 智明氏の著書『うまくいく人の時間の使い方』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

〝朝が苦手〟というメンタルブロックを外す
「朝」は体の疲れがとれていますし、寝ているうちに頭も整理されています。「朝」ないし「午前中」は、私たちにとって一番効率のいい時間帯です。
できる人は、総じて早起きで、お昼までにはその日の仕事のほとんどを片づけていたりします。私も〝朝活〟を実践しています。時間術に長けた人たちは、朝、午前中の動きを大切にするのです。
こんな話をすると「それは分かっているのですが、朝が苦手でして……」と言う人が出てきます。時間術を考える上で、まずはここから乗り越える必要があるでしょう。
どんなことでも〝自分にはできない〟というメンタルブロックを払拭しない限り、自分を変えることはできません。実際「私は朝が弱い……」と思い込んでいるだけで早起きをやってみたら「弱くなかった!」なんてこともよくあります。
夜型の人も習慣を変えれば間違いなく朝型になれるのです。これは自信をもって断言できます。何を隠そう、私自身が超夜型の人間でしたから……。
中学生、高校生時代の私は、ゲームにハマり毎日深夜まで夜更かししていました。そんな10代から夜型生活は始まり、大学生時代はコンビニで朝の4時までアルバイトです。深夜というより朝まで起きていたという感じです。そのときは朝が弱く、夜になればなるほど頭が冴える体質だと思い込んでいたものです。
これは社会人になっても変わらず、深夜の2時過ぎに寝るといった生活を30歳まで続けていました。晩酌もしていたため、学生時代よりさらに朝の寝起きがつらかったことを覚えています。このときはまさか自分が朝型になるとは夢にも思っていませんでした。
そんな私ですが、少しずつ早く起きることで起床サイクルがどんどん前倒しになっていきます。気づけば朝に強い体質になっていたのです。
はじめから一気に早起きになったわけではありません。時間をかけて徐々に変わっていったという感じです。
〝生まれつき朝が弱い〟などという人はいません。ちなみに私は低血圧ですし、ショートスリーパーでもありませんし、やる気満々でモチベーションが高いタイプでもありません。
どんなに朝が弱いという体質の人でも必ず変われるのです。
ここから朝の活動について紹介していきますが、まずは〝朝が苦手というのは思い込みでしかない〟ということを知ってほしいのです。
朝スパッと起床するための2つのテクニック
「早起きした方がいい」ことは知っていても、早起きの習慣化はできないことの断トツ1番にあげられるかもしれません。今でこそ私は早起きを習慣化していますが、早く起きられない過去がありました。
早起きができない頃は、起きてからの準備もせわしなく、出社時間もギリギリになります。時間的にも精神的にも常に余裕がない状態でした。
こうなると些細なことでイライラします。車で通勤中、前の車に腹を立てたり、会社ではちょっとした一言でイラっときたりと……。そうしてストレスまみれの日々を送っていたのです。
30歳を過ぎたときのことです。徐々に営業で結果が出るようになったことをきっかけに「生活リズムを改善したい」と思うようになります。
手始めに、1時間早く起きることにしました。一応、1時間早く起きられたものの、日中頭がボーッとして使いものになりません。逆に仕事の効率が落ちてしまいました。はじめの朝活は失敗に終わったのです。
そこで睡眠についての本を読んだり、知識を得て、たくさんのテクニックを実行したところ効果が実感できたものは次の2つでした。
1つは、睡眠時間を1.5時間(90分)単位で設定するということです。
睡眠には2種類(ノンレム睡眠とレム睡眠)あり、それを交互に90分周期で繰り返します。そこで90分間単位で睡眠時間を設定してみたのです。これだけで目覚めが良くなりました。
毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きると良い、とも本に書かれていました。
しかし、仕事やプライベートの付き合いもあり、毎日同じ時間に就寝したり睡眠時間を確保することは難しい状況です。それでも、睡眠時間を起床時間に合わせて4.5時間、6時間、7.5時間と1.5時間(90分)刻みで目覚まし時計をセットするようにしたのです。
7.5時間の睡眠がベストですが、6時間でも比較的楽に起きられました。4.5時間睡眠は少し厳しかったですが……。人間の体は90分(1.5時間)周期で目が覚めるようにできているようです。眠りにつくとき、7.5時間後、もしくは6時間後に目覚まし時計をセットしてみてください。断然楽に起きられるようになります。
もう1つ工夫したことは、朝起きてからすることを決めておくというものです。私の場合、「ブログ更新」になります。
早起きを始めた当時は、ちょうどブログが流行り始めたときで、私は〝朝ブログを書く〟ことを楽しみにしていました。
朝起きて何をするかという目的があると、断然目覚めが良くなります。
ポイントとしては昼間や夜はしない事です。それを朝以外でやってしまうと次の朝の楽しみが薄れます。「朝しかできない」状況を作ることが大切です。
ゲームが好きな人は〝朝にゲームをする〟というのでもいいですし、読書が好きな人であれば「朝起きて本を読もう」というのでもかまいません。私の知り合いには、寝る前に食べると太るので朝起きてケーキやお菓子などの甘いものを食べるという人がいます。朝以外は我慢しているため、朝になるのが待ち遠しいと言っています。
このように、自分が一番好きなことを朝にもっていくと格段に目が覚めやすくなります。
- 90分単位に起きる時間を設定する
- 朝起きてやること(楽しいと思うこと)を決めておく
これを実行していけば、今までより何倍も楽に早起きできるようになるでしょう。

群馬県高崎市生まれ。
群馬大学機械科卒業後トヨタホームに入社、営業の世界に入る。
7年間、苦しい営業時代を過ごすが、お客様へのアプローチを訪問から営業レターに変えたことをきっかけに4年連続トップ営業となる。約600名の営業トップとなり、社のMVPを獲得。
2006年に独立、営業サポート・コンサルティング株式会社を設立。現在は、経営者や営業向けのセミナー、研修、コンサルティング業務を行い、これまで15000名以上を指導。
2010年より関東学園大学講師も勤めている。
主な著書に、『「稼げる営業マン」と「ダメ営業マン」の習慣』(明日香出版社)、『トップセールスが使いこなす!“基本にして最高の営業術”総まとめ 営業1年目の教科書』(大和書房)、『思考・行動・結果が劇的に変わる 営業力の基本』(総合法令出版)など。2024年までに80冊を出版。ベストセラー、海外での翻訳も多数。
- 朝スパッと起床するための2つのテクニックとは
- 人は3つのサイクルで動いている
- 無駄の極致、どう省く?
- ベタだけど効果的な「やることリスト」活用法
- 数分の「さぼりタイム」が集中力を劇的に回復させる