本記事は、菅原 洋平氏の著書『仕事が速い人があたりまえにやっていること』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています。

仕事が速い人があたりまえにやっていること
(画像=sebra/stock.adobe.com)

地頭がいい人がよく「紙」を使うワケ

「構え効果」が発動していると、固執している方法自体が目的になってしまうことがあります。
「商品を世に出す」ことが目的であるはずです。
ところが、愚直に企業をまわるという方法に固執した結果、1社でも多くの企業をまわることが目的になってしまう。そして、結果が出ていないにもかかわらず、なぜか達成感を覚えてしまう。
そう。手段が目的にすり替わってしまうのです。

これを防ぐためには、脳内で一度「方法とゴール」を俯瞰してみましょう。

目の前の方法を「小項目」として、その下に「大項目」をつくるイメージでゴールを設定し、全体を眺めるのです。
たとえばこんな感じです。

① 方法「資料のスライドをつくる」→ ゴール「プロジェクトの可能性を伝える」
② 方法「顧客のアンケートを分析する」→ ゴール「自分たちが気づけていないニーズを発見する」
③ 方法「SNS で商品の情報を発信する」→ ゴール「高齢者にターゲットを広げたい」

このように、改めて方法とゴールを俯瞰すれば、「いまの方法がゴール達成に見合わない」ことにも気づくことができるようになります。
たとえば、①なら「予備知識のない人が多いので、スライドには一目でわかる写真やグラフを入れよう」、②なら「現場の担当者に丁寧に意見を聞いたほうが隠れたニーズを掘り起こせるだろう」、③なら「予算はかかるけど新聞広告のほうが効果的かもしれない」など。
その結果、「構え効果」が解除され、自分の固執に気づくきっかけになります。

あえて「紙」を選ぶメリット

ただし、この過程を邪魔するものがあります。
それが「ディスプレイ」です。

実は、ディスプレイよりも紙のほうが全体を俯瞰してイメージしやすいということが、心理学者カウフマン博士とフラナガン博士の実験でわかっています。
たとえば、「家を掃除する」という文章を見たとき。
ディスプレイで見た場合は「床に掃除機をかける」という具体的な行動をイメージした一方、紙で見たときは「きれいに見えるようにする」という俯瞰的な行動がイメージされました。

この理由は、ディスプレイで見たときと紙で見たときでは、脳の刺激される部位が異なるためです。
ある研究では、紙の印刷物を見たとき、脳の「前頭前皮質」という部分が強く反応したという結果が報告されています。一方、ディスプレイを見たときは、前頭前皮質はそこまで反応せず、視覚に関わる部位が強く反応したそうです。

脳において前頭前皮質は、とくに情報を理解することや、受け取った情報や思考の整理・判断を担うといわれています。
したがって、これをビジネスや趣味などで応用する場合、

  • 具体的で機械的な作業→ スマホやパソコン
  • 俯瞰的で創造的な作業→ 紙

と使い分けるのがおすすめです。

思考を整理したいとき、判断が求められるとき、すなわち「構え効果」を解除したいときは、紙で作業するのがベスト。
一手間かかりますが、その効果はバツグンです。
実際、こんな声もよく聞きます。

「周りの仕事が速い人は、みんな手書きで作業していますね。うちの会社の仕事が遅い人は、会議中もずっとパソコンを見ているので、私は『顔を上げて話を聞きなさい』といつも言うんです。やっぱりパソコン作業で効率が悪くなることってあるんですね」(40代男性)

紙の作業とディスプレイの作業とでは、アウトプットの質が変わってきます。
パソコンで資料や原稿をつくることが多いと思いますが、一度は紙で出力して確認すると、盲点や違和感に気づくことができます。

仕事が速い人があたりまえにやっていること
菅原 洋平(すがわら・ようへい)
作業療法士。ユークロニア株式会社代表。1978年、青森県生まれ。国際医療福祉大学卒業後、国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事。2012年にユークロニア株式会社を設立。東京都千代田区のベスリクリニックで外来を担当しながら、ビジネスパーソンのメンタルケアを専門に、生体リズムや脳の仕組みを活用した企業研修を全国で行う。『あなたの人生を変える睡眠の法則2.0』(自由国民社)、『すぐやる!』(文響社)などベストセラー多数。テレビや雑誌など、メディア出演も多数。

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