本記事は、菅原 洋平氏の著書『仕事が速い人があたりまえにやっていること』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています。
忘れにくくなる「自分の言葉」変換術
紙に書くことで記憶に定着しやすくなることをお話ししましたが、さらに忘れにくくする方法を4つ紹介しましょう!
1. 「自分の言葉」に直して書く
講師の発言に対して「手書きでメモ」と「パソコンでメモ」した場合の比較実験では、明らかな違いが確認されています。
手書きの場合は、講師の発言とは異なる「自分の言葉」でメモされました。一方でパソコンの場合は、セリフどおりにメモされました。
これは、タイピング作業による脳への負担が大きく、言葉を変換している余裕がないからだと考えられています。
一見、パソコンでタイピングするほうが脳への負担が少なそうに感じるかもしれません。しかし実験をしてみると、手書きでメモをしながらの雑談はできますが、タイピングをしながらの雑談はかなり難しく、しゃべろうとするとタイピングの手が止まってしまいます。タイピング作業は、実は紙に書くよりも脳への負担が大きいのです。
そして、「自分の言葉」に変換するほうが記憶に残りやすく、その後のテストの成績がよくなる、という実験結果もあります。
この実験では、教科書を熟読しただけのグループよりも、その内容について自由作文を書いたグループのほうがテストの結果が高得点になっています。
「インプットよりアウトプットのほうが記憶に残りやすい」という点と、「自分の言葉に変換したことで、エピソード記憶化された」という点が要因だと考えられています。
「自分の言葉に変換する」と聞いて、難しく感じた人もいるかもしれませんが、とても簡単です。例を1つ紹介しましょう。
健康経営のセミナーを聴いているなかで、講師が「日本では1980年代から高齢化が始まり、2000年から働く人口が減っています。2020年には65歳以上は全体の30%になりました。これからの企業は従業員の健康寿命を延ばし、長く働ける環境をつくることが必要です」と話していたとします。
このとき、「高齢化は80年代から。働く人口が減っているので個々の働き手としての寿命を延ばす秘策を考える」というように、話した内容をそのまま書くのではなく、要約してメモをする。これを意識するだけで、自然と「自分の言葉」で表現でき、記憶に残りやすくなります。
2. 「頭の中のつぶやきごと」を書く
「自分の言葉」でメモするときは、「独り言(モノローグ)」もメモしておきましょう。「やっぱりここ重要」「これも忘れそうー」と感じたことを書き込んでおくのです。
すると、そう感じたときの心理状態も記憶に付与されるため、エピソード記憶化させ、その情報をより忘れにくくなります。
3. 「記憶に残るタイトル」を付ける
ノートやメモを書くとき、後から見たときになんの情報なのかを瞬時にわかるようにするため、ページの最初にタイトルを入れている人は多いと思います。
このタイトルも、「自分の言葉」にするのがおすすめ。
たとえば、「データサイエンスの基礎」について勉強するときは、そのままのタイトルより、自分でつけたタイトルのほうがエピソード記憶化されやすくなります。「データオタク入門」「もう、その根拠は? と言わせない!」というイメージです。会議のメモなら「みんなで新商品を届けるぞ!会議」のようにすると、書くのが楽しくなり、より強いエピソード記憶になりそうですね。
4. ページの隅に「保留箱」欄をつくる
これは大きめのノートを使っている人に有効な方法です。
すぐ必要でない情報やなんとなく書いておきたいことが頭に浮かんだら、ページの隅に「保留箱」のスペースを用意して書き入れましょう。これだけで、ノートに書く情報がスッキリと整理されます。
ノートという空間の中で、手を「保留箱」まで移動して書く動作は、「保留箱までテクテク歩いて情報を置いた」というエピソードになって脳に残ります。そのおかげで、その情報がふいに必要になったときも、脳が自動的に「あの情報は保留箱に入れたな!」と反応して探し出してくれます。
あれこれ書きすぎて、後から見返したら「なんじゃこりゃ……」。
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