本記事は、多保 学氏の著書『1億円かけて学んだ成功する人がやっていること』(日本実業出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

信頼するメンターがいる
どのような目標でも、実現するためには「メンター」を持つことが大切です。メンターとは、自分にとって手本やモデルとなるような、信頼できる相談相手のことです。メンターの考え方を真似することで、行動が変わります。
メンターの条件は、成功者であり、かつポジティブであることです。あなたのことを思って前向きに助言してくれる成功者が、メンターにふさわしいと思います。
私には今、複数人のメンターがいます。悩みごとを相談すると、メンターはすでに同じようなことで悩んだ経験があるため、生きた助言をもらうことができます。
メンターに教えてもらったことは、必ず実践するようにします。実践すると、新たな悩みが生まれるので、再びメンターに相談し、その助言を行動に移します。それを繰り返すことによって成長が加速します。彼ら自身も同じことで悩み、同じ苦労をして現在のポジションにいるわけですから、無駄のない助言がもらえます。
成功できない人は、成功者の真似をしないから成功できないのです。
「成功者は自分とは違い、特別だから成功できた」わけではありません。もちろん、生まれ持ってものすごく良い環境で育っている人も中にはいます。だからといって、それを妬んでも何も生まれません。まさに時間の無駄です。
誰しもが失敗という成長の過程を経て、成功にたどり着いているのです。ですから、最短で成功したいのであれば、メンターを見つけて、その人の真似をするのが一番早いのです。
また、メンターが自分から来てくれることはありません。メンターを見つけるには、成功者の輪に入る努力が必要かもしれません。
「周りにいる5人の平均年収が自分の年収になる」とよく言われます。この言葉の意味は、人は周りにいる人たちの影響を受けやすい、ということです。したがって、成功者の輪に入れば、自分を成功者のレベルに引き上げてもらうことができます。
成果に繋がるメンターの探し方を具体的にご紹介します。
まず第一に、自分の目標や理想をあらかじめ決めておくことが重要です。自分の目標が曖昧だと、そこに合ったメンターを探すことは難しくなります。
第二に、自分の得意分野で成果を出している人をリサーチすることも大事です。私の場合は、世界の一流のインプラント専門医を求めて、米国のロマリンダ大学のDr. Joseph Kanという世界的に有名な歯科医師のもとへ留学を決意しました。
「歯周病とインプラントの一流の外科医になりたい」と思い、いろいろとリサーチをして講演会に行きました。そこで出会ったのが、Dr. Joseph Kanでした。彼の講演会での出会いで、私の留学先は決定しました。
第三に、メンターとなり得る人物との接点をつくり出すことです。この人こそ自分のメンターになってほしい! と思ったら、とにかく自分から接点を探してコミュニケーションをとりましょう。
「自分から」というのがポイントです。現代はインターネットが普及しているため、以前よりも容易に人と接点を持つことができます。SNSでコンタクトを試みたり、オンライン、オフラインイベントに参加して、自ら話しかけることもできます。
第四に、メンターは複数人持つことをおすすめします。目標達成は一朝一夕で成し遂げられるものではなく、現在の自分をしっかりと見つめ直し、1つひとつステップを上っていくことが重要です。各段階では異なる試練が待っているため、多様なアプローチを試行錯誤し、そして失敗をしながら乗り越えていく必要があります。
現在の自分のステップに応じて、最適なメンターと巡り会えれば、複数人のメンターが必要になります。複数人のメンターがいる利点は、1人のメンターに継続して相談するよりも確かな成果が得られることです。メンターにも得意分野、不得意分野があります。複数人のメンターがいることで、複数の考え方や意見が聞けます。
メンターたちが経験してきたノウハウを、自分なりにまとめて、それをさらにアウトプットすることで、より優れた人物として成長していくことができるでしょう。
あなたの周りにも、必ず1人や2人は、「この人にはかなわない」という存在がいるはずです。まずは、そういう人たちの輪に入る努力をしてみてください。
職場の上司、自分の求める結果に到達している人、尊敬できる人、書籍やセミナーで知った憧れの存在など、どなたでもいいのです。ポジティブで自分自身が尊敬できる方を、選んでおけば間違いないと思います。
異業種コミュニティにも参加する
私のいる歯科業界では、同業者同士でしか集まろうとしません。しかし私は、同業者よりも異業種での集まりを重要視しています。
異業種の人と付き合うと、歯科業界にはない考え方に接することができるため、新たな発想が生まれるきっかけになります。実際に、私の経営する歯科医院では、異業種交流で得た様々な知見を経営に活かしています。
例えば、一般企業で採用されているホールディングス(持株会社)の仕組みを経営に応用しています。歯科に関連する事業を複数立ち上げて、それらを本業に絡めながら事業規模を広げています。これは、目の前の患者さんだけを見ている歯科医院経営からは発想することができません。
また、毎年「経営方針発表会」を行っています。こんなことをしている歯科医院はほとんどないと思います。これも、異業種交流を通じて、経営方針は従業員に知ってもらったほうがいいと気づいて始めたことです。
「医療法人社団○○会」とか「医療法人○○グループ」などの看板を見かけたり、広告をインターネットなどで見かけると思います。そうした医療法人の多店舗展開は、狭いエリアで行うと顧客の奪い合いになるため、広域で行うのが一般的です。それに対して私は、さいたま市浦和区という狭いエリアに集中して多店舗展開をしています。
これは、マーケティング理論としても知られている「ランチェスター戦略」に基づいた考え方で、1つのエリアに集中して出店することで地域ナンバーワンになる戦略です。これも、異業種交流の中から浮かんだアイデアを実践したものです。
異業種交流を深めていくと、人脈がどんどん繋がり、良いご縁も繋がります。最大のメリットは、顧客となりそうな方と繋がれることです。また、各地域の有力な経営者などと知り合いになれば、そこから新たなビジネスをつくることもできます。
とある地域の異業種交流会で、介護事業を展開している経営者の方とお話をする機会がありました。
私たちの医療法人グループは、訪問歯科医療を展開しており、現在社会問題となっている摂食・嚥下についてお互いの意見を交えながら、深く話ができました。そこからの展開は早く、すぐにその介護事業所で、口腔ケアと摂食・嚥下関係の講演をさせてもらいました。
このように、異業種の人たちと交流し、良いご縁を繋いで、様々な知見を吸収することで新しいアイデアが生まれてきます。
どのような業種の方のお話も参考になります。一見まったく関係ないような業種でも、話をしてみると新しいアイデアが生まれる可能性があります。
ぜひ、同業の集まりだけでなく、積極的に異業種交流会に参加してみてはいかがでしょうか?

医療技術だけでなく、成功者の思考法を積み重ね行動した結果、医院は年商12億を達成。現在は複数の株式会社を経営し、人々の健康を守る使命のもと、予防歯科の重要性を広める活動や、コンサルティング業を通して経営に悩む歯科医師の支援に尽力している。著書は『0歳から100歳までのこれからの「歯の教科書」』(イースト・プレス)、他に専門書の共著書は20冊以上。
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