本記事は、伏里 剛氏の著書『仕事ができる人の言葉 賢人の視点100』(総合法令出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

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(画像=Shabbir / stock.adobe.com)

《「ビギナーズ・ラック」は、二度起こらない》

好調なときに、「いつかはダメになる、こんなことが長く続くわけがない」と恐れおののく力が会社の力だと思う。

―― 矢野博丈(大創産業創業者)

どんなことでも最初はうまくいくことがあります。しかし、それでいい気になってしまうと、とんでもないことになる場合があるわけです。

たとえば、株で最初は儲けさせてもらって、その後に大損をした。あるいは競馬で最初大勝ちした味を忘れられず、結果的に借金地獄に陥った。

これは、仕事においても同じです。最初は経験もないのになんとなくうまくいってしまったりすると、「こんなものか」と仕事を甘く考えてしまいます。ところが、実際はそんなことはありません。やることなすこと安易な気持ちで仕事にかかるため、すべて失敗し自信を失ってしまうのです。

世の中のことはすべて、このように最初に良いことを味わってしまうと努力をする意欲をなくしてしまいます。最初は、うまくいかないほうが本当はいいのです。

しかし、幸いにも最初からうまくいったということは、やはり最初の一生懸命やろうという心構えが効を奏していたのかもしれません。そうでなければ、たまたまついていただけかもしれません。

したがって、その初心を忘れず、常に「自分は何も知らないのだ。勉強していこう」という原点を忘れずに頑張っていくことが大切なのです。

《仕事の成否は、第一印象で9割決まる》

良い第一印象を作るチャンスは二度とないわ。

―― ココ・シャネル(ファッションデザイナー)

何事でもそうですが、第一印象は非常に重要です。初対面のときに変な言葉を使ってしまったり、変な応対をしてしまうと、相手には「もうあの人とはつき合いたくない」「あの人はあまりいい人ではない」といった印象が脳裏に焼きついてしまいます。

そして、それは個人だけではなく、背負っている会社もそういう印象を持たれてしまうわけです。それを払拭し、名誉挽回を図るのはとても難しいものです。

それに対して、最初に慎重に、誠実に、正確に仕事をすれば、相手に「たいへん誠実である」「約束を守る人だ」という印象を与えます。そうなると、仕事が次から次へと回ってきます。最初のその努力が結果的に良い循環となり、相手に信頼感を与え、長いつき合いのスタートが切れるわけです。

このようなことから、私たちは、いついかなるときも、相手に良い印象を与えるような気持ちで慎重に対応していくことが大切になります。

社会や会社といっても、結局は人間対人間のつき合いであり、つながりなのです。

いかに、相手に対して自分とつき合うことがプラスであるかをアピールし、行動で示していくことが結局は良い成果を生むのです。その結果、自分自身も仕事の楽しみを味わえ、生きがいを感じられるという好循環になっていくわけです。

《知恵があっても、頭が高くてはいけない》

謙虚であれば、新しいアイデアに対して開かれた心を持てる。

―― ラリー・ペイジ(グーグル共同創業者)

稲穂は実れば実るほど自然と頭をたれる、とよくいわれます。立場が上になるほど、私たちも謙虚に相手に誠意を持って接するようにならなければいけません。

新人が仕事をちょっと覚えたぐらいのとき、自信満々になり、ある意味では虚勢を張るような態度が出てきます。しかし、そういうものは、はたから見れば好ましい状況ではありません。いろいろな体験をし、いろいろな苦難を乗り越え、苦労して初めて、人間の本質がわかり、人間対人間のつき合い方がわかってきます。そして、相手の苦悩も自分でわかるようになってきます。

それは、いろいろな苦労をし、仕事だけではなく、家庭の問題、自分の健康、さまざまな苦労を通して人間としての円熟味が出てくるわけです。

もちろん、若いときから、相手の気持ちがわかるにこしたことはありません。若くても、立場をわきまえ、自分の能力が伸びてきても謙虚になり、相手の意見に耳を傾ける。それこそ大切なことです。

あくまでも、自信とか、負けてなるものかといったものを内に秘めて、表に対しては柔和に、謙虚に対応していくべきではないでしょうか。

そのような人間になってこそはじめて、チャンスを与えてもらえるのです。

『賢人の視点100』より引用
伏里 剛(ふしさと・ごう)
1968年生まれ、神奈川県出身。明治大学法学部卒業。
商社にて貿易実務や国際業務、海外駐在員を経験。現在は経営コンサルタントとして活躍中。
特に朝礼の効用に注目し、現場での効果的な実践指導を行っている。

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